NFLのフットボール選手がパフォーマンスを上げる方法として「野菜中心の食生活」を採用している
By Ralf Κλενγελ
大きな体の選手同士が激しくぶつかり合い、ボールを奪い合うアメリカンフットボールリーグ「NFL」の選手は何といっても体作りが重要。「さぞかし大量の肉を毎日食べているのだろう」と思っても不思議ではありませんが、実は近年のNFLでは動物性の食物を一切とらないヴィーガンの食事様式を取り入れることが注目されています。
NFL players' surprising performance hack: going vegan
https://www.cnbc.com/2018/09/07/nfl-players-are-going-vegan.html
体の大きなアメフト選手を多く抱えるNFLチームにとって、充実した食事を選手に提供することは戦績にも関わるほどの重要な仕事の一つです。ニューヨークに拠点を置くバッファロー・ビルズもそんなチームの一つで、選手のために用意される食材は一週間で牛肉が600パウンド(約270kg)、鶏肉が700パウンド(約320kg)、そして大量の魚というふうに膨大な量になっているそうです。
しかしNFL選手の中には肉中心の食事をやめ、野菜中心のベジタリアンや完全菜食主義であるヴィーガンに移行する選手が増えているとのこと。ニューイングランド・ペイトリオッツでプレーしているトム・ブレイディ選手もそんな一人で、41歳という年齢でありながら現役を続けています。ブレイディ選手に関する記事によると、彼は30代後半でそれまでの食生活を大きく変化させて野菜中心に変化させると同時に、筋肉量をひたすら追い求めることをやめて体の柔軟性に重きを置いたトレーニング手法を取り入れることでより長くプレーできる体作りに励んでいます。
野菜中心の食生活にシフトしているのはブレイディ選手だけではありません。ブレイディ選手はヴィーガンの食事を提供するサービス「Purple Carrot」とタッグを組んで、スポーツ選手向けにヴィーガン食を提供するTB12 Performance Mealsを開発しており、多くの選手やチームがこれを取り入れるようになっているとのこと。
テネシー・タイタンズに所属するラインバックのウェスレイ・ウッドヤード選手は最初、ヴィーガン食をチームが取り入れると聞いた時には「何を血迷ったのか」と思ったそうですが、次第にその考えが変化。「自分のエナジーレベルが上昇し、エネルギ-源の質も良くなっているように思う。シーズン中は体重を落とさないようにするのが大変だけど、まずは自分の健康を最優先にする価値はあると思う」とヴィーガン食を続ける意味を語っています。
食事を野菜中心に変えることは、体の中のストレスを軽減する意味もあるとのこと。2015年に発表された研究内容では、ブラウンライスやオートミール、ライ麦パンなど野菜由来の食事をメインに採ることで、身体と感情の健康度が高められる効果があることが示されています。
その理由は、植物由来の食材は総じて低脂肪で抗酸化物質を多く含んでいるという点にあるとのこと。うつ病の一部は「体内での炎症」が原因であるとする研究結果が過去に示されているのですが、低脂肪かつ抗酸化物質を多く含む植物由来の食材は、この炎症を低く抑える効果があることが認められています。
うつ病の一部は「体内での炎症」が原因か:研究結果|WIRED.jp
https://wired.jp/2015/12/06/inflammation-depression/
このように、ヴィーガンの食生活を取り入れることでいくつかの効果が期待できることがわかっていますが、いきなりこれまでの食事を大きく変化させることは容易ではありません。そのような場合でも、朝食だけをヴィーガンにする方法や、月曜だけは3食全てをヴィーガンにする「ヴィーガンマンデー」を設けることでも少しずつではあるものの効果が現れることが確認されているそうです。
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