「子どもは新型コロナウイルス感染症が重症化しにくい」とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が確認
2020年4月6日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がアメリカ国内での調査から「子どもは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しづらく、感染しても重症化しづらい」という結果が出ていることを明かしました。CDCは「小児のCOVID-19患者は発熱・咳が出ないケースも多く、無自覚のうちに伝染を広める可能性がある」と警告しています。
Coronavirus Disease 2019 in Children — United States, February 12–April 2, 2020 | MMWR
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6914e4.htm
CDC releases first US data on COVID-19 cases in children | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/04/cdc-reports-data-on-2500-covid-19-cases-in-kids-including-3-deaths/
2020年2月17日、中国伝染病予防・管理センターが、「COVID-19は子どもではほとんど重症化しないが、年齢が上がるにつれて重症化の確率が高まっていく」という研究を発表。研究の詳細は以下の記事を読めばわかります。
新型コロナウイルスの致死率は2.3%で80%以上は軽度症状、ただし致死率は年齢で大きく差が出る - GIGAZINE
CDCが発表したのは、研究対象を「子ども」に絞った同様の研究です。CDCは2020年2月12日から4月2日の間にアメリカ国内で感染が確認された18歳未満の子どもを詳細に分析。子どもが感染する確率や、子どもの病状などを調査しました。
調査の結果、CDCは「子どもはCOVID-19に感染しにくい」「子どものCOVID-19は重症化しにくい」と確認しました。アメリカにおいて18歳未満の子どもは人口の22%を占めていますが、年齢が確認できた国内感染者14万9082人のうち、18歳未満の子どもはわずか2572人(約1.7%)でした。18歳未満の感染者2572人のうち、1歳未満の子どもは398人(15%)、1~4歳は291人(11%)、5~9歳は388人(15%)、10~14歳は682人(27%)、15~17歳は813人(32%)です。
また、性別的には、子どもの感染者の57%が男性でした。アメリカ国内の成人の感染者は53%が男性であるため、18歳未満ではやや男性が感染しやすいという傾向が出ています。また、感染経路が判明している184人のうち、16人(9%)が旅行による感染で、168人(91%)が家族あるいはコミュニティからの感染でした。
重症化について、入院状況の確認が取れたのは、18歳未満の子どもの感染者のうち745人(29%)、18~64歳の大人では3万5061人(31%)であるため、全感染者の入院状況を把握できたわけではないとのこと。CDCは、「子どもの感染者のうち入院が必要だった割合は5.7~20%で、集中治療室(ICU)に搬送された割合は0.58~2.0%。一方、大人の感染者のうち入院が必要だった割合は10~33%で、ICUに搬送された割合は1.4~4.5%」と推定しています。ただし、子どもの入院者は、1歳未満の乳児が最も高い割合(推定15~62%)を占めており、1~17歳の子どもが入院する確率は推定4.1~14%と低めでした。
以下のグラフは入院状況の確認が取れた18歳未満の患者を、年齢ごとに「ICUに搬送された(ICU:薄い青色)」「入院した(Hospitalized:濃い青色)」「入院すら必要なかった(Not hospitalized:黒色)」で分類し、それぞれの割合を示したものです。「<1(1歳未満の乳児)」のグラフを見ると、青色の割合が圧倒的に多く、乳児の半数以上が入院を必要としていたことがわかります。一方、1歳以上の年齢では、年齢が上がっても、それぞれの色の割合にはそれほど差は見られません。CDCは「1歳以上では年齢によって入院状況にばらつきはなかった」と記しています。
18歳未満の子どもと、18~64歳の大人の病状を比べた表が以下。左側の列が「Pediatric(子ども)」が示した症状の件数、右側が「Adult(大人)」の示した症状の件数で、括弧内は割合を示しています。症状は上から順に「Fever,cough,or shortness of breath(発熱、せき、息切れのどれか1つ以上)」「Fever(発熱)」「Cough(せき)」「Shortness of breath(息切れ)」「Myalgia(筋肉痛)」「Runny nose(鼻水)」「Sore throat(喉の痛み)」「Headache(頭痛)」「Nausea/Vomiting「吐き気・嘔吐」」「Abdominal pain(腹痛)」「Diarrhea(下痢)」となっています。COVID-19の基本的な症状である「発熱、せき、息切れ」の項目を見ると、子どもは73%、大人は93%となっており、基本的な症状すら出ない子どもが多くいることがわかります。
以上の結果から、CDCは「子どもがCOVID-19に感染しても、常に熱やせきが出るとは限りません」と指摘し、「子どもを含む無症候性感染者がCOVID-19を伝染・拡散している可能性が高いため、全ての年齢層の人々が社会的距離を置き、日常的な予防行動をとることが推奨されます」と結論付けています。
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