レビュー

掃除ロボットの生産ラインを組み立てお金を稼いでコンピューターに勤労奉仕する「メカニカ」プレイレビュー


クラウドファンディングサイトのKickstarterで目標額4万ドル(約440万円)のところを13万ドル(約1400万円)以上集めて話題となったボードゲーム「メカニカ」が、完全日本語版となって2020年1月に発売されました。「コンピューターの管理する工場で、掃除ロボットの生産ラインを組み立てて働く」というSFっぽい世界観を楽しめるメカニカを実際に遊んでみました。

メカニカ | | ANALOG GAME INDEX
http://hobbyjapan.games/mechanica/


◆内容物
メカニカのパッケージはこんな感じ。プレイ人数は1~4人、プレイ時間は45~60分に設定されています。


ルールが書かれた取扱説明書と、コインや「アルマンド-0」カードの収まった厚紙、設計図カード15枚、早見表4枚


最初から切れ目が入っているので、コインやカードはサクッと取り外せます。


工場ボード4枚。


ショップボードはくるくる回る仕組みになっています。


金庫は4つ入っていて、フタと筒を組み合わせることで貯金箱のような見た目になります。


そして、このゲームの主役であるボットは3種類。左から「ご家庭の床を365日24時間吸い込み続けます」というつや消しホワイトのベーシックボット、手が追加されて道具を持てるようになった鮮やかなオレンジのプラスボット、反重力テクノロジーが搭載されてさらに優秀になった紫色のデラックスボットです。よくみると顔がついているのが非常にキュート。このゲームでは、これらのボットを生産して売りさばき、お金をたくさん稼ぐことが目的となります。


そして、ボットを生むための生産ラインを組み立てるためのパーツが、以下のジグソーパズルのピースのような形をしたパネルです。


パネルには「分岐」「巨大トラック」「大型トラック」「装置」の4種類があります。開封したキットにはこれらのパーツがすべて混ざった状態で1つの袋に収納されていましたが、ゲームを始める前にあらかじめ4種類を選別しておく必要があります。


◆プレイ準備
メカニカの特徴は、その内箱がそのままゲームのコンポーネントになるというところ。装置パネル(27枚)のうち、21枚を「装置」に、6枚を「追加分」に収納。さらにコインとボットをそれぞれ以下の画像のように収納します。


なお、コインとボットは内箱からやや取り出しづらいので、平皿を別途用意するとゲームの進行がスムーズになるのでおすすめです。


分岐と大型トラック、巨大トラックを、シールの貼られたスペースに収納。シールの名前の横に書かれた数字は、ゲーム中に分岐・大型トラック・巨大トラックを1枚購入するために必要なコインを示しています。15枚の設計図カードはよくシャッフルしてから2つの山に分け、裏向きのまま設置してから、1番上のカードだけを表に向けます。


ショップボードを設置して、「装置」の上から1枚ずつ取り出し、「5」と「7」のスペースに配置します。


プレイヤーには工場ボード1枚、金庫1つ、5コイン1枚と1コイン3枚、早見表を1枚配布。さらに、工場ボードの左端中央にベーシックボットを1つ配置します。


工場ボードは左から生産エリア・工場エリア・出荷エリアの3つに分かれています。生産エリアでボットが生産され、工場エリアに構築されたラインを通過し、出荷エリアにたどり着くことでボットを出荷することができるというわけです。


スタートプレイヤーの位置を示す「アルマンド-0」カードはただのロボットアームに見えますが、アルマンド-0はこの工場の人事マネージャーであり、工場の業務はすべてアルマンド-0によって操作されています。人間(プレイヤー)はアルマンド-0のために働き、その対価に給料をもらい、受けとった金はすべてアルマンド-0のために工場建設に費やしていくという素晴らしい労働サイクルを築いていきます。


準備完了したところが以下。今回は4人でプレイしてみました。


◆4人でプレイしてみた
まずはスタートプレイヤーをじゃんけんなどで決めて、スタートプレイヤーと最後の手番のプレイヤーの間に「アルマンド-0」カードを配置します。


現場を監督するアルマンド-0のボタンをスタートプレイヤーが押して、業務日がスタート。ゲームは業務日開始フェイズ→プレイヤーフェイズ(反時計回り)→業務日終了フェイズというラウンドを繰り返して進めていきます。


業務日開始フェイズでは、工場の生産ラインが動きます。最初の業務日開始フェイズでは、生産エリアにあったベーシックボットが、生産エリアのベルトコンベアに沿って出荷エリアに移動します。


プレイヤーフェイズは「ボットの売却」「装備の購入」「ボットの製造」「ショップボードの回転」の4つを順番に進めていきます。

「ボットの売却」では、最初に出荷エリアにあるボットを売却することができます。例えば、このベーシックフェイズは1台あたり2コインで売却可能。


売却したボットは内箱に戻し、コインをゲット。このゲームの勝敗はプレイヤーの集めたコインがそのまま勝利点につながるため、どんどんボットを生産し、どんどんボットを売却することが重要です。


次の「装備の購入」では、ショップから装備を購入します。ショップボードに置かれている装備パネルは、書かれている数字のコインを支払うことで購入できます。


購入した装備パネルは、工場ボードの工場エリアに配置します。並べ方は基本的に自由ですが、「ジグソーパズルのピースのようにかみ合うように並べる」という原則に従います。また、装備パネルの左上に書かれている数字は装備パネルの価値であり、ゲーム終了時の勝利点になるため、ボットを売却したコインで装備パネルを購入し工場ボードにどんどん配置することが勝利へのカギ。


また、装置には生産エリアに配置する「製作機」というパネルもあります。製作機は所有していなければ新しいボットを生産することが難しいので、ショップに並んだら優先して購入したいパネル。


つづいて「ボットの製造」では、生産エリアに配置されている製作機にボットが製造されます。


最後に「ショップボードの回転」を行います。ショップボードを1つ分時計回りに回して……


装備パネルの山札から1枚取り出し、7のところに陳列します。ショップボードを回していくので、購入されなかった装備パネルの価格は手番を回していくとどんどん下がっていきます。


誰も買わなかった装備パネルは、最終的に1周して「リサイクル」エリアに落ちることになります。装備パネルがリサイクルエリアに落ちた場合、落としたプレイヤーは右下に書かれているボットをゲットすることが可能。例えば以下の静電負荷機の場合はプラスボットを2つゲットし、自分の生産エリアに配置することができます。


デフォルトでは、各生産ライン上で出荷できるボットは1つずつで、あぶれた場合は不要な方を廃棄する必要があります。しかし、大型トラック・巨大トラックカードを購入することで、出荷エリアに配置できるボットの数が増加します。


また、ボットは売るだけではなく、新しい機械の材料にすることができます。例えば人類に永遠の笑顔を与えるというやや物騒な「くすぐり整体機」は、ベーシックボット2つとプラスボット2つを出荷することで、30コインをゲットできます。


材料となるボットを内箱に戻し……


設計図カードを横に回転させて置きます。設計図カードは同一ラウンドであれば誰でも使うことができますが、一度でも使われて横に置かれた設計図カードは、業務日終了フェイズに山札の下に送られ、新しく一番上の設計図カードが公開されます。


設計図カードは、必要なボットが指定されている代わりに多額のコインをもたらしてくれます。しかし、この利益はゲーム終了時まで金庫に納められるため、装備パネル購入に使うことはできません。


分岐パネルは、自分の手番なら1コインでいつでも購入可能。ボットのベルトコンベアを分岐させることで、ボットが移動するベルトコンベアをより複雑に構築できます。


装備パネルの中にはボットを増やしたり、ボットを上位のものに変換したりするものがあり、分岐パネルを組み合わせることで、どれだけ多くのボットを効率よく生産できる工場を構築できるかが重要です。


4人プレイでは、「装備」と「追加」の計27枚がすべてなくなり、さらにショップボード上のパネルもなくなったラウンドで終了します。


ゲームが終了したら、「金庫のコイン」「手持ちのコイン」「生産エリアに配置された装備パネルの価値」を合計して、勝利点を算出します。生産して売却できなかったボットは何の価値もないので注意が必要です。

最も勝利点の高かったプレイヤーの工場はこんな感じ。製造機は購入できなかったものの、装置パネルで上位に変換したり増やしたりしながら生産分よりも大量のボットを出荷できる複雑な工場。優勝したプレイヤーは「偉大なるコンピューターに奉仕するためにはこれぐらい複雑な工場を作らないと」とコメント。


一方で、わずかな点差で2位につけたプレイヤーの工場は、装備パネルは少ないものの、製作機を生産エリアに配置し、製造したボットをどんどん売ったり設計図で機械の材料にしたりと、生産力を誇る工場です。


最下位だったプレイヤーは最後の手番ということもあり、製造機も装備パネルも十分に購入できず、貧弱な工場故に生産力が低く、如実に勝利点も低くなってしまった様子。なお、1プレイは実測でおよそ90分ほど。各プレイヤーが装備パネルの購入と配置で長考しがちなので、設定されている45~60分というプレイ時間よりもかかってしまう印象です。


拡張では、勝利点に条件で追加できる監視官カードと……


よりピーキーでパワフルな発明家パネルをつかってプレイすることができます。発明家パネルは使いようによっては後手番不利を覆すことも可能なので、4人プレイの時は導入する方が盛り上がるかも。


◆1人プレイで遊んでみた
メカニカは1人で遊ぶことができます。1人の場合は、プレイヤーとアルマンド-0の一騎打ちとなります。難度に応じてアルマンド-0の金庫に追加コインを投入することができますが、今回は金庫に追加コインを投入しない一番簡単なレベルでスタート。


アルマンド-0は工場ボードを使いませんが、ソロプレイ用コインで行動が変化します。


ゲームの進め方は4人プレイと同じ。まず業務日開始フェイズのあと、プレイヤーフェイズを進めます。


プレイヤーが終わると、アルマンドー0の出番です。まず、ソロプレイ用のコインを裏返します。裏返して黄色になった場合は……


アルマンド-0の手持ちコインに5コインが追加されます。


そして、ショップボードにある装備パーツで最も高いパネルを購入します。


アルマンド-0は工場ボードを持たないため、購入したパネルは「アルマンド-0」カードの脇に積み上げていきます。


裏返して青色になった場合は、手持ちコインに1コインが追加され……


ショップボードにある装備パーツで最も安いパネルを購入します。アルマンド-0のフェイズが終了したら、業務日が終了します。


超過型製作機は、自分が生産すると同時に他人のプレイヤーの工場ボードにもボットを生産してくれるパネルですが……


アルマンド-0は工場ボードを持たないので、代わりに金庫にコインが追加されていきます。超過型製作機はデラックスボットも生産できる強力な装備パネルですが、使いすぎるとアルマンド-0のコインが増えていくというもろ刃の剣。


そして、どんどん装備パネルがアルマンド-0の脇に積み上がっていきます。アルマンド-0の勝利点は手持ちコインと金庫のコイン、そして積み上がった装備パネルの価値の合計を6倍した値の合計です。装備パネルが積み上がれば積み上がるほどアルマンド-0の勝利点が爆増していく仕組みです。


購入できる装備パネルがなくなったらゲーム終了。ボットを、生産ラインを飛び越えて出荷エリアまで持っていきつつコインももらえる「飛行試験機」を使い、コインを稼ぎながら、出荷しまくり&設計図を組み立てまくりな工場を構築して、勝利点は105+1+16=122点。


一方、アルマンド-0は6+3+18×6=117点とかなりギリギリに迫っていて、難度が上がれば負けていたところでした。


メカニカは、最初は何も置いてない寂しい工場が、ゲームが進むにつれて充実していくのが楽しいゲームです。装備パネルのコンボや分岐でラインをつなげていくことで、自分だけの工場を作ることができるのが大きな魅力です。また、「人間をモノとしか見ていないようなコンピューターに従う」というディストピアめいた世界観もブラックユーモアが効いていて面白いポイント。パネルに書かれたテキストフレーバーにゲラゲラ笑いながら、「ぼくはコンピューター様の従順なしもべですから」「こんな邪悪なコンピューターに勤労奉仕するなんて人間の尊厳とは……?」など語りながらプレイすると、気分が盛り上がっておすすめです。

ただし、プレイ人数4人だと、なぜかトラックや分岐パネルの数が足りなくなることも。トラックや分岐パネルは設定上無限なので、なくなったら何か別のアイテムを目印代わりに配置することで対応は可能ですが、4人分でもなくならない量が最初から収められていれば解決した話で、なぜ微妙に足りない量なのかは疑問。


また、どうしてもパネルの引きに左右されやすいため、後手番はやや不利な展開を強いられることも。ただし、装備パネルの組み合わせ次第では逆転することも十分可能です。今回は4人でプレイしましたが、2人や3人でのプレイがより快適に遊べる印象を受けました。

なお、メカニカはARにも対応しており、各装備パネルでのボットの動きがARで確認できるとのことでしたが、完全日本語版と手元のiPhone Xでは動作が確認できませんでした。ARアプリを使うとどんな感じなのかは以下のムービーを見るとよくわかります。

Mechanica Augmented Reality - YouTube


メカニカはAmazon.co.jpで、税込7070円で購入可能です。

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in レビュー,   動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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