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App StoreでApp内課金を実装しなかったとしてアプリが削除の危機に追い込まれる


Appleのスマートフォンやタブレットは、App Storeを介してダウンロードしたアプリしか使用できません。App Storeに登録された有料アプリは「App内課金における売上の15~30%をAppleに支払う」というルールから、App内課金のシステムを実装しなかった有料アプリがガイドライン違反であるとしてAppleから削除の警告を受けています。

A new email startup says Apple’s shaking it down for a cut of its subscriptions - Protocol
https://www.protocol.com/hey-email-app-store-rejection

2020年6月16日(月)にサービスを開始した「HEY」はメールの取捨選択に特化した有料のメールサービスです。HEYが公開されて間もなく、HEYの開発元であるBasecampのiOS開発者、ザック・ウォー氏はAppleから1通のメールを受け取りました。メールの内容は「iOS版HEYのバージョン1.0.1がApp Storeの審査で却下された」というもの。却下された理由は、HEYがApp Store Reviewガイドライン3.1.1に記載されたApp内課金の項に反していたためでした。記事作成時点のApp Store Reviewガイドライン3.1.1の内容は以下の通り。

Appのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用して解放する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません。App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をAppやメタデータに含めることはできません。


iOS版HEYは既存の外部サービスを使用するためのアプリで、記事作成時点でHEYの年間99ドル(約1万600円)の使用料はApp内課金システムを通さずクレジットカードで支払う方法が採用されていました。「アプリの審査は審査員によって結果にばらつきがある」と耳にしたことがあったウォー氏らはApp内課金の有無は大きな問題ではないと判断し、App内課金システムは追加せず他のバグを修正したiOS版HEYのバージョン1.0.2をAppleに提出しました。

その後、ウォー氏にAppleのアプリ審査員から電話がかかってきます。審査員は「新しいバージョンではApp内課金の問題が解決されていなかった」という件で電話をかけてきたとのこと。HEYがApp内課金を実装していないことはAppleの社内でエスカレーションされており「App内課金できないアプリの却下は正当なものである」と判断されていました。iOS版HEYに残された道はApp内課金を実装することで、Appleはウォー氏に対してApp内課金を実装するためのスケジュールの提示を要求。もし従わない場合は、HEYをApp Storeから削除する可能性があるとAppleの審査員は述べたそうです。

ウォー氏ら開発チームが、App内課金を介さないSparkEdisonといった有料アプリがあることを指摘すると、Appleの審査員は「他のアプリの話はしないように」と一蹴。さらにAppleは、「ガイドラインに準拠していないアプリを最初に承認したのが実際のミスだった」とも述べていたそうです。

アプリの課金システムについてAppleは強硬な姿勢を取っていますが、一方でApp Storeおよび決済システムのApple Payは2020年6月17日付けで独占禁止法違反の疑いにより欧州委員会(EC)による調査が開始されています。

Appleに対して「App StoreとApple Payが独占禁止法に違反している」として欧州委員会が調査を開始 - GIGAZINE


また、App内課金導入の強制だけでなく「App内課金の売上から15~30%をAppleに支払う」という高すぎる手数料も、競合他社を潰しかねない不当なルールであると音楽ストリーミング配信サービスのSpotifyは指摘していました。また、楽天のKoboもApp内課金で購入したすべての書籍に30%の手数料が課せられることについてSpotifyと同様の指摘をしています。さらに、高すぎる手数料が独占禁止法違反にあたるとして、2019年にAppleはSpotifyから訴えられています。

Spotifyが「Appleの高すぎる手数料は公正な競争を妨げる」と独占禁止法違反を欧州委員会に訴える - GIGAZINE


Spotifyは「Appleの反競争的な行動は、意図的に競合他社に不利益を与えています。不平等な競争の場を作ることで、あまりにも長い間、消費者から意味のある選択肢を奪ってきました」とコメントしています。

BasecampのCTO、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏は、「iOSは最大のプラットフォームであり、Appleもそれを知っています」と述べ、Appleの行動を非難することで、App Storeからアプリが消されることは開発者にとって脅威であると指摘しています。ハンソン氏がTwitterで「唖然としています。Appleは私たちの収入の15~30%を支払わないとHEYを削除すると言っています」とAppleを非難するツイートをしたとき、開発者からAppleを擁護するような反応を多く得たとのこと。


「Appleに対するアプリ開発者の声をいくつかを聞いて、開発者たちがAppleに人質をとられているかのように思えました。Appleを擁護する開発者たちはあらかじめ用意されたセリフを書いているように見えたのです。そうでなければAppleはアプリをApp Storeから削除し、開発者たちの仕事に不都合を与える可能性があるからです」とハンソン氏はコメントしています。

ハンソン氏は、Appleの誰かが考えを変えて、App内課金を実装していないHEYを承認する可能性もあると推測しています。しかし、それだけでは問題は解決しないともハンソン氏は述べました。「私たちのために特例が認められても、Appleが他社に与える不利益は残り続けます。私たちがAppleに収入の3分の1を支払うことは金輪際ありません。Appleの行為は犯罪に近く、制度改革が必要です。全財産をはたいてでも状況を変えてみせます」とハンソン氏は語っています。

・つづき
Appleの決済システムを介さず購入する必要のある有料アプリがApp Storeから除外される可能性 - GIGAZINE

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by log1m_mn

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