レビュー

ジャングルをかきわけ川を乗り越えまだ見ぬ黄金郷を探し求めるデッキ構築ゲーム「エルドラドを探して」プレイレビュー


アークライトゲームズから2020年6月25日に、デッキ構築型すごろくボードゲーム「エルドラドを探して」新版の完全日本語版がリリースされました。世界的に著名なボードゲーム作家であるライナー・クニツィア氏がデザインしたゲームで、2017年ドイツ年間ゲーム大賞にもノミネートされたとのことで、実際にプレイしてみました。

エルドラドを探して 新版 完全日本語版 | ArclightGames Official
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「エルドラドを探して」のパッケージには、峡谷の向こうで黄金色に輝くエルドラドが描かれています。プレイ人数は2~4人、プレイ時間は45分、対象年齢は10歳以上を想定。


内容物はルール説明書と、ゲームで使うタイル。


プレイヤーボードとカード。なお、今回の完全日本語版にはプロモカードが同梱されています。


4色の探検隊コマは各2個ずつで、探検家のシルエットを象っています。


ゲームは「誰よりも早くエルドラドに到達した者が勝利」というシンプルなルール。プレイヤーは探検隊を引き連れて、ジャングルや池、先住民の集落を乗り越えながら……


タイルの端に置かれた黄金都市エルドラドを目指します。


六角形のマスで構成された地形タイルをつなげて、ゲームボードを構成します。タイルのつなげ方は自由。今回は最初に説明書に書かれているチュートリアル向けの構成で、4人でプレイしました。


ゲームを始める前に、ゲーム中で使う市場カード18種類を並べます。市場ボードに、右下に太陽のマークが描かれている市場カード6種類を配置します。


そして、残り12種類を市場ボードの上に並べます。


プレイヤーの手元には、探検隊コマとプレイヤーボード、開始時探検カード8枚を配布します。なお、開始時探検カード8枚の右下には、プレイヤーボードのものと同じ宝石が描かれています。


開始時探検カードはよくシャッフルして、プレイヤーボードの左側に配置。その後、山札から4枚の手札を引きます。


スタートプレイヤーは、中折れ帽のつばに砂金の粒をくわえたトカゲが載っているデザインのスタートプレイヤーマーカーを受け取ります。


スタートプレイヤーから時計回りに、出発地点タイルのスタート地点にある数字マスに、探検隊コマを順番においていきます。これで準備はOK。


プレイヤーの手番は「手札のプレイ」「プレイしたカードを捨てる」「手札を4枚まで補充する」という3つのフェイズを順番に処理します。

「手札のプレイ」は「探検隊コマの移動」と「カードの購入」を順番に処理して進めます。カードには緑色、青色、黄色のアイコンと数字が描かれており、プレイヤーは出したカードの数字に従って探検隊コマを進めることが可能。例えば、緑の1が書かれた「探検隊」カード、青の1が書かれた「船員」カードを場に1枚ずつ出した場合は……


以下のように「ジャングル」を1マス進んで、さらに「川」を1マス進むことができます。「1枚ずつ出す」という点が重要なので、カードを出す順番によって探検隊コマの進路は変化します。


緑の2が書かれた「斥候」カードだと……


以下のようにジャングルを2マス進むことができます。なお、ジャングルにはナタ、川にはオールといったようにアイコンが描かれています。中には複数のアイコンが描かれているものがあり、進入するにはアイコンの数以上の数字が描かれたカードが必要。以下の場合、左から2番目のルートはナタが2本描かれたジャングルなので、「緑の2」の斥候だから進入できましたが、「緑の1」の冒険家2枚では進入することはできません。


また、地形タイルと地形タイルの間には「障害タイル」が設置されています。障害タイルは裏返した状態で配置されており、次の地形タイルに進むためには障害タイルを表に返し、そこに書かれているコストを支払わなければなりません。例えば以下の障害タイルを取り除くためには、コイン1枚を支払う必要があります。


最初に通過するプレイヤーはコストを支払い、取り除いた障害タイルを手元に置いておきます。もし同じターン数で複数の冒険家がゴールした場合、この障害タイルを多く持っているプレイヤーが勝利となるため、競争がギリギリの場合に「どれだけ障害タイルを取り除いたか」がその勝敗を分かつこととなります。


「市場カードの購入」は並べられた市場カードからカードを1枚だけ購入することができます。ただし、購入できるカードは18種類のカードから自由に選べるわけではなく、市場ボードの上に置かれている6種類のみ。


カードの購入時に支払うのは、金貨のアイコンと数字が書かれたカードです。例えば金の1が描かれた「旅行者」のカードを2枚払うことで……


金貨2枚で購入できる「何でも屋」のカードを購入できます。何でも屋は緑・青・金の1が描かれたカードで、使う時にどの色にするかを選ぶことができます。


カードは各種類につき3枚ずつ存在します。もし3枚目が購入されて市場ボードに空きができると、次にカードを購入する人は市場ボードに残った5種類のほか、上にある12種類から1枚を選ぶこともできます。


12種類から1つカードを選んで購入した場合、そのカードの山が市場ボードの空いたところに配置されます。つまり、上に置かれている市場カードは、市場ボードに空きができないと購入できないというわけです。市場ボードに空きが出た状態で自分に回ってくるとは限らないので、必ずしも欲しいカードが市場ボードに入るとは限らないのがポイントの1つです。


市場カードは各種3枚ずつなので、ゲームが進むとあっという間にカードの山がなくなっていきます。


赤の探検隊コマが進入した赤いマスは、デッキからカードを廃棄することで進入できる「キャンプ」。


カードを購入すると自分のデッキのカード枚数がどんどん増えてしまい、使いたいカードを引く確率が必然的に下がってしまいます。そのため、デッキから不要なカードを廃棄することで、欲しいカードを引きやすくする「圧縮」が重要。序盤からデッキを圧縮する作戦に出た赤のプレイヤーは、青の1が書かれた船長カードを廃棄しました。


しかし、その横に黄色の探検隊がコマを進めました。他の探検隊コマがあるマスには探検隊コマを進めることができず、追い越すことはできません。また、黒い山岳マスにもコマを進めることは不可能。前後にある川のマスからであれば逃げることはできますが、直前に船長カードを廃棄してしまったため、赤の探検隊は先に進むことができなくなってしまいました。こんな感じで相手の進路を妨害するのもこのゲームで重要な戦略の1つ。


そんな感じでゲームを進めていき、最後のゴールタイルに到達した探検隊が勝利となります。最初のプレイではチュートリアルを兼ねてルールを把握しながら進めましたが、4人プレイで1時間弱で終わりました。


ルール説明書には地形タイルのつなぎ方で難度が設定されていました。以下は標準レベルの「大蛇行」というマップ。まるで大蛇のようにぐねぐねと曲がった構成が特徴です。


「結局早くエルドラドを見つけた者が勝利だ」と述べ、白の探検隊は慎重にルートを選びながら、どんどんと前に進んでいきます。


しかし、黄色の探検隊が、まるでレースサーキットのコーナーをインから攻めていくように短い距離を選ぶことで、白の探検隊を追い越し、ジャングルの中でデッドヒートが繰り広げられました。


ゴール手前の最後の地形タイルで、黄色の探検隊が選んだルートが以下。最後の地形タイルは山岳タイルが邪魔で回り道をしなければなりませんが、以下のルートであればショートカットが可能ですが、オール4本が必要となる川を超える必要があります。


川を越えるために必要なのが、この「プロペラ機」というカード。1回しか使うことができないカードですが、市場カードで唯一「青の4」が描かれたカードであり、ショートカットを通過するためには絶対必要なカード。黄色の探検隊はここでプロペラ機を購入し、デッキに組み込みます。


ショートカットの道は黄色の探検隊がふさいでしまったため、すぐに追いついた他の探検隊は回り道を余儀なくされます。


その後、黄色の探検隊は念願のプロペラ機を手札に引き、場に出して進めますが……


プロペラ機を超えた先にもさらに川を越える必要がありました。運が悪いことに、黄色の探検隊はこれ以上川を進めるカードを引くことができなかったため、ここで再度足止めを食らってしまいます。


ショートカットによる抜け駆けに失敗してもがいている黄色の探検隊を尻目に、赤の探検隊は順調に駒を進め、真っ先にゴール。まさに「急がば回れ」ということわざを体現する展開となりました。


最後にプレイしたのが、上級者向けの「沼沢地」というマップ。


このマップでは、選択ルールである「洞窟」を採用しました。洞窟ルールで使うのが以下の洞窟トークンで、裏返した状態でかき混ぜてシャッフルします。


その後、洞窟トークンは4枚ずつに分けて、ボードにある洞窟マスの上に配置します。洞窟トークンは、洞窟マスに隣接したマスにコマを進めることで、1枚引くことができます。


例えば以下の金の2が描かれた洞窟トークンは、金貨2枚分としてカードの購入に使うことができます。ゲットした洞窟トークンは手元に置いておき、自分のターンであればいつでも使うことが可能で、使ったらゲームから排除されます。


以下の場面は、黄色の探検隊が洞窟トークンを使ったところ。この洞窟トークンは、他の探検隊がいるマスにコマを進めることができるようになるという効果を持つもの。


このトークンの効果で、黄色の探検隊は、赤の探検隊がいるキャンプにコマを進めることができました。一方で、「キャンプに出たり入ったりを繰り返すことで大規模なデッキ圧縮をする作戦」を考えていた赤の探検隊は、黄色の探検隊がキャンプに入ってきたことでキャンプから撤退せざるを得なくなり、作戦が実行できなくなってしまいました。


白の探検隊が「スピードこそすべて」と先行し、その後ろで黄色と赤の探検隊がつばぜり合いをしている中、青の探検隊ははるか後方で、何度もキャンプに入って念入りにデッキ圧縮を行っていました。


十分にデッキを圧縮した青の探検隊も後を追いかけ始めますが、先行している白の探検隊はかなり遠く、「さすがにこの距離を挽回するのは難しいかも」と青のプレイヤーが焦りを見せます。


一方、黄色と赤の探検隊はつかず離れずの状態で、どんどんジャングルを切り進み……


先行していた白の探検隊を追い抜き、次のターンでほぼ確実にエルドラドにたどり着けるという状態に。スタートプレイヤーだった白の探検隊は、このターンでゴールしなければ敗北必至。とにかく先を急ぐため、白の探検隊は緑の6が描かれた「大ナタ」カードを使って、ジャングルを一気に進める作戦に出ましたが、カードの引きが悪く、結局エルドラドを目前にして力尽きてしまいました。


これで黄色か赤色の勝利か……と思われたのもつかの間、後方で圧縮をしまくり、カード効率を極限まで高めた青の探検隊が猛追。「先駆者」「大ナタ」「何でも屋」、さらに洞窟トークンを使ってジャングルだらけの地形タイルを、突っ切り……


青の探検隊がなんと真っ先にゴールを決めるという展開に。


同ターンで黄色と赤色もエルドラドに到着しましたが、障害パネルはすべて先行した白の探検隊が獲得していたため、差がありません。この場合、「最もターン順の早いプレイヤーが勝利」ということで、一気に追い上げてきた青の探検隊の勝利となりました。


実際に「エルドラドを探して」をプレイしてみると、ルールは非常にシンプルで、カードの効果も複雑なものはほとんどなく、ボードゲームになれていない初心者でも遊びやすいゲームに仕上がっていると感じました。地形タイルの枚数や組み合わせ次第でゲームの展開は大きく変わるので、ゲームになれた人でも毎回新鮮な気持ちで遊ぶことができます。

ドミニオン」のようなデッキ構築型カードゲームと同じく、「エルドラドを探して」ではデッキ構築が戦略の大部分を占めます。特にデッキ圧縮をするとゲーム展開を大きく有利にする印象。カードそのものの効果はシンプルですが、どう組み合わせるか、またどういう順番で場に出していくかが問われるゲームとなっていました。

また、すごろく型レースゲームでもあることから、単にカードの構成を考えるだけではなく「どういうルートをたどりながら進めばよいのか」という部分を考えるのもこのゲームの大きなポイントです。


「エルドラドを探して」はAmazon.co.jpで取り扱われており、記事作成時点では税込5084円で購入可能です。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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