サイエンス

新型コロナウイルスの研究にPCの余ったコンピューティングパワーを使う取り組み


スタンフォード大学を中心として2000年10月から行われている分散コンピューティングプロジェクトの「Folding@home」が、新型コロナウイルス(2019-nCoV)を分析し、新しい治療法を開発するための取り組みを加速させています。ユーザーはFolding@homeのプログラムをインストールすることで未使用の計算リソースを寄付でき、2019-nCoVの新しい治療法設計に協力することが可能です。

[email protected] takes up the fight against COVID-19 / 2019-nCoV ? [email protected]
https://foldingathome.org/2020/02/27/foldinghome-takes-up-the-fight-against-covid-19-2019-ncov/

2019-nCoVはSARSコロナウイルス(SARS-CoV)と密接な関係にあり、同じように機能することが知られています。2つのコロナウイルスは、ウイルス表面のタンパク質が肺細胞の受容体タンパク質と結合することで体内に侵入します。このウイルスタンパク質は、突起(スパイク)を持つことからスパイクタンパク質と呼ばれており、その見た目は以下の画像の赤色部分のようになっています。

By Alissa Eckert, MS; Dan Higgins, MAM

2019-nCoVのウイルス表面にあるスパイクタンパク質が、肺細胞の表面に発現するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体と結合して人間の体内に侵入します。そのため、治療用の抗体は、スパイクタンパク質がACE2受容体に結合することを防ぐことができるタンパク質の一種になるとみられています。SARS-CoV向けの治療用抗体は既に開発されていますが、2019-nCoV用の抗体を開発するには、2019-nCoVのスパイクタンパク質の構造とACE2受容体との結合プロセスをより深く理解する必要があるわけです。

タンパク質は小刻みに動き、折りたたまれたり開いたりしながら、さまざまな形状を取ります。そのため、2019-nCoVのスパイクタンパク質の形状も1つだけというわけではありません。スパイクタンパク質がACE2受容体と相互作用する方法をよく理解し、抗体を設計できるように「タンパク質が折りたたまれて別の形状になる方法を研究する必要がある」とFolding@homeは記しています。なお、既にSARS-CoVのスパイクタンパク質の構造はある程度明らかになっていますが、2019-nCoVは異なる変異であることが明らかになっています。


これらの情報を基に、2019-nCoVのスパイクタンパク質の構造をモデル化し、治療用抗体の標的となる部位を特定するための計算モデルを構築するのがFolding@homeの目標です。しかし、そのためには膨大なコンピューティングパワーが必要となるため、ユーザーに対して助力を求めるべく取り組みの詳細を発表したというわけです。

なお、Folding@homeに協力するにあたって特別な登録などは不要で、以下のページで配布されている専用プログラムをダウンロード・インストールすればOKです。

Start folding – [email protected]
https://foldingathome.org/start-folding/

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by logu_ii

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