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リモートワーク導入のガイドラインをGitLabが公開


GitLabは、65カ国以上に1200人以上の社員を持ち、全社員がリモートワークを行っている世界最大級のリモートワーク導入企業です。GitLabは社内でのリモートワークを推進するだけでなく普及にも尽力しており、リモートワーク導入のためのガイドラインを公開しています。

All Remote | GitLab
https://about.gitlab.com/company/culture/all-remote/

メリット
100%リモート環境での仕事は、従業員や雇用者だけでなく、世多くのメリットと競争優位性をもたらします。

まず、従業員のメリットとしては以下が挙げられます。
・趣味や配達、家族など、日常生活に多くの時間を割ける。
・通勤時間がなくなり、交通費が不要になる。
・通勤がないため、職場を出入りする際に事故に巻き込まれる危険がない。
・仕事の割り込みが発生しにくい。
・休暇を申請せずに外出できる。
・場所に依存しないため、外出や引っ越がしやすい。
・同僚から病気をうつされない。
・職場の人間関係や派閥争いに悩まされない。
・自分に最適な仕事場を持てる。
・自分の最も生産性の高い時間に基づいて、勤務時間を選択できる。
・世界中にいる同僚から、仕事の視野を広げ、新しい文化について学ぶ機会が生まれる。
・制服がいらない。

雇用者のメリットとしては以下が挙げられます。
・世界中の優秀な人材を雇うことができる。
・オフィスの維持費用の節約。
・オフィスの拡大に費用が掛からない。
・人材の異動に費用がかからない。
・世界中の従業員が非同期で作業しているため、1日中誰かが勤務している状態になる。
・局地的な災害の影響を受けない。
・多様な人材により組織の多様性が高まる。


デメリット
リモートワークには多くの利点がありますが、すべての人に適しているわけではありません。組織だけでなく、従業員のライフスタイルや仕事の好みに応じて、潜在的に不利益を与える可能性があります。

主なデメリットとしては以下が挙げられます。
・同僚とすぐにつながりを持てないので、自己学習を多く必要とする新人研修が困難になる可能性がある。
・オフィスワークからリモートワークに移行してすぐは、孤独を感じる場合がある。
・コミュニケーション能力が低下する可能性がある。
・リモートワークでは仕事と生活を分けられない人がいる。
・自分の時間を管理し、自発的で、規律を守り、整理できる人でないとリモートワークを取り入れにくい。
・国ごとに通貨や税金が違うため、賃金や経費などに問題が生じる可能性がある。


リモートワークの緊急事態
新型コロナウイルスのようなパンデミックなど、世界各地で発生している大きな問題に直面する場合があります。リモートワークでチームを管理するリーダーのために、問題に対処するための5つのアイデアが挙げられます。

・課題をリアルタイムで文書化し、課題に優先順位をつける責任者を任命する。
・全従業員が参照できる、緊急事態の被害を抑えるためのマニュアルを作成する。
・チームメンバーが自由に出入りし、情報共有できるコミュニケーションツールを構築する。
・コミュニケーションツールは1カ所に集中させ、ログを取れるようにする。
・何が機能していて何が機能していないかを素早く把握し、すべての従業員に通達する。


リモートワーク導入の注意点
新しくリモートワークを始める従業員が、気をつけなければならないことについて、以下の5つの点を挙げています。
・どこで仕事をするか、定位置を決めておく。
・リモートワークで家に常駐できるからといって「暇ではない」ということを周囲の人間に理解してもらう。
・従業員間でのコミュニケーションや報告・連絡・相談を怠らない。
・仕事と生活の時間をきちんとを分け、予定よりも長い時間働きすぎないよう注意する。
・チームメンバーの就業時間と作業環境を把握する。


情報の管理
リモートワークを行う上で、情報の管理に求められる要素について、以下の4つが挙げられています。
・仕事に関する情報を透明化し、報告、連絡、相談などが誰でも見えるところで行われるようにする。
・誰もが参照できるマニュアルを作成し、いつでも欲しい情報が得られるようにする。
・ミーティングの内容はドキュメントでログを残し、図ではなくテキスト化して解釈のばらつきをなくす。
・作業時間が異なるチームメンバー同士のやり取りは、メールなどの非同期な通信でやり取りを行い、相手に時間外労働を強要しない。


報酬の注意点
GitLabのように65カ国に散らばるリモートワークのチームメンバーの報酬を管理することは複雑で、GitLabのプロダクトマネージャーであるビクター・ウー氏は「包括的な解決策はない」と述べています。GiLabでは、従業員に対して、各国それぞれの通貨で報酬を支払っています。

共通の通貨で支払わない理由として「共通の通貨で賃金を支払うと、国ごとの報酬費用に大きな差が生まれ、より安価な人材を雇う傾向が生まれてしまいます。そうすると、我々が望む人材を確保することができなくなります。すべての従業員に最低の賃金を支払い始めた場合、優秀な人を保持することはできません」とウー氏は語っています。


学習と開発
リモートでの教育の場として、ウェブキャストの配信や、資料をオンラインで共有するといった手段が挙げられます。

リモートで学習環境を提供するメリットとして、以下の3点が挙げられています。
・全員が教室にそろうのを待つ必要がないので、好きな時間に学ぶことができる。
・オンラインで資料を共有することで、学習内容を忘れてしまっても好きなタイミングですぐに復習することができる。
・それぞれの従業員が、好きな時間帯、環境で学習できる。

また、デメリットおよび課題として以下の2点が挙げられています。
・生徒がサボっていても分からない。
・講師が生徒からのフィードバックを受け取りづらく、質疑応答の場を設けにくい。


コミュニケーション
リモートワークの環境では、従業員同士のコミュニケーションも重要です。特にリーダーは、率先してコミュニケーションを行い、チームメンバーが仕事とは関係のない話題でも気軽に話し合えるような雰囲気作りが望まれます。

互いの顔が見えづらいリモート環境でも、それぞれが人間として、お互いを知るために時間を設けることに重点を置く必要があります。例えば以下は、GitLabで実際に実施されたコミュニケーション促進のための交流イベントの一部です。

・参加者が話し合いたいテーマを自由に提案できるテレビ電話。
・参加者が小グループに分かれて10~15分間、仕事に関係しないトピックについて話し合う。
・チーム全体を1つの場所に集めて、直接会って話す。
・週に4回、会社に集まって話し合う。
・チームメンバーを訪問する場合、1人あたり最大150ドル(約1万6000円)の交通費をカバーする。
・チームメンバーは、CEO所有のAirBnBに無料で集まることができる。


マニュアル作成の優先
チームの規模が拡大するにつれて、蓄積されたノウハウやルールといったマニュアルの文書化の必要性が増加します。

マニュアルの作成を優先することで、従業員は信頼できる単一の情報源を共有することができます。また、マニュアルの文書化に取り組んでいない組織では、チームメンバーが延々と同じデータを調べたり、再確認したりする悪循環が生まれてしまいます。


会議の重要性
リモートワークにおいては、会議はあくまでオプションであり、「絶対必要なものではない」と考えるべきです。また、定期的な会議は推奨されません。定期的な会議はチームメンバーに時間的な拘束を強要することになります。

多くの企業では、会議は合意を得る場として機能しますが、GitLabでは、決定権はリーダー格の1人に与えられ、リーダーはメンバーの意見に耳を傾けた上で全員が納得できる決定を行っています。

もしテレビ電話やチャットで会議を行う場合は、必ずしもメンバー全員に参加を強要せず、ログを保存し、その場にいないメンバーとも情報が共有できるようにします。


テキストによる効果的かつ責任あるコミュニケーション
リモート環境では、テキストベースのコミュニケーションが多くなります。ミーティングや会話によるコミュニケーションが一般的だった環境から来た人にとっては、不快に思う場合もあります。

テキストでコミュニケーションを取るにあたって気をつけるべき点が挙げられています。
・読む人に対する思いやりを持ち、書いたものが相手だけでなく、不特定多数の人間に読まれる可能性があることを認識する。
・人間関係に重点を置き、直接的な言い回しは避け、他者の感情に対して敏感になる。
・相手が議題について何も知らないと想定して、できるだけ短い文章でできるだけ多くの情報を伝えられるようにする。
・送信前にテキストを読み直し、内容が否定的でないか、攻撃的でないかを確認する
・自分の意見を強要せず、相手の耳を傾け、理解し、協力する手段としてテキストコミュニケーションを利用する。
・チームメンバーに対して、感謝していることについては具体的に説明する。


ウー氏は「リモートは克服すべき課題ではなく、明らかにビジネス上のメリットと言えます」と語っています。GitLabが世界の国で採用や雇用を行っていることは、GitLabが持つ競争上の優位性とも言えます。しかし、ウー氏は「GitLabがリモートワークを採用したことで得た雇用上の優位性が、時間の経過とともに減少することを期待しています。リモートワークが浸透することで、より雇用の機会が均等に分配され、世界中の繁栄につながると信じています」と述べています。

Gitlabでは、他にもリモートワーク環境を推進するためのガイドラインが数多く公開されています。

All Remote | GitLab

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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