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世界最大のコンテナ船「マースク・トリプルE」が建造されているドックの風景


現在でも世界を行き交う物流の大部分は船による「海運」が最も重要な手段となっています。そんな海運の主役を務めるのが大量のコンテナを積んで航海するコンテナ船。そんなコンテナ船でも「世界最大」の称号を手にする「マースク・トリプルE」を建造するドックの様子を収めた写真が公開されています。

Building the Largest Ship In the World, South Korea | The Blog of Photographer Alastair Philip Wiper
http://alastairphilipwiper.com/blog/building-largest-ship-world-south-korea/

◆コンテナ船「マースク・トリプルE」とは?
「世界最大のコンテナ船」と称されるマースク・トリプルEは全長400m・幅59mという巨大な船体に、20フィートコンテナに換算して1万8270本(1万8270TEU)というとてつもない積載量を誇っています。デンマークの海運コングロマリット「A.P. モラー・マースク」が開発した船で、一度に多くの貨物を運べることなどによる高い経済性、環境性能を実現している船と言われています。

By Wikipedia

なお、このマースク・トリプルEは最もたくさんのコンテナを搭載する世界記録をうち立てたばかり。その様子は以下の記事で見ることができます。

貨物船にコンテナを載せられるだけ載せまくって世界記録を樹立、出港するムービー


2013年、トリプルEはマースク社が拠点を置くデンマーク・コペンハーゲンの港に寄港し、非常に多くの人が一目見ようと港に押し寄せました。デンマーク在住のイギリス人写真家、Alastair Philip Wiperさんもその様子を見ようと試みたものの、すでに観覧チケットが売り切れていたために泣く泣く断念。そのリベンジとして人脈をたどり、韓国・玉浦(オッポ)にある造船所を訪れて間近からその船体をみることに成功したそうです。


マースク社は製造を請け負う「大宇造船海洋」に対して合計で20隻のトリプルEを発注しており、Wiperさんが訪れた当日は9隻目の完成セレモニーが行われる当日だったそうです。「きっと船体を案内してくれるガイドがいる」と思っていたのもむなしく、当日はセレモニーのために人手が足りず、案内される代わりに「ここがドックです。……あとはお好きにどうぞ!」といきなり放置されることに。「船体の地図はありますか?」「いや、ないね。エンジンはあっち方向、デッキは向こうだよ。あと、5時間以内に帰ってくること。さもないと、ロシアに向けて出航してしまうからね!」と言われ、さっそく取材を開始したそうです。

船体内部のコンテナスペースは最深部で11層構造という巨大なもの。さらに、甲板上にも10層のコンテナスペースが設けられています。


その巨大な船体を動かすために搭載されるエンジンは4万3000馬力を発生する、こちらも巨大なディーゼルエンジン。さらにこれを2基搭載し、これまた巨大なプロペラを回して目的地へと向かいます。


そんなエンジンを収めるエンジン室もやはり巨大。船体後方で5フロア分をぶち抜いたスペースをとる区画に据え付けられています。あまりに巨大すぎて、これがエンジンであることがわからないほどのスケール感。


屋外に置かれたトリプルE用のスクリュープロペラ。直径9.8メートルにも達する4枚ブレードスクリューで一つあたりの重量が70トンと、もうよくわからないぐらいの巨大サイズ。ドイツのMecklenburger Metallguss社によって製造されたスクリューはそれぞれ個別のエンジンに接続され、超ロングストローク型のエンジンが発生したパワーを推進力に変える働きをします。このスクリューとエンジンの組み合わせにより、スピードは劣るものの最大の効率性が実現されることになります。そのCO2排出量は、従来に比べて50%も削減されているとのこと。


実際に取り付けられている状態がこちら。


建造中の船体の一部。前に立つ人と比べるとそのスケールがわかります。船体側面は二重構造となっており、事故の場合でも内部に海水が浸水しにくく、また空荷の時には内部に海水を入れることで船の高さを調節できるようにも設計されています。


徐々にパーツが組み立てられて一隻の船が作られていきます。一隻のトリプルEは、このような部位が425個と、それらを組み合わせた21個の巨大な「メガブロック」により構成されています。


ドック内で建造に携わる人々の姿も。


船体底部の様子。赤と茶色の塗装は、海のゴミが付着するのを防ぐ効果があるそうです。


船体前部の高さはおよそ35メートル。貨物をフルに搭載した場合に海面から沈む高さ(喫水線)は16メートルとなっており、大西洋と太平洋をつなぐパナマ運河は通過できないものの、地中海と紅海を結ぶスエズ運河には対応しています。


20隻あるトリプルEのうちの1隻、「Matz Maersk」の船長を務めるLars Peter Jensen船長。これまでにも数々の「世界最大の船」を率いてきた経歴の持ち主だそうです。


この他にも、Wiperさんのブログではいろいろな建造中の船体の様子が公開されていました。

Building the Largest Ship In the World, South Korea | The Blog of Photographer Alastair Philip Wiper
http://alastairphilipwiper.com/blog/building-largest-ship-world-south-korea/

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in メモ,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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