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税務申告補助ソフトウェア業界とアメリカ政府が癒着している証拠となるメール文書が発見される

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公益を目的とした非営利の調査・報道機関プロパブリカが、「税務申告ソフトウェアの開発企業で組織されたFree File Alliance(FFA)と、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)の間で交わされた電子メールを入手した」と発表しました。プロパブリカが入手した資料では、IRSがFFAの要求に唯々諾々と従っている実態が浮き彫りになっています。

The IRS Tried to Hide Emails That Show Tax Industry Influence Over Free File Program ? ProPublica
https://www.propublica.org/article/the-irs-tried-to-hide-emails-that-show-tax-industry-influence-over-free-file-program

アメリカでは、収入が一定の額を下回る人は無料で税務申告をすることが可能です。しかし、「低所得者は無料」をうたう「TurboTax」など税務申告補助ソフトには、無料プランの加入方法が非常に分かりにくく、お金を払わなければならないと勘違いさせやすいように作られているという問題があることが、かねてから指摘されてきました。

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by Kelly Sikkema

さらにTurboTaxの開発元であるIntuitなどの企業により組織されたFFAは、長年にわたるロビー活動やIRSへの天下り先の提供を通じて、公的な無料税務申告ソフトの開発を阻止し、利権を守ってきたことがプロパブリカによって明らかにされています。

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プロパブリカの調査によると、税務申告ソフトを無料で使用できているのは、その資格がある低所得者のたった3%しかいないとのこと。こうした一連の問題を追究してきたプロパブリカは、アメリカ連邦政府情報公開法に基づく請求により、IRSとFFAの間で交わされた100ページ以上にわたるメール文書を入手。これにより、IRSと企業らの癒着が明らかになったと報じました。

プロパブリカが入手したメールの中で、FFAの事務局長を務めるティム・ヒューゴ氏と、Intuitのロビイストであるスティーブン・ライアン氏は、「Free Fileプログラムの延長に向けた緊急会議」の召集を要求。それから2週間もしないうちに、Free Fileプログラムの責任者であるIRSのケン・コービン氏の名前で、Free Fileプログラムの実施期間が2021年10月31日まで延長するとの決定がなされました。

また、IRSを監査するIRS諮問委員会(IRSAC)はFree Fileプログラムについて、「無料での税務申告が可能なことを知っている人があまりにも少なすぎる」と指摘。IRSにはFree FileプログラムをPRする責任があるにもかかわらず、IRSが広報活動を行っていないことを問題視し、「FFAが広報費を工面すべきである」との提言を行っています。しかし、実施期間が更新されたFree Fileプログラムの実施要綱には、FFAの要求がほとんどそのまま通っている一方で、IRSACが指摘するような問題点への対応策はまったくといっていいほど盛り込まれていなかったとのこと。

by Rawpixel

FFAの広報担当者はプロパブリカの取材に対し、「Free Fileプログラムの在り方については、FFAとIRSとの何カ月にもわたる協議により定められているものであって、『FFAがIRSに指示を出している』という事実はありません」と、癒着関係を否定しました。さらに、プロパブリカはIRSに対しても質問をなげかけていますが、記事作成時点では回答がないとのことです。

また、プロパブリカはIRSが情報の秘匿を試みた点についても非難しています。プロパブリカは「IRSは情報の開示請求に対し、政府職員が作成した公文書の保護を目的とした例外規定を盾に、メール文書の非公開決定を行いました。FFAは政府機関ではなく民間企業であるにもかかわらずです」と述べて、連邦裁判所を通じた請求でようやく文書を入手できた経緯を明らかにしました。

プロパブリカはアメリカの税務申告システムが低所得者を食い物にしている現状について、「Intuitなどの税務申告ソフト開発企業の内情についてご存じの方は、ぜひお話をきかせてください」と述べて情報提供を募っており、入力フォームを備えた告発用ページを公開しています。さらに、「THE TURBOTAX TRAP(TurboTaxのわな)」と題する特集を組んでおり、今後もこの問題を追究していく姿勢を示しています。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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