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EVE Onlineのゲームエンジン「Carbon」がオープンソース化、開発者が理由を解説


2003年に発売された老舗MMORPGの「EVE Online」で利用されているゲームエンジンの「Carbon」が、オープンソース化します。Carbonの開発元であるFenris Creationsが、その理由を説明しました。

Carbon | Fenris Creations
https://fenris.com/carbon

Eve Online's Carbon engine is now open source: Fenris Creations explains why | GamesIndustry.biz
https://www.gamesindustry.biz/eve-onlines-carbon-engine-is-now-open-source-fenris-creations-explains-why

EVE Onlineの開発元であるCCP Gamesは、2018年9月に韓国のゲームパブリッシャーであるPearl Abyssに買収されました。その後、Pearl Abyssは2026年5月にCCP Gamesを「財務構造の改善と経営の効率化」を理由に、CCP Gamesの経営陣に売却。CCP Gamesの独立に伴い、CCP Gamesは社名をFenris Creationsに変更しました。

そんなFenris Creationsが、EVE Onlineで利用しているゲームエンジンのCarbonをオープンソース化する計画を発表したのは2024年のことです。CarbonはGitHub上で公開されており、誰でも無料でCarbonを使って独自のMMOを構築することが可能。LinuxのようにCarbonをフォークして独自のゲームエンジンを構築することもできます。

CARBON Engine · GitHub
https://github.com/carbonengine


Fenris Creationsのコア技術チームは、Carbonのオープンソース化プロジェクトにじっくり取り組んできました。作業の大部分は12週間で完了したそうです。Fenris Creationsのコア技術チームでシニア開発ディレクターを務めるベン・ハンター氏が、ゲームメディアのGamesIndustry.bizに対してCarbonのオープンソース化プロジェクトについて説明しています。

ハンター氏はCarbonのオープンソース化について、「コードを公開することで、検証しやすくし、コミュニティとの信頼関係を築きたかったのです」「Fenris Creationsは長年にわたり、コミュニティを構築し、コミュニティと積極的に関わってきました。EVE Onlineの初期の頃、APIを公開した時が、コミュニティとの連携の始まりでした。2年半から3年前、我々はソースコードに特別なものはないという結論に至りました。私たち自身にとっても、コミュニティにとっても、それを公開し、より多くの人に見てもらうことで、そこから学び、成長できるだけでなく、人々がそれを使って素晴らしいことを成し遂げてくれる方が、より良い結果につながると考えました。私たちは、そうした展開を非常に楽しみにしています」と語りました。


ただし、Carbonのオープンソース化プロジェクトはまだ初期段階だそうです。ハンター氏はEVE Onlineのエコシステム内でCarbonを使って開発を行う方向に向かっていると語っており、コミュニティメンバーは既にセキュリティ修正のためにCarbonにプルリクエストを提出できるようになっているとのこと。さらに、コミュニティからは「EVE Onlineのコンテンツを視聴できるウェブアプリを作成する」という話も出ている模様。

Carbonは複数の異なるモジュールにわたって完全な形で利用可能。技術の大部分は誰でも無償で自由にソースコードの複製・改変・再配布・商用利用ができるオープンソースライセンスのMITライセンスで提供されています。ただし、空間オーディオクラスタリングに関するモジュールはApache License 2.0、入出力に関するコンポーネントはPython Software Foundation Licenseで提供されています。


ハンター氏はCarbonのオープンソース化について、「重要なのは人々が実際に興味を持ち、時間や労力、お金を投資して貢献したいと思えるようにすることです。潮が満ちればすべての船が浮かぶという考え方です。コードを改善し、誰もがその恩恵を受けられるなら、それは誰にとっても良いことです」と語り、オープンソース化の理由は金儲けではないと主張しました。

実際、オープンソース化によりFenris Creationsのコア技術チームは多少の追加作業を余儀なくされているそうです。この追加作業には、「プルリクエストの処理」や「変更内容の監視」などが含まれています。なお、Fenris Creationsはこれらの役割を担当するための人材を長年かけて少しずつ採用してきたそうです。

ハンター氏は「数年前にCarbonをオープンソース化する意向を発表し、その後、オープンソース化そのものの作業ではなく、チームの能力を強化し、オープンソース版のCarbonに対応するためのリソースを増やす目的で、いくつかのチームで徐々に体制を整えてきました。スプリントプロセスの中でプルリクエストをレビュー・処理し、すべてを確認するための時間を確保しています」と説明しました。


テクノロジーを公開し、誰でも内部構造を閲覧できるようにすることには多くの利点があります。しかし、悪意のある攻撃者は常に存在しており、あらゆる脆弱(ぜいじゃく)性を狙っています。ハンター氏はセキュリティについて「今後間違いなく懸念事項になる」と語りました。このプレッシャーにより、コア技術チームはコードレビューやアーキテクチャ設計の際に「より一層の努力」を払わなければならなくなるとも語っています。

それでもハンター氏は、「第三者が貢献し、潜在的なセキュリティ上のギャップを埋めるのを手伝ってくれる能力があるのは非常に良いことです。正直なところ、23年も前のゲームエンジンにしては、セキュリティ関連のプルリクエストの数は非常に少ないです。これは良い意味で驚くべきことです。長年にわたって多くの作業が行われてきたということです。ご想像のとおり、EVE Onlineは艦隊戦や戦闘などの規模の大きさから、長年にわたって多くの関心を集めてきました。過去には、悪意のある行為者がそれを探り、妨害しようとしたこともありました。23年間でゲームエンジンのインフラストラクチャースタックとネットワークレイヤーは、多くの戦闘で強化されてきました」と述べ、オープンソース化することでセキュリティ面でも利点はあると主張しました。

また、Fenris CreationsはCarbonのオープンソース化に際し、2014年にスタートしたオープンソースプロジェクトの「Godot」を参考にしたと明かしています。ハンター氏は「Godotが登場して、このような大規模なオープンソースプロジェクトをどのように管理するのかという手引書を用意してくれることを期待していました。しかし、実際には適切なアーキテクチャを選択し、そのアーキテクチャが貢献できる領域を保護し、明確に定義するのに役立つようにすることが重要でした。それを展開すると、エンジン用のプラグインモデルになります。これはUnreal EngineやUnityが採用しているもので、現在Carbonでも実装しているものです」と語りました。

実際、Carbonはプラグインアーキテクチャへの移行を進めており、これも今後数カ月以内にオープンソース化される予定です。ハンター氏はCarbonをオープンソースプロジェクトにすることで得られる利点のひとつとして、「運用ガバナンスに役立つアーキテクチャ上の決定を下せる点」を挙げました。


さらに、「我々は基本的に、オープンソース化するための仕組みを整える前に、コードをオープンソース化する準備を整えていました。その作業には、貢献方法、提出前にテストを行う際に満たすべき基準、そしてLLM(大規模言語モデル)を利用したことを開示する義務など、あらゆる詳細が含まれています。LLMの利用自体は問題ありませんが、開示しなければ、開示しない場合とは異なる精査を行う可能性があるため、開示する必要があります」と語っています。

加えて、「現在、多くの再構築作業が行われていますが、その中で最も重要なのは、ワークフローにおいてLLMを最も効果的に統合・活用する方法を見つけることです。当社もLLMインターフェース用のツールゲートウェイを社内で開発しており、今後数週間以内にチームに展開していく予定です。ある程度の安定稼働期間を経た後、このツールゲートウェイもオープンソースとして公開する予定です。業界全体で間違いなく変化が起きています」と語り、LLMの活用にも取り組んでいることを明かしました。

ハンター氏はこれから確実に変わる点として、テストプロジェクトを作成する必要性が出てきたことを挙げています。「テストプロジェクトをゲームとは呼びたくありません。これはテストのしやすさやアーキテクチャの理解、エンジンを素早く使い始めるためのサンプルです。コア技術チームとして、我々はそのテストプロジェクトを作成する必要があり、それが我々のテスト環境、つまりサンプルプロジェクトになるわけです。現状、ゲームエンジンに変更を加える際は、EVE OnlineやEVE Frontierといったゲームのサンプルに直接アクセスしてテストを行う必要があります。我々は実行するための簡略化された独自のサンプルを保有していません」と語りました。

EVE OnlineがAPIを公開した際、キャラクターのスキル管理や艦船の装備に役立つさまざまな彩度アプリが開発されました。この時と同じように、Carbonをオープンソース化することで、EVE Onlineを中心とした大規模なコミュニティが形成され、ゲーム体験の独自の拡張版をコミュニティが形成していくことを期待しているとハンター氏は語っています。

ハンター氏は最後に「CarbonがMITライセンスである以上、何でも可能です。しかし、EVEの世界全体に貢献するようなものが生まれることを期待しています」と語りました。

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in AI,   ソフトウェア,   ゲーム, Posted by logu_ii

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