ハードウェア

レゴブロックを組み合わせることで「マイクロ流体力学」の試験ができる装置をMITの技術者が開発


ミリメートル以下の非常に微細な領域を液体が通る際に働く力学はマイクロ流体力学と呼ばれ、通常の力学とは異なる挙動が起こることが知られています。この分野を研究するためには精密に加工された装置などが必要とされるのですが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の技術者はレゴブロックを加工して使うことで簡単にマイクロ流体力学の実験を行うことができる装置を開発しました。

Microfluidics from LEGO bricks | MIT News
http://news.mit.edu/2018/microfluidics-lego-bricks-0131

レゴを使ったマイクロ流体力学の実験装置の様子は、以下のムービーで見ることができます。

Lab on a LEGO - YouTube


レゴブロックを組み合わせた装置はこんな感じ。一番上に載せられた白いブロックには幅500ミクロン(=0.5mm)という微細な溝が彫られており、左の半透明なブロックから流れてきた青い液体がその溝を通って右側の半透明ブロックへと流れています。


この装置の開発にあたり、Anastasios John Hart教授らのチームは加工機を使ってレゴブロックの表面に微細な加工を施すという手法を用いることにしました。以下の画像は、横向きに倒されたレゴブロックの表面を、非常に細いドリルで削って溝を彫っている様子です。


加工の終わったブロックを横から見るとこんな感じ。丸くへこんだ部分には横のブロックと連結するためのパッキンが装着され、受け取った液体を漏らすことなく表面に刻まれた溝に通すようになっています。


溝が加工された面には透明な粘着テープが貼られ、テープとブロックの間に500ミクロン幅の「トンネル」が作られます。そしてこの空間の中に液体を通すことで、マイクロ流体力学の実験を行うことができるようになっているというわけです。上記の画像のように1本道の溝の場合は、微細な空間を液体が通るときの抵抗性を調べられるほか、以下の画像のようにY字型の溝に2種類の液体を通すことで混合させることが可能であることも確認されています。


レゴ式マイクロ流体力学実験装置のメリットは、レゴが世界中どこでも手に入ること、そしてレゴブロックが持つ「モジュール性」をいかすことで装置をいくらでも連結できるところにあるとのことです。


MITではレゴブロックを使った実験装置の有効性を確認し、どのような使い方が可能か模索を行っていく模様。ただし、加工機を使った溝彫りでは500ミクロンのサイズが限界で、それ以上の微細な加工は非常に難しいとのこと。また、レゴブロックの素材との相性のために実験を行えない種類の液体もあることから、今後は高機能ポリマーなどを使って幅広い種類の物質を使えるように改良するというビジョンも掲げられているとのことです。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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