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Appleの決済システムを介さず購入する必要のある有料アプリがApp Storeから除外される可能性


Appleのアプリ配信プラットフォームであるApp Storeにおいて「アプリ内課金を実装していない」という理由からアップデートを却下されたメールサービス「HEY」は、Appleの課す高額な手数料などを理由に「アプリ内課金の実装は必要ない」と主張していました。この主張に対し、Appleのフィリップ・シラー氏は「HEYの審査結果を取り下げる予定はない」とコメントしています。

Apple's Phil Schiller says position on 'HEY' email app stands, no rule change expected | Appleinsider
https://appleinsider.com/articles/20/06/18/apples-phil-schiller-says-position-on-hey-email-app-stands-no-rule-change-expected

Apple doubles down on controversial decision to reject email app HEY - The Verge
https://www.theverge.com/2020/6/18/21296180/apple-hey-email-app-basecamp-rejection-response-controversy-antitrust-regulation

Basecampの創設者であるデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏とジェイソン・フリード氏が、独自のメールサービスであるHEYを2020年6月15日(月)にApp Storeへ登録しました。HEYは有料アプリであるものの、アプリ内課金ではなくクレジットカードを用いてAppleを通さず料金を支払うことで利用できるようになるアプリであったため、Appleにソフトウェアアップデートの承認を拒否されました。

App StoreでApp内課金を実装しなかったとしてアプリが削除の危機に追い込まれる - GIGAZINE


これに対してAppleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるシラー氏は、「AppleはBasecampが開発したHEYの審査結果を取り下げる予定はありません。App Storeで提供されるソフトウェアは、すべてApp Store Reviewガイドラインを遵守する必要があります」と述べ、HEYがAppleのガイドラインに違反しているためアップデートを却下したと説明しました。

さらにシラー氏は「Appleはガイドラインの変更を検討していません。私たちが考えているガイドラインの範囲内でアプリを動作させるために、Basecampができることはたくさんあります。私たちはBasecampにそうしてもらいたいと思っています」とコメント。AppleがBasecampにアプリ内課金を実装するよう要求している理由の1つは「HEYをApp Storeでダウンロードした後、すぐに利用できない」という点で、「ダウンロードしてもすぐに機能しないアプリは、私たちがApp Storeで求めるアプリではありません」とシラー氏は述べています。


Appleは、開発者側がユーザーにApp Store以外での取引を促すようなことをしない限り、特定の電子書籍リーダーアプリや、以前に購入したムービーや音楽などの外部コンテンツを試聴するアプリはアプリ内課金なしで動作することを許可しています。シラー氏は「HEYはどちらの基準にも当てはまりませんし、これまでも例外ではありませんでした」と主張しました。

一方で、Appleは「AmazonやNetflixのような大手に対してはアプリ内課金による購入を免除している」ともThe Vergeは指摘しています。また、HEYを開発したBasecampはアプリ内課金の実装だけでなく、アプリ内課金による高額な手数料の徴収についてもAppleを非難しています。Appleが課す高額な手数料は、Basecampが指摘する以前から音楽ストリーミング配信サービスのSpotifyや電子書籍リーダーKoboを展開する楽天からも指摘されており、欧州委員会(EC)によって独占禁止法調査が行われることが決定しています。

Appleに対して「App StoreとApple Payが独占禁止法に違反している」として欧州委員会が調査を開始 - GIGAZINE


アメリカの不当取引や市場独占などを取り締まる下院司法委員会の反トラスト小委員長、デービッド・シシリン氏は、「Appleは自身が持つ市場のために法外な金額を請求してきました。収入の30%を支払うよう開発者に強制し、開発者がAppleの市場へアクセスすることを拒否しています。資金力のない小さなデベロッパは押しつぶされてしまうでしょう」とコメント。

シラー氏は、App Store Reviewガイドラインはアプリの一貫性を確保するためのものであり、ガイドラインを守ることが消費者の満足度につながると主張。また、シラー氏はHEYがApp Storeのルールに沿ったアプリになるために、ユーザーに無料版と有料版のアプリを提供したり、アプリ内課金でアップグレードできる無料アプリを提供したりと、実施可能な修正案を挙げています。

・つづき

Appleに対して「App Storeでの30%というマージンは法外なぼったくり」「ユーザーの選択を狭める」と批判が集中 - GIGAZINE

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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