YouTubeの識別子をランダムに入力したらどれくらいの割合で正規の動画がヒットするのか

YouTubeの動画にはそれぞれに11文字の一意の識別子が割り当てられています。この識別子をランダムに入力して実際の動画に使われているかどうかを確かめるツールを研究者が作成し、実際に使用しました。

View of Dialing for Videos: A Random Sample of YouTube
https://journalqd.org/article/view/4066/3766

YouTube by the numbers: uncovering YouTube's ghost town of billions of unwatched, ignored videos | TechSpot
https://www.techspot.com/news/106791-youtube-numbers-uncovering-youtube-ghost-town-billions-unwatched.html

識別子は動画のURLから確認できます。例えば以下の動画だと、「https://www.youtube.com/watch?v=fJo7BFf8CEI」というURLの末尾にある「fJo7BFf8CEI」が識別子です。

キモイ顔の貯金箱「FACE BANK」動作ムービー - YouTube

マサチューセッツ大学アマースト校のライアン・マクグレイディ氏らによると、文字の組み合わせから考えると識別子は1800京(けい)通り存在するとのことです。

マクグレイディ氏らは、YouTube上に動画がいくつあるのかを正確に測る方法について突き止めたいと考え、識別子から逆引きで動画がヒットするかどうかを調べることにしました。

自作ツールを利用してまずは18兆個以上の識別子をトライしたところ、約1万本の動画がヒットしたとのことです。これは割合にして約0.0000000556％です。

さらに、ヒットした動画のうち1000本をランダムに抽出して人の目で確認したところ、再生数や動画のスタイルなどいくつかの傾向が明らかになりました。

再生回数100回未満の動画を調べたところ、0回の動画が最も多く、次点が3回でした。また全動画の再生回数の中央値はわずか41回だったとのことです。

コメント数の平均は5.32回で、中央値は0、最大値は856でした。加えて、ほとんどの動画(72.64％)にはコメントがありませんでした。

サンプルにおける「いいね」の平均数は16.48で、中央値は0でした。ちなみに「いいね」がない動画の方がコメントがない動画よりもわずかに多かったとのことです。

動画作成にかけられたコストも驚くほど低く、プロ仕様のセットや背景が使われている動画はわずか14％、編集の跡が見られるものに絞ってもわずか38％で、半数以上は手ぶれがあり、85％の動画で音質が乱れていました。

動画の長さについては、6.24％が10秒以下、37.94％が1分以下、81.77％が10分以下でした。1時間以上の動画はわずか3.9％でしたが、平均値は615秒(10分強)だったとのことです。

加えて、60秒以下の動画の長さを比較したところ、「15秒」の動画が突出していました。これはYouTubeのライバル「TikTok」のデフォルトの長さが15秒で、TikTokの動画が転載されているためだと考えられています。

また、動画に設定された「カテゴリ」で極めて多かったのは「People ＆ Blogs(ブログ)」でした。

マクグレイディ氏らは今回の調査を元に統計サイトの「tubestats」を作成して公開しています。マクグレイディ氏らによると、2024年6月時点でYouTubeには148億本以上の動画が存在すると推測できるそうです。なお、148億は1800京の約0.0000000822％に当たります。

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