レビュー

甘くておいしそうなケーキで甘くない心理戦を繰り広げるボードゲーム「PIECE o’ CAKE もっとホイップを!」で遊んでみた


丸いホールケーキをカットするとき、2等分や4等分は簡単なのに、3等分のような奇数や素数でカットするとなると平等に切り分けるのは非常に難しくなります。「PIECE o' CAKE もっとホイップを!」はケーキの切り分けをテーマにしたボードゲームで、甘い見た目とは裏腹に、平等に切り分けていると見せかけて「いかに自分の取り分を増やすか」という高度な心理戦を強いられるゲームということで、GIGAZINE編集部でもケーキの平等な切り分けに挑んでみました。

「PIECE o' CAKE もっとホイップを!」- B2FGames
http://www.b2fgames.com/article.php?story=20181026210124706

◆フォトレビュー
パッケージには紺をベースに、おいしそうなマンゴーとイチゴのケーキが描かれています。


ケーキの切り分けをテーマにしたゲームで、パッケージに描かれたケーキ以外にもいろいろな種類のケーキがあります。


プレイ人数は2~5人で、対象年齢は8歳以上、プレイ時間は20分が想定されています。


内容物はケーキタイル57枚とマニュアル。


ケーキタイルは8種類あり、ブルーベリー9枚、白桃7枚、マロン3枚、イチゴ10枚、チョコレート11枚、抹茶8枚、フランボワーズ5枚、マンゴー4枚となっています。


ケーキタイルには写真のようにリアルなイラストが描かれており、見ているだけでおなかが減ってしまいそう。なお、ケーキタイルに書かれている数は、そのケーキタイルの枚数を表しています。例えば、10枚あるイチゴのケーキには「10」と書かれています。


裏面はタルト生地風のデザインになっています。


1円玉と同じくらい厚みがあり、強度もしっかりしています。


ケーキタイルは11枚並べると1ホールになる形になっています。


◆4人で遊んでみた
今回は編集部員4名でゲームを遊んでみました。まずは57枚あるケーキタイルをよくシャッフルし、11枚ずつ5つの束に分けます。


余った2枚は伏せたままゲームから除外。


次にケーキの切り分け係を1人決めます。切り分け係になったプレイヤーは、5束のケーキタイルから適当に1束選び、上から1枚ずつめくって時計回りに並べます。ケーキの絵があまりにもリアルなので、編集部員からも「おなかがすいてきた」という声がちらほら。


ケーキを並べ終わったら、切り分け係はケーキをプレイヤーの人数分に切り分けます。1プレイヤーにつき、最低1枚はケーキタイルが行き渡るよう分割するのですが、切り分け係は最後にケーキを選ぶことになるので、自分が選ぶことになるケーキが少しでもお得になるよう、平等かつ慎重に切り分けなければなりません。


切り分けが完了したら、切り分け係の左隣のプレイヤーから順に切り分けられたケーキを取っていきます。


手に入れたケーキは「食べる」か「とっておく」を決めます。「食べる」ことにしたケーキは、ケーキタイルを裏向きに置きます。


「食べる」場合はケーキタイルに描かれたホイップの数がプレイヤーの得点になります。食べたケーキタイルはゲーム終了まで表を向けてはいけません。


「とっておく」ことにしたケーキは、種類と枚数が他のプレイヤーに分かるよう、表を向けたまま置いておきます。


「とっておく」ことにしたケーキタイルは、ケーキタイル先端に書かれた数のポイントをゲットできます。ただし、ポイントを獲得できるのは、各ケーキタイルを一番多く持っているプレイヤーのみ。たとえば11枚あるチョコレートケーキの場合、チョコレートケーキのタイルを一番多くとっておいたプレイヤーだけが11点を獲得できます。


「食べる」よりも「とっておく」の方がゲーム終了時に獲得できるポイントが高いので、序盤は「とっておく」を選択する編集部員がほとんどでした。


各プレイヤーがケーキを取り「食べる」「とっておく」を決め終わったら、切り分け係の左隣のプレイヤーが新たな切り分け係となり、再びケーキの束を選んでホール型に並べます。この手順を5束分繰り返し、ゲーム終了時に「食べる」にしたケーキ、「とっておく」にしたケーキのポイントを合算し、一番得点の高いプレイヤーが勝者となります。


最初は「ケーキを4分割すればいいんでしょ?」と舐めていた編集部員も、いざ自分が切り分け係になると苦しそうな表情でケーキと向き合っていました。いかに敵を有利にせず、かつ自分がほしいケーキを獲得するかが切り分けのポイントですが、両立するのは非常に難しくなっています。


全員がケーキの切り分け方に苦しむ中、暴走した切り分け係が8:1:1:1に切り分ける事態が発生。


もちろん切り分け係の左隣が8枚をかっさらっていきます。プレイヤーの中に子どもや初心者がいる場合は、ハンデとしてこういった切り分け方をするのもいいかもしれません。


プレイヤー全員のケーキを注意深く観察し、誰も集めていないケーキを発見できれば、ゲーム終盤で「とっておく」を選択することで、ケーキタイルが1枚だけでも得点を獲得できるという手段もあります。


ということで、「とっておく」傾向の高いケーキを食べ、「とっておく」傾向の低いケーキを後半で着実に集めた編集部員が高得点を稼ぎ、40点を獲得して勝利を収めました。


ケーキタイルの形状のせいか、カードのシャッフルによく用いられるヒンドゥーシャッフルオーバーハンドシャッフルといった方法では非常に混ぜにくかったので……


ケーキタイルをぐちゃぐちゃに混ぜてしまうウォッシュシャッフルや、ディールシャッフルで混ぜるのがおすすめ。ケーキタイルがうまく混ざっていないと……


同じケーキが3枚以上並んだホールが完成してしまうことも。切り分け係は「とっておく」で集めれば高得点となるイチゴのケーキを、いかに他のプレイヤーに分配しないよう切り分けるか、非常に頭を悩ませていました。あえてケーキタイルをしっかり混ぜずに遊ぶのも、それはそれでゲームのスパイスになって面白いかもしれません。


例えば、こんな風に切り分けてみました。


初めにケーキを選ぶ編集部員。抹茶・ブルーベリー・チョコレートを集めているので、どれをとってもよさそうなものですが……


まわりを見ると、チョコレート・ブルーベリーの数で敵に負けているので、チョコレートが2枚含まれるケーキを取って抹茶も増やしておくか、ブルーベリーが2枚含まれるケーキを取って白桃をそろえているプレイヤーを妨害するか、非常に悩ましい選択となりました。


「PIECE o' CAKE もっとホイップを!」をプレイする前は「ただケーキを等分するだけでゲームになるのか?」と疑問に思っていましたが、実際にプレイしてみると良い意味で大きく裏切られる結果となりました。特に切り分け係が最後にケーキを選ぶという点がプレイの上で大きな駆け引きを生むポイント。単純なルールながら、自分が取りたいケーキをいかに残すか、おとりとなるケーキを相手にいかに取らせるかという心理戦は、なかなか必勝法が思いつかず頭を悩ませる、完成度の高いゲームとなっていました。

ケーキを並べるときや切り分けるとき、選ぶときなど、ゲームが盛り上がる場面が多く、運要素も高いので、上級者と初心者の差が生まれにくいのも特徴。また、相手プレイヤーへの妨害要素がないので誰とでも楽しく平和に遊べそうなゲームになっていました。しかし、実際にプレイした編集部員からは「プレイヤーが3人以上いるからこそ平和な空気が生まれるのであって、1対1で遊ぶとガチな戦略読みかつ殺伐とした戦いが始まるのでは……?」という意見もありました。


「PIECE o' CAKE もっとホイップを!」の価格は税込2000円で、Amazon.co.jpでは記事作成時点で税込1980円で購入可能となっていました。

Amazon | もっとホイップを!日本語版 | ボードゲーム | おもちゃ

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in レビュー,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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