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新型コロナウイルスはどのように終息に向かっていくのか?


新型コロナウイルスについて、Microsoftの創業者であるビル・ゲイツ氏は「アメリカでは夏を待たず改善する」との見通しを語っていますが、一方WHOは「新型コロナウイルスの回復者が免疫を獲得しているかは不明なので、業務停止や外出自粛などの制限の解除の動きも緩慢なものになる」と発表しており、新型コロナウイルスの終息については先の見えない状況が続いています。そこで、アメリカ・カリフォルニア州の日刊紙The Mercury Newsが、複数の専門家の意見を元に「アメリカがどのように都市封鎖解除へ向かっていくのか」を論じました。

Coronavirus: Can we avoid a second wave of infections?
https://www.mercurynews.com/2020/04/12/coronavirus-can-we-avoid-a-second-wave-of-infections/

新型コロナウイルスの発生源だとされる中国の武漢市では、2020年4月8日に76日間続いた都市封鎖が解除されましたが、武漢市の住民は解除後も続く不安にさいなまれていると報じられています。

一方、都市封鎖が続いているカリフォルニア州の元公衆衛生官であるカレン・スミス氏はThe Mercury Newsの取材に対し、「私が知る限り、誰も今後についての具体的な計画を立てていません。多くの人が、誰かの意見を待っている状態です」と回答しました。

カリフォルニア州では3月19日に州全域を対象とした自宅待機命令が発動されたほか、同州の経済の中心地であるベイエリアではこれより3日早い3月16日に同様の措置が講じられています。以来、感染率の伸びは鈍化しているとのことですが、カリフォルニア州の公衆衛生当局やギャビン・ニューサム知事は都市封鎖の解除は当面行われないとの見方を示しています。


また、サンタクララ郡の保健衛生官を務めるサラ・コーディ氏も「新型コロナウイルスを終息させるには、効果的な治療法、ワクチンもしくは集団免疫を実現するために十分な数の人々が新型コロナウイルス感染症にかかることの3つが必要ですが、そのどれも実現からはほど遠い状況です」と指摘しました。

記事作成時点での新型コロナウイルスへの感染者数が52万4514件と世界最多のアメリカでも、この病気にかかった人の割合は約0.14%程度しかないといわれています。一方で、新型コロナウイルスの感染しやすさを見直した新しい研究では、集団免疫が得られるには人口の82%が新型コロナウイルスへの免疫を獲得しなければならないことが示唆されており、自然に集団免疫が獲得されるのを待つのは現実的ではないと見られています。

新型コロナウイルスの感染性は従来の予想の2倍だとの研究結果 - GIGAZINE


そのため、新型コロナウイルスに効果を示すワクチンの登場が望まれていますが、スタンフォード大学の疫学者であるスティーブン・ルビー教授は「アウトブレイクを止めるほどの迅速さでワクチンが開発されたのは一度だけしかありません。それは、2011年のハリウッド映画『コンテイジョン』の中での出来事です」とコメントして、早期のワクチン開発は望み薄であるとの見方を示しました。

こうした状況で都市封鎖が解除されるには、「広範に及ぶ都市封鎖を行わなくても、医療システムが新しい感染例の急増を効果的にコントロール可能だと判断されること」が1つのポイントだとのこと。しかし、この判断を行うには「既に新型コロナウイルスに感染している人やその人と接触した人」を把握するための非常に大規模な検査が必要になります。シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の報告によると、アメリカ全体での新型コロナウイルス検査可能数は週に75万人で、これまでに240万人のアメリカ人が検査を受けているとのことです。

もう1つのポイントが、「医療体制が突発的な集団感染に備えることができる余裕を確保できること」です。これには、少なくとも2週間は新型コロナウイルス感染症で新規に入院する患者の数が落ち着く必要があるとされていますが、地域によって差が出ることが予想されます。そのため、スミス氏は各州や地域の保健当局が新たに集団感染が発生しても医療体制が持ちこたえられると判断できるまで感染が落ち着いてから、地域ごとに自宅待機命令が解除されていくと見ています。


また、新型コロナウイルスの感染リスクや感染した際の影響を最小限に抑える免疫力も年齢によって開きがあるため、ルビー教授は「年齢別の段階的な制限解除」が合理的だと考えています。このことについて、ルビー教授は「私たちはいずれ仕事に戻らなければなりませんが、最初に元の生活に戻れるのは若い人たちです。なぜなら、これまでのデータから高齢者の方がリスクが高いことが明らかだからです」と述べています。

さらに、制限が解除される地域や年齢層だけでなく、イベントや行事の解禁も段階的になるだろうと考えられています。スミス氏は「制限が解除される経済活動の種類や規模も順次拡大され、コンサート・パレード・スポーツイベントなどは最後になるでしょう」と話しました。


こうして少しずつ都市封鎖が解除されても、油断は禁物だと専門家は指摘しています。ニューヨーク大学国際公衆衛生学部のロビン・ガーション教授は「新型コロナウイルスが終息する過程で、感染者数の小さな波がいくつも到来するでしょう」と話しました。

また、スミス氏は終息後の社会について「公共の場でのマスクの着用や、2m程度の距離を保つといった新型コロナウイルス対策の必要性は都市封鎖などの制限が解除されても残ります。最終的に、私たちは人前でマスクをすることに慣れてしまうようになるでしょう」とコメントしました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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