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新型コロナウイルスの流行による外出規制で人々が「Zoom疲れ」に陥っているとの指摘


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴って多くの国々で外出規制が実施され、仕事を在宅勤務に切り替える人も増えています。そんな中で躍進しているのがZoomをはじめとするビデオ会議ツールですが、アメリカのビジネス情報サイト・Axiosでライターを務めるスコット・ローゼンバーグ氏が「人々は『Zoom疲れ』に陥っています」と指摘しています。

Why we're getting Zoom fatigue - Axios
https://www.axios.com/zoom-fatigue-coronavirus-teleconferencing-f5c0ce17-483f-4c71-9a7d-f023d7e7a45b.html

オンラインで仕事やその他のさまざまな社会的活動を行う必要に迫られている状況下で、ローゼンバーグ氏は人々がビデオ会議によって多くの疲労を感じていると指摘しています。ローゼンバーグ氏が指摘する「Zoom疲れ」の理由は以下の通り。

◆1:生活のあらゆる場面でZoomを使用している
COVID-19の流行に伴い、仕事上の話し合いでZoomを使うことはもちろん、大人数での会議やプライベートな懇親会、家族との会話、宗教的な会合にもZoomが使われるようになっています。外出を控えつつも友人との飲み会をしたい人の中には、ビデオ会議ツールを使って「オンライン飲み会」を行う人々も増えているとのこと。

このように仕事と同じツールを私生活のさまざまなイベントで使用していると、脳が仕事とプライベートの境目を上手く切り替えることができなくなってしまうとローゼンバーグ氏は指摘。たとえばオフィスから帰り道のバーに移動するだけでも、脳や精神状態は「仕事モード」から「プライベートモード」に切り替わりますが、同じイスに座って同じ姿勢で仕事もプライベートの交流も行っていると、脳が上手く仕事モードから抜けられません。また、座りすぎは健康にもよくないことが示されています。


◆2:ビデオ会議は認知的・精神的な摩擦を増加させ、社会的な不安を悪化させる
ビデオ会議ツールはウェブカメラなどを通して相手の様子を見ながら会話することができますが、決して現実世界で直接会って会話する状態と同じではなく、現実の会話とは微妙な違いが発生します。たとえば、わずかに音声や映像が遅延したり、うっかりミュートボタンを押してしまったり、回線が遅くなったりして、会話の中でわずかなストレスが蓄積されるケースが考えられるとのこと。また、ビデオ会議ツールでは自分の映像も画面の一部に表示されることがありますが、話ながら自分の顔を見ることは現実の会話ではあり得ません。

さらにローゼンバーグ氏は、「ビデオ通話では相手とアイコンタクトを取ることができない」という点も指摘。相手の画面に映る自分の姿は、外付けまたはPCなどに搭載されたウェブカメラで撮影されたものであり、自分の画面に映る相手とアイコンタクトを取ろうとすれば、自分の視線はウェブカメラから外れてしまいます。

通常のビデオ会議では、参加する全員の顔がバストアップの姿で表示されますが、画面に大きく映し出される人間の顔は「戦うか逃げるか反応」を引き起こすとの指摘もあります。戦うか逃げるか反応によって多くのストレスホルモンが放出されるため、ビデオ会議の通話は肉体と精神に大きなストレスがかかるとのこと。また、現実の会話ではお互いに別の場所を向いたり歩きながら間隔が離れたりして、常にお互いが顔を突き合わせているわけではありませんが、ビデオ会議ツールでは基本的に画面を見つめながら会話します。この点も、通常の会話に慣れた人にとってストレスになるとローゼンバーグ氏は指摘しました。


◆3:そもそもCOVID-19のパンデミックという状況に人々が疲れている
人々がビデオ会議ツールを使わざるを得なくなっているのは、COVID-19が世界的に流行して人々の生活がひっくり返されたためです。この事実そのものが人々を疲れさせていますが、ビデオ会議ツールを使うたびに「今の自分たちは普通でない状況に陥っている」ことを自覚してしまい、なお一層疲れてしまうとローゼンバーグ氏は述べました。

なお、ローゼンバーグ氏は「全てがビデオ会議ツールを使ったミーティングである必要はありません」と指摘し、ビデオを使わない通話やメールでも十分に他人とのやり取りは可能だとアドバイスしています。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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