木材・樹液・小石・果実を使って自分なりの街を動物と建物で作り出す「エバーデール」レビュー
そびえ立つ大樹の枝の下、森の動物たちの文明が花開くエバーデール谷に1年をかけて素敵な街を作り上げるという「エバーデール」の完全日本語版が、アークライトゲームスから2020年1月9日に登場。「簡単に楽しめるワーカープレイスメントの建物建築ゲーム」で、非常に美しく豪華なコンポーネントも魅力というエバーデールを実際に遊んでみました。
エバーデール 完全日本語版 | ArclightGames Official
https://arclightgames.jp/product/%E3%82%A8%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%BC%E3%83%AB/
◆開封
パッケージには、淡い光に包まれる森と動物たちが描かれています。
プレイ人数は1~4人、対象年齢は13歳以上。プレイ時間は40~80分が想定されていました。
中身はルール説明書と、「永遠の樹の組み立てかた」
ゲーム盤と、永遠の樹のパーツやトークン
ゲーム盤は広げるとこんな感じ。
永遠の樹のパーツやトークンは厚紙から簡単に外すことができます。
8面ダイス(サイコロ)と小枝トークン、果実トークン、樹液トークン、小石トークン
労働者コマが4種類。各色6個ずつ入っていました。
特殊イベントカードと森カード
そして建物カード65枚と動物カード63枚。建物カードと動物カードは裏面が同じ柄です。
◆準備
まずは永遠の樹の組み立てからスタート。幹を組み立てたら……
2段目となる葉の部分をセット。
その上から3段目の葉を差し込みます。「永遠の樹の組み立てかた」にある通り、3段目はまず斜めに差し込まないときちんとセットできないので注意。
永遠の樹が完成。
ゲーム盤の中央上部に描かれている切り株の上に永遠の樹を配置します。
そして、切り株の手前を流れる川の岸辺に、小枝トークンと樹液トークンと……
小石トークンと果実トークンを配置します。
そして、勝利点トークンと扉トークンを、ゲーム盤の脇に置きます。
森カードをシャッフルし、ゲーム盤の左右端にある茂みの穴に1枚ずつ起きます。配置する枚数は、1~2人プレイの時は3枚、3~4人プレイの時は4枚。残った森カードは使わないので箱に戻します。
そして、永遠の樹の根元に基本イベントカードを以下の画像のように配置します。
さらに、特殊イベントカードをシャッフルしたら、以下の画像のように永遠の樹の二段目に4枚置き、残った特殊イベントカードを箱に戻します。
動物カードと建物カードをよくシャッフルしてカードの山を作り、永遠の樹の根元にある空間におさまるように配置。
カードの山の上から8枚引いて、ゲーム盤の手前にある「広場」に表向きで配置します。
そして、プレイヤーに労働者コマを2つずつ、さらにカードをスタートプレイヤーから順番に5枚、6枚、7枚、8枚と配ります。
残った労働者コマは永遠の樹の3段目の上に配置します。
準備完了するとこんな感じ。準備にかかる時間は箱から出してだいたい5分~10分といったところでした。
◆4人プレイを遊んでみた
「エバーデール」は、そびえたつ大樹とその下をゆったりと流れる小川、そしてたくさんの動物たちが住むエバーデール谷を舞台に、与えられたカードを並べることで、建物を建設したり、やる気あふれる動物を迎え入れたりしながら、立派な街の建造を目指すゲーム。プレイヤーは冬から建設を始め、春、夏、秋と季節を巡って、次の冬にどこまで完成度の高い街を作ることができるかを競います。
ゲームの進行はシンプルで、プレイヤーは手番を時計回りに進めていきます。プレイヤーが手番で実行可能なのは「カードのプレイ」「労働者コマの配置」「次の季節の準備」の3つです。
「カードのプレイ」は、自分の手札あるいは広場にある8枚の建物/動物カードのうち、どれか1枚を手元の場に出すアクションです。ただし、建物/動物カードをプレイするには、カードに描かれているコストを支払う必要があります。例えば「樹液精製所」は、樹液トークン1つと小石トークン1つでプレイ可能。
プレイした建物/動物カードは効果を発動した後、自分の目の前に並べていきます。樹液精製所は樹液トークンを1つゲットできるという建物カードです。
建物カードのほかに、動物カードがあります。動物カードのコストは、対応した建物カードか資材が必要になります。
例えば、船頭ガエルのカードは、「小枝の運搬船」という建物カードがあれば、資材を支払わずにプレイすることができます。ただし、建物カードを条件にプレイした場合は、建物カードの右下に扉トークンを配置する必要があります。
また、建物カードや動物カードには「一般の建物/動物」「特別な建物/動物」という2種類が存在します。一般の建物/動物カードは街に何枚も設置することができます。特別な建物/動物カードは1つの街に1枚しか置くことができませんが、かなり強力な効果をもっています。
たとえば「牢獄」というカードは、すでに街に配置されている建物あるいは動物カードを投獄することで、別のカードから任意の資材コストを3だけ減らしてくれるという強力なカード。
カードのコストを減らすことで、1枚で勝利点を最低4点は得られる一方で果実トークンを6つも必要とする「王」カードも入手しやすくなります。
プレイした建物/動物カードをどんどん目の前に並べていくことで、自分だけの街が形作られていきます。
プレイした建物/動物カードは最大15枚まで並べることが可能で、ルール説明書では、以下の画像のように「5枚のカードを横3列に並べることをお勧めします」とありました。並べる順番は自由なので、「農場は横に並べて広大なものとしたい」「永遠の樹は我が街の象徴なので中央に置くとする」「店主や裁判官はいるのに肝心の建物はない、人材こそ財産」など、自分の好みを反映して並べるとプレイの楽しさが増します。
建物/動物カードを配置して街を作るためには資材が必要。各資材は「労働者コマの配置」でゲットできます。
労働者コマは1回の手番で1つだけ、足跡の書かれたマスに置くことができます。例えば以下の画像のマスに労働者コマを配置すると……
樹液トークンが2つゲットできます。資材がなければ街を作ることができないので、資材を効率よく集めるためにゲーム盤に労働者をどのタイミングでどのマスに配置するかが重要。
労働者コマが配置できるマスはゲーム盤以外にも、森カードや……
プレイヤーが配置した建物カードにも描かれていることがあります。
基本イベントカードは、一番最初に労働者コマをマスに配置したプレイヤーがゲットできます。ただし、提示されている条件を満たさなければ置くことはできません。例えば以下の「収穫祭」のイベントは、「緑の生産カード」という属性の動物/建物カードを街に4枚配置しなければゲットできません。
特殊イベントカードはさまざまな効果や勝利点を得られるカード。これも労働者コマを配置することでゲットできますが……
特殊イベントカードは、上部に書かれているカードを街に配置していなければゲットできません。例えば、資材を勝利点に変換できる「素晴らしい販売計画」は「店主」と「郵便局」というカードを街に配置していなければ獲得できません。
最後の季節である秋の時だけ、労働者コマを置ける「旅」マスも存在します。このコマは「捨てた手札の枚数分だけ勝利点を獲得できる」というもの。
そして、労働者コマをすべて使い切ってしまったら、「次の季節の準備」をすることができます。労働者コマは配置すると手元に戻ってきませんが、季節が終わるとまた手元に戻ってきます。さらに、永遠の樹の3段目に置いてあるコマが手元に追加されていきます。つまり、季節を進めるごとに使える労働者コマがどんどん増えていくというわけです。
また、次の季節の準備を行うと、季節によって追加効果があります。例えば春と秋に備える場合は、「緑の生産カード」の効果が再発動します。以下の場合だと、「農場」で果実トークンを1つずつ、「小枝の運搬船」で小枝トークンを2つ、さらに「船頭ガエル」で小枝トークンを4つも獲得。カードをプレイするタイミングとコンボを考えるのがこのゲームの肝といえます。
「次の季節の準備」は条件を満たしていればプレイヤーが好きな時に行うことができます。言い換えると「自分はそろそろ秋が終わって次の冬がやってきそうなのに、相手はまだ夏をプレイしている」といった状況も起こり得るということ。労働者コマをどんどん配置し、季節が流れ、一切やることがなくなったプレイヤーはゲームをパスします。
プレイヤー全員がゲームをパスしたらゲーム終了。各自プレイヤーの勝利点をすべて換算します。プレイヤーの勝利点は基本的に建物/動物カードに描かれている数字の合計値で、さらに建物/動物カードの効果による追加点や基本イベントカードや特殊イベントカードなどの勝利点などを合計します。なお、余った資材は得点に換算されないので、どれだけきれいに使い切れるかがポイント。
以下は、最も勝利点が高かったプレイヤーの街。
勝利点を大きく稼いでくれる特殊イベントカードや基本イベントカードをしっかりとゲットしているのが特徴的。
そして、以下の画像は1点差で負けてしまい、惜しくも2位となったプレイヤーの街。
このプレイヤーは基本イベントカードや特殊イベントカードは全くゲットしていなかったものの、樹液トークンと小石トークンを勝利点に変換できる「建築家」カードで、余った資材をきっちり勝利点に変えることで、1位に迫るすばらしい街を作り上げました。
なお、4人で遊ぶと1ゲームにはだいたい3時間ほどと、想定されていたプレイ時間の倍以上がかかりました。2回目のプレイは全員がほぼルールを把握していたにも拘わらず、やはり2時間30分以上かかりました。
◆ソロプレイで遊んでみた
ソロプレイはエバーデール谷の嫌われ者であるネズミのラグワートを相手に、3年間(3ゲーム)連続で勝利するというもの。ラグワートはエバーデール谷の王を自称し、ごろつきを集めてあの手この手と汚いやり口でエバーデール谷を支配しようとしている様子。
基本的なゲームの進め方は同じ。ただし、ラグワートは手札を持たず、サイコロのみ。
そして、ラグワートの労働者コマは、プレイヤーの妨害をします。
プレイヤーの手番の進め方は2~4人で遊ぶ時と同じです。ただし、プレイヤーが建物/動物カードをプレイすると……
ラグワートは広場に置かれている建物/動物カードから、8面ダイスの目で決めた1枚をノーコストでプレイします。
ダイスの目は、広場に置かれた建物/動物カードの位置に対応しています。例えば8の目を出した場合、ラグワートは一番右下のカードをプレイします。
プレイしても、ラグワートはプレイヤーのような街を作らず、ただカードが重なっていくだけ。ただし、後の点数計算のことを考えて、カードの属性ごとに分類して重ねる必要があります。
そしてプレイヤーが「次の季節の準備」を行うと、ラグワートも次の季節の準備をします。例えば最初の冬が終わって春がきたら、永遠の樹に載っているラグワートの労働者コマの追加分は……
広場の一番左上にある建物/動物カードに配置します。ラグワートの労働者コマが置かれた位置のカードは、プレイヤーがプレイすることができなくなってしまいます。
季節が進むにつれてラグワートの労働者コマが広場に置かれていくため、プレイヤーがプレイできる広場の建物/動物カードは減っていくこととなります。
また、季節が巡るたびにラグワートの労働者コマは以下のようにマスを移動します。
さらに、ラグワートが獲得したカードが基本イベントカードの条件を満たしている場合、問答無用でラグワートが基本イベントカードを持っていってしまいます。
1人プレイなので、ゲームの進行自体はサクサク進んでいきます。
プレイヤーがゲームを終了したら、プレイヤーとラグワートで勝利点を計算します。プレイヤーの勝利点の計算は2~4人プレイと同じです。
ラグワートは、祝福以外の建物/動物カードを1枚2点、紫色の祝福カードを1枚3点、達成した基本イベントカードを1枚3点、プレイヤーが獲得できなかった特殊イベントカードを1枚3点で勝利点を計算します。以下の場合は1年目でプレイヤーがぎりぎり勝利したものの、2年目以降は余った特殊イベントカードが1枚6点に換算されるなどラグワートの勝利点が増加する設定となっていて、難度は急激にアップ。ソロプレイには4回チャレンジしましたが、結局ラグワートを3年連続で退けることはできませんでした。
エバーデールはしっかりと作り込まれた世界観や豪華なコンポーネントがとにかく目を引き、プレイしたカードを並べながら自分の街を考えるといったロールプレイが楽しめるのが魅力。同時に、カードのコンボや労働者コマを置く位置とタイミング、資材の管理をしっかりと考えなければならず、高い戦略性を求められるゲームとなっていました。
また、手札を含めたカードの引きが大きくゲームの展開を左右しており、戦略だけではなく運も重要。カードの引きがよくても連携やコンボを考えなければ良い街を作ることはできず、どれだけ巧妙にカードを並べてもここぞというタイミングで欲しいカードがゲットできなければいつまでも資材が足りずにできることがなくなる……という展開もあり、ゲームで必要となる戦略と運のバランスは絶妙。
プレイする上で見るべき場所や考えるポイントが非常に多いため、エバーデールはボードゲームに慣れていない人にとって少し高めの難度になっているといえますが、ゲームとしての満足度は非常に高く、ボリュームも十分ありました。
「エバーデール 完全日本語版」はAmazon.co.jpで、記事作成時点で税込8485円で購入可能です。
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