サイエンス

銀河系の星より多くの惑星があることを証明した「ケプラー宇宙望遠鏡」へ最後のコマンド「Goodnight」が送信されついに任務完了


太陽系の外にある惑星(系外惑星)の発見を目指して開発された「ケプラー宇宙望遠鏡」は、2000個以上の系外惑星を発見するなど、目標を大きく上回る成果をあげました。そのケプラー宇宙望遠鏡へ最後のコマンド「Goodnight(おやすみ)」が送信され、9年間続いた運用が完全に終了することになりました。

Kepler Space Telescope Bid ‘Goodnight’ With Final Set of Commands | NASA
https://www.nasa.gov/feature/ames/kepler-space-telescope-bid-goodnight-with-final-set-of-commands

ケプラー宇宙望遠鏡は、「トランジット法」と呼ばれる惑星が横切るときに恒星の明るさがわずかに暗くなることを利用して惑星を発見する手法が採られました。ケプラー宇宙望遠鏡が系外惑星を大量に発見してきた偉業については、以下の記事を見ればよくわかります。

ケプラー宇宙望遠鏡が新たに1284個の太陽系外惑星を発見、うち9つは生命体存在の可能性あり - GIGAZINE


記事作成時点で地球から約9400万マイル(約1億5000万キロメートル)離れた宇宙空間に漂うケプラー宇宙望遠鏡は、もともとは3年半の運用が想定されていました。2009年3月に打ち上げられたケプラー宇宙望遠鏡は、1年経過時に最初の系外惑星を発見すると次々と系外惑星を発見し、水が液体で存在できる環境にある「ハビタブル・ゾーン」内の惑星も発見するなど、次々と成果を出していきました。

2012年には姿勢制御のためのリアクション・ホイールが1基故障しましたが運用は続行され、2013年にはさらに1つのリアクション・ホイールが故障。運用終了が検討されましたが、ロケットエンジンの噴出法を工夫したり、太陽光の圧力を活用したりと新たな姿勢制御法を生み出しては問題が解決され、当初の予定を大幅に上回る9年以上もの運用で、2681個の系外惑星を発見。人類がいる銀河系の星の数よりも多くの惑星が宇宙にあることを証明するなど、想定を上回る成果を出しました。


輝かしい実績を誇るケプラー宇宙望遠鏡ですが、燃料(推進剤)のヒドラジンを使い果たすことになったことから、NASAは2018年10月30日での運用終了を決断しました。地球から遠く離れたケプラー宇宙望遠鏡に対して、間違ってシステムが再起動する可能性のある安全モードを無効にし、送信機をシャットダウンして通信を切断しました。任務完了を告げる最後のコマンドは「goodnight」(おやすみ)で、コロラド大学のKepler's operations centerから発せられたそうです。

なお、ケプラー宇宙望遠鏡がgoodnightコマンドを受け取ったのは2018年11月15日でしたが、奇しくもこの日は天体運動の法則を発見したドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーの命日でした。

NASAはケプラー宇宙望遠鏡の運用終了にあたって、その功績を列挙しています。

Top Science Results from the Kepler Mission | NASA
https://www.nasa.gov/kepler/topscience

・銀河系内の星の数よりも多くの系外惑星が存在することを証明
・空に見える星の20~50%が、ハビタブル・ゾーンにあり地球と同じく岩石でできた小さな惑星を持つ可能性を発見
・惑星には様々なタイプがあることの発見
・9年間の運用で50万以上の星の観測に成功

また、NASAをはじめとする天文学・宇宙工学の研究者による、ケプラー宇宙望遠鏡の偉業に対するコメントがまとめられたムービーも公開されています。

Reflections from NASA's Kepler Mission - YouTube


輝かしい功績を残して運用が終わったケプラー宇宙望遠鏡の後継機である「トランジット系外惑星探索衛星(TESS)」が2018年4月に打ち上げられて、運用が始まっています。TESSはケプラー宇宙望遠鏡の400倍以上の範囲をカバーし、新たな系外惑星を発見する計画です。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
天文学の歴史上最も重要な10個の発見 - GIGAZINE

人類が居住可能な地球と同サイズの天体「ケプラー452b」を太陽っぽい恒星の近くに発見 - GIGAZINE

銀河が衝突しブラックホールが急成長する瞬間の様子が捉えられる - GIGAZINE

太陽系の未知の惑星「プラネット・ナイン」が発見されるまでにはあと1000年かかる - GIGAZINE

人工知能が恒星ケプラー90の8つ目の惑星を発見、惑星8つは太陽系と並んで観測史上最多 - GIGAZINE

アルファ・ケンタウリへ20年で到達する宇宙船を射出する計画をホーキング博士らが始動 - GIGAZINE

in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.