ハードウェア

ヒアリやミズグモに触発された「沈んでも浮く金属」が開発される


毒を持つヒアリは「イカダを作って洪水を生き延びる」ことが知られていますが、この水に浮く能力をヒントにして、「水に浮く金属」が開発されました。

Highly Floatable Superhydrophobic Metallic Assembly for Aquatic Applications | ACS Applied Materials & Interfaces
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b15540

Spiders and ants inspire metal that won’t sink : NewsCenter
https://www.rochester.edu/newscenter/superhydrophobic-metal-wont-sink-406272/

以下のムービーを再生すると、ロチェスター大学の研究グループが開発した新技術により、金属が実際に水に浮かんでいる様子が一発で分かります。

Unsinkable Metal - YouTube


2つの同じ形をした金属が水槽に入れられますが……


片方はすぐに沈んでしまった一方で、もう片方は水面に浮かんだままです。


ピンセットで水中に沈めても、一直線に水面に浮かび上がります。


水に浮いているのは、薄いアルミニウム板2枚を少し間を空けて並行に合わせたボビン状の金属板です。同じアルミニウムでできた1円玉も水に浮かびますが、一円玉が浮かぶのは表面張力のおかげなので、一度沈んでしまったら浮かび上がることはできません。


この技術を可能にしたのは、フェムト秒レーザーという非常に超短いパルス幅レーザーによる「超疎水性(SH)」の表面加工です。


研究グループは、イカダを作って水に浮かぶヒアリや……


水中で暮らすミズグモが体表に空気の層を作る能力から着想を得て、新技術の開発に至りました。

by Norbert Schuller Baupi

アルミニウム板の内側に施されたSH表面加工により、2枚の板の間にがっちりと空気が保持されるので、重りで水槽の底に沈められても……


重りがなくなると同時に水面に浮上することができます。なんと、数カ月間水中に沈めても、浮き上がる能力は損なわれないとのこと。


しかも、ドリルで穴を開けても沈みません。


記事作成時点では、1インチ(約2.54cm)四方の領域に加工を施すのに1時間かかりますが、7倍以上の出力を持つレーザーを用いることで、加工にかかる時間が大幅に短縮できるとのこと。研究グループは今後、この技術を損傷しても沈まない船や救命胴衣、長期間にわたり洋上を監視できる観測装置に生かす考えだとしています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1l_ks

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