メモ

無料プランにまったくたどり着けない税務申告支援のネットサービスがあるという指摘

by Kelly Sikkema

アメリカでは年収が6万6000ドル(約740万円)未満だと税務申告が無料で行えます。とはいえ、申告自体がちょっと面倒なのは日本の確定申告と共通しているので、税務申告を補助するサービスがいくつも展開されています。その中の1つ「TurboTax」に対して、有料プランへの誘導が多すぎて、無料プランを利用することが難しいのではないかという指摘が出ています。

Here’s How TurboTax Just Tricked You Into Paying to File Your Taxes — ProPublica
https://www.propublica.org/article/turbotax-just-tricked-you-into-paying-to-file-your-taxes


指摘は権力の乱用を監視する非営利ニュースサイト・ProPublicaによるもの。TurboTaxは、Googleで「irs(アメリカ合衆国内国歳入庁)」「free(無料)」「file taxes(税務申告)」というキーフレーズで検索を行ったところ出てきた複数の無料の税務申告サービスの中で、特に「FREE」というワードが多かったとのこと。

TurboTax Official Site: File Taxes Online, Tax Filing Made Easy
https://turbotax.com/(https://turbotax.intuit.com/へリダイレクトされます)

サイトの見た目はこんな感じ。確かに「FREE」が目立ちます。


記者のエリオット氏らはまず、便利屋サービス・TaskRabbitに登録している掃除人というプロフィールで税務申告を進めました。ところが、そもそも自営業の場合は119.99ドル(約1万3000円)かかるということがわかり断念。

これは料金表でもはっきりと示されていて、隠されているわけではありません。


そこで、今度は薬局チェーン店・Walgreensのレジ係で健康保険未加入という設定に変更しました。すると今度は「健康保険未加入の場合はForm 1040という書類が必要で、無料プランではカバーしていません」と、59.99ドル(約6700円)のデラックスプランへの切り替えが必要になり、再び断念。なお、TurboTaxではこのデラックスプランが一番人気だそうです。

無料プランが使える条件がかなり限定されていることが考えられますが、ProPublicaはソースコードまで徹底的に調べ、TurboTaxがサイトを訪問したユーザーをみんな「NONFFA(Non Free File Alliance)」、つまり無料プラン向けユーザーではない、潜在的な有料プランの顧客としてタグ付けしていることを発見。さらに、無料プランの申し込みが「taxfreedom.com(リダイレクト先はhttps://turbotax.intuit.com/taxfreedom/)」という専用ページからのみできるようになっていることを発見しました。

実は、このことはサポートページを見るとちゃんと書かれていたりします。

What is the TurboTax Free File program? - TurboTax® Support
https://ttlc.intuit.com/questions/1900583-what-is-the-turbotax-free-file-program

It is not accessible from the "regular" TurboTax.com website.(「通常」のTurboTax.comからはアクセスできません)


「taxfreedom.com」ではオレンジ色の「See if you qualify(資格があるか確かめる)」というボタンが待ち構えています。クリックすると無料プランに適合しているかどうかいくつかの設問が出て、適合すれば無料プランが利用できます。


しかし、ProPublicaはこの無料プランが「Freedom Edition」と呼ばれていることを知って、改めてGoogleで「turbotax freedom」と検索し、検索結果の一番上に現れたTurboTaxによる「Free File Program」のリンク先へ移動。「Ad(広告)」マークがついているこのリンクの遷移先は、先ほどの「taxfreedom.com」のページと似ているものの、オレンジ色のボタンとは別に、青い「Start for Free(無料で開始)」というボタンが設けられています。いかにも青いボタンが無料プランにつながっていそうですが、実際は「taxfreedom.com」と同じくオレンジ色のボタンが無料プランの入口で、青いボタンは通常の「TurboTax.com」へ戻されてしまうとのこと。なお、手元の環境ではこのページは到達することができませんでした。


ProPublicaでは、このオレンジ色と青色のボタンの配色はユーザーをだますのが目的のデザイン「ダークパターン」であると指摘。消費者団体からも、「無料プラン」がその目的を達成できていないのであれば改善するか、あるいは省かれるべきだとの声があり、そもそもプログラムの監視が不十分であったとしてIRSに対しても非難の声が上がっているそうです。

「なぜ適格者を自動的に無料プランに振り分けないのか」というProPublicaからの質問に対し、広報担当のリック・ハイネマン氏は返答しなかったとのことですが、TurboTaxとして「『単純』な申告をする5000万人の方々はこの無料プランが利用できます。その他のプランに適合する方々には、それぞれのプランと価格が提示されています」と声明を発表したとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
事前届出なしでもオンラインで確定申告を行えるようになった「e-Tax」を実際に利用してみた - GIGAZINE

企業の租税回避によってEUでは20%の法人税収入が失われている - GIGAZINE

節税の鬼Appleは1000億円の課税評価を受けた資産を自己査定2万円と主張している - GIGAZINE

1GB転送するごとに税金を払わせる法律が実現に向けて進行中 - GIGAZINE

窓やトランプ、果てはオシッコにまでかかった、古今東西のとんでもない税金いろいろ - GIGAZINE

in メモ,   ネットサービス, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.