未確認動物をわずかな手がかりと推理だけで誰よりも先に発見するロジックバトルゲーム「クリプティッド」プレイレビュー
廃墟や森に隠れる未知の生物を、わずかなヒントと推理で探し出すボードゲーム「クリプティッド」の日本語版が、2020年2月13日(木)にJELLY JELLY GAMESから登場します。「単純ながら複雑な推理バトルが楽しめる」というこのゲームを一足先にプレイできる機会を得たので、実際に遊んでみました。
ロジカルな推理系ゲーム「クリプティッド」 – JELLY JELLY GAMES
https://jelly2games.com/cryptid
クリプティッドのパッケージには深い霧から現れた大蛇のような未確認生物が描かれており、どことなくモンスターパニック映画のポスターを思わせます。
左側面は古い洋書の背表紙のようなデザインで、本棚に収納しても違和感がなさそう。クリプティッドは、対象年齢は10歳以上、プレイ時間30~50分、プレイ人数は2~5人に設定されています。
ふたを開けると目に飛びこんできたのは、古くより恐ろしい怪物の存在を伝える魔術書のような表紙をしたルール説明書。
中央には怪物のシルエット。
説明書の他に入っていたのは5色の「文献」で、それぞれ表紙にαからεまでギリシャ文字が書かれています。
六角形のマスで構成された地図タイル。マスは森林(緑)・水辺(青)・砂漠(黄)・沼地(紫)・山岳(灰)の5種類が存在しています。
厚紙には切れ目が入っているので、道具がなくても簡単に外すことが可能。
プレイヤーコマはディスク(円柱)とキューブ(立方体)の2種類が、5色分用意されています。
なお、コマが入っていた袋は一度開封すると密封できないタイプのもの。収納時にコマが箱の中でこぼれてしまうので、収納する際は100円ショップなどで小分けにできるチャック付きの袋を買ってくるなどして対応するのがおすすめです。
黒いポーンが1つ、廃墟コマ(三角柱)と巨石コマ(八角柱)が、青・黒・緑・白の4種類ずつ。
カードは全部で54枚。カードの片面には地図タイルの並べ方が、もう片面には文献に対応した番号が書かれています。
カードは2種類あり、両端が白いカードは通常ゲーム用、両端が黒いカードは上級ゲーム用だとのこと。ゲームの難度に応じて使い分けるため、ゲームを始める前にあらかじめ分けておくのがおすすめ。
今回は5人でプレイしてみました。まずはαからεまでの文献5冊と、それぞれの色に対応したプレイヤーコマを配布します。
カードをよくシャッフルし、1枚を選びます。今回は、通常ゲームでプレイするため、両端が白いカードを使用。
カードに描かれている通りにタイルを並べ、巨石コマや廃墟コマを配置すれば準備OK。
プレイヤーは北米の未開地に生息する未確認動物を探し求める学者です。全員がチームとなって協力的なようにふるまっているものの、「自分が未確認動物の第一発見者になってやる」という野心を抱いています。未確認動物が住んでいるのは地図タイルの中のたった1マスだけで、場所の手がかりは文献で示されるたった1つのヒントだけ。他の人が文献からどういうヒントを得ているのかは不明なので、「相手の手がかりが何なのかを推理した上で、未確認動物の生息地を見つける」というのがこのゲームの目的です。
ゲームで使う文献の手がかりは、カードに示されています。例えば5人プレイの場合、左端に「5」と書かれている行を見て、それぞれの文献の色に書かれている番号を参照します。例えば今回のゲームでは、αの文献を持つ学者は66番のヒントが得られます。
文献を開くと大量の手がかりが書かれていますが、使うのは一つだけ。この手がかりは決して誰にも教えてはならず、自分だけが知っている秘密のヒントとなります。
なお、ゲーム開始時の地図タイルの配置や各プレイヤーの手がかりの把握は、スマートフォンやPCで公式ウェブアプリを使うことも可能。ウェブアプリを使う場合、文献とカードは不要になりますが、文献は手元にあると手がかりを何度も確認できて便利なので、慣れていないうちはカードと文献を使うのがおすすめ。
各自が文献に書かれた手がかりを確認したら、まずはスタートプレイヤーから時計回りに、キューブを配置します。キューブは自分の手がかりから「絶対に生息地ではない」と判断できる場所に配置するコマ。例えば「砂漠か山岳」という手がかりを持っているプレイヤーは、生息地の条件に当てはまらない「森林か水辺か沼地」にキューブをおけばOK。ただし、1つのマスにおけるキューブは1個のみ。
2周して1人2個ずつキューブを配置すればゲーム開始です。
ゲームの進め方は非常にシンプルで、スタートプレイヤーから時計回りに手番を勧めていきます。プレイヤーは自分の手番になったら「質問」か「探索」を行うことができます。
質問は気になるマスにポーンを置き、誰か1人を指名して「ここは生息地ですか?」と尋ねます。
質問されたプレイヤーは、もしポーンの置かれたマスがヒントの条件を満たす場合は、ディスクを置きます。キューブと異なり、ディスクは生息地がいる可能性のあるマス、つまり「自分の手がかりの条件を満たすマス」にしか置かれないコマです。
もちろんヒントの条件を満たしていない場合はキューブを配置。
相手プレイヤーが質問に答えたら、手番のプレイヤーも地図タイル上のどこかにキューブを配置します。
なお、注意しなくてはいけないのは、このゲームは相手を誤誘導することはOKですが、ディスクやキューブは正直に置かなければならないということ。もし間違えて置いてしまった場合は申告し、即座に訂正する必要があります。
各プレイヤーが質問を重ねていくと、地図タイル上にディスクやキューブがどんどん配置されていき、「相手はどんな手がかりを持っているんだ……?」「自分の手がかりは相手にバレているんじゃないか?」と、テーブル上に疑心暗鬼が渦巻きます。
ゲームが進んで、キューブが置かれまくった湖。「この湖には未確認動物なんて住んではいないのだ……」とがっかりするのではなく、「なぜ相手がこの湖にキューブを置いたのか」を考え、他人の手がかりを推理することが重要です。
各文献の裏には、文献に記載されている手がかりの種類が網羅されており、この一覧を見ながら「相手が握っている手がかりは○○かも……」と推理することになります。
例えば以下の状況で1の枠を見ると、αの文献を持つプレイヤーの赤いディスクが砂漠のマスに3つも置かれています。そのため、他のプレイヤーは「αの文献では砂漠マスが手がかりなのか……?」と推理できます。しかし、2の枠では砂漠マスに赤いキューブが置かれているため、この推理は間違い。さらに、3の枠を見ると水辺から離れたところにキューブが置かれていることから、「もしかするとαの文献の手がかりは『水辺マスから1マス以内』かもしれない」と予測できます。
もちろん推理が間違っている可能性も十分あるので、さらに多くの情報を分析したり質問を重ねたりすることで、自分の中で推論を丁寧に証明していくことが重要。推測が「未確認動物はここに生息している!」という確信に変わったら、探索を行います。ここだというマスに、ポーンとディスクを設置して探索を宣言。
プレイヤーから時計回りに、ディスクかキューブを置いていきます。どんどんディスクが置かれていき、「やはり未確認動物はここに生息した!自分が第一発見者だ!」とワクワクしますが……
誰かがキューブを置いた時点でそのマスには未確認動物が生息していないことが確定するため、探索は失敗。自分のキューブを地図タイルのどこかに配置して手番が終了します。
探索の結果、プレイヤー全員がディスクを置いたら、「未確認動物の生息地を発見した!」ということで探索に成功し、ゲームに勝利します。
次に、5人で上級ゲームもやってみました。両端が黒いカードを使用します。
上級ゲームでは、地図タイル上に置かれる廃墟コマ・巨石コマの種類が増えます。
また、手がかりの中に「~~ではない」という否定文のものが含まれるようになってより複雑になるというのが上級ゲームの大きな特徴。例えば「緑の建造物から3マス以内ではない」という手がかりの場合は、緑色の廃墟コマあるいは巨石コマから3マス以内は「絶対に未確認動物が生息していない」ということを意味します。
以下の状況は、εの文献でプレイヤーが紫のキューブを配置したところ。よく見ると3つのキューブはすべて黒い巨石コマから3マス以内に配置されているため、「黒い建造物から3マス以内ではない」という手がかりを持っている可能性があります。
実際に、紫のディスクは黒い建造物から4マス以上離れた水辺マスに配置されています。しかし、「もしかしてεの文献を持つプレイヤーの手がかりは水辺マスなのか……?」と考えることもできます。キューブの置き方次第で他のプレイヤーを誤誘導させるテクニックは、自分の手がかりを隠すためにも非常に重要。
しかし、5人も相手の裏をかこうとすると盤上は複雑になっていき、推理が非常に難しくなってしまいます。推理が行き詰まり「もうお手上げだ!」となった場合、1人を除いてすべてのプレイヤーの同意が得られれば、「追加の手がかり」をゲットできます。カードの右端に書かれている数字を見て……
ルール説明書にある追加の手がかりを参照することで、絡まった推理の糸がほどけるかもしれません。
クリプティッドは非常にシンプルなゲームで、ルールだけなら10歳の子どもでも十分理解できますが、「盤上から他人の手がかりを推理し、自分の手がかりと照らし合わせて、誰よりも早く正解のコマを見つけ出す」というゲームになっていて、かなりの頭脳戦が繰り広げられます。そのため、「対象年齢は10歳以上」となっていますが、実際はある程度論理的思考に慣れている人でなければ難しいといえます。
しかし、頭を一生懸命ひねって推理し、見事に正解を当てた時の快感はすさまじく、「もう一回!もう一回やってみよう!」とプレイを続けたくなる中毒性があります。また、「自分はこう推理したから、ここで質問したんだよね」「ここに探索をかけたけど失敗したのは読み間違えてたんだな」など、ゲーム終了後に各プレイヤーが自分の推理を語る感想戦がめちゃくちゃ盛り上がりました。
1ゲームは5人プレイでだいたい40分前後といったところ。各プレイヤーの思考力でプレイに大きな差が出るので、ゲームの勝敗を基に制限時間を設けるなどのハンディキャップをつけるのがいいかもしれません。また、5人プレイだと自分の推理や得られた情報が膨大な量となるので、手元にメモを用意して書き留めながらプレイすると、ゲームの進行がスムーズになります。ただし、他人にメモを見られないような工夫が求められます。
クリプティッドの日本語版はJELLY JELLY GAMESの公式通販サイトで、税込4950円で注文できます。
【予約商品】クリプティッド(2/13発売予定)(プロモーションカード付き) / ボードゲーム通販「JELLY」
https://shop.jellyjellycafe.com/products/detail/1499
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