サイエンス

ライブ配信の研究により女性ストリーマーの方が「セルフポルノ化」が激しいことが判明、性的な服装の割合はなんと7割以上


YouTubeを見ている時に、料理やピアノ演奏など一般的な内容なのにもかかわらず、女性の胸の谷間が強調された動画のサムネイルを見つけて驚いた経験がある人は少なくないはず。人気ライブストリーミング配信プラットフォーム・Twitchで配信された約2000件のコンテンツを分析する研究により、女性の配信者は男性よりも自分を性的に見せる「自己性化(self-sexualization)」を過激かつ高頻度に行う傾向があることが確認されました。

Sexualized culture on livestreaming platforms: a content analysis of Twitch.tv | Humanities and Social Sciences Communications
https://www.nature.com/articles/s41599-024-02724-z

Researchers uncover 'pornification' trend among female streamers on Twitch
https://www.psypost.org/researchers-uncover-pornification-trend-among-female-streamers-on-twitch/

2011年にサービスを開始したTwitchは、月5000万円以上を稼ぐプロゲーマーが登場するなど人気を博していますが、2023年末ごろから性的コンテンツに関するポリシーを大幅に緩和した直後に再度禁止するなど、過激な性的描写の扱いをめぐる迷走が続いています。

Twitchが再び性的コンテンツに関するポリシーを更新し「二次元でも三次元でもヌードは禁止」に - GIGAZINE


スペイン・アルカラ大学のクリステル・アンシオネス・アングイタ氏とミリアン・チェカ・ロメロ氏によると、セクシーさを売りにする女性配信者は「おっぱいストリーマー(Titty-streamers)」や「ボインゲーマー(Bubby gamers)」といったレッテルを貼られて軽視されていることが、先行研究により示されているとのこと。

ライブ配信プラットフォームにおける性的対象化の傾向をジェンダーの観点から検証するため、アンシオネス・アングイタ氏らはTwitchで配信されたコンテンツを1920本収集し、各コンテンツに登場する配信者の性的描写を定量化して分析しました。

収集期間は2022年9~10月の2カ月間で、この期間中にTwitchで最も人気のある2つのカテゴリであるゲーム実況(videogames)と雑談などのIRL(InRealLife)で放送された配信のうち各日の人気が上位3位のビデオクリップが選ばれました。内訳は、ビデオゲームカテゴリから960本、IRLカテゴリのうち「JustChatting(雑談)」「ASMR(自律感覚絶頂反応)」「Pools, Hot Tubs & Beaches(プール、ホットバス、ビーチ)」のサブカテゴリから各320本でした。なお、そもそも配信者が映っていないものや、アニメーションや3Dモデルなど実写ではない状態で表現されているものは除外されました。


コンテンツの性的描写の定量化には、以下の基準が用いられました。
・着衣(0~4)
配信者の服装の露出度が少ない場合は0ポイント、腕や肩が露出している場合は1ポイント、体にぴったりとフィットした衣服は2ポイント、ランジェリーや水着は3ポイント、乳首と陰部のみを覆う最小限のものは4ポイントが加算されます。

・露出した体の部位(0~3)
胸、尻、局部などの体の部分が露出していない場合は0ポイント、露出された場合は部位ごとに1ポイント加算。

・中心的な部位(0~1)
頭と肩のみが映っている場合は0ポイント、体全体または体の大部分が映っている場合は1ポイント加算。

・姿勢(0~2)
単に座っているだけの場合は0ポイント、胴体や腰を示唆的に傾ける微妙な性的表現は1ポイント、足を広げたり四つんばいになったりする露骨な性的表現は2ポイント加算。

・口(0~2)
話すだけの場合は0ポイント、唇をかんだり投げキスをしたりするものは1ポイント、フェラチオや性的行為を再現する性的なものは2ポイント加算。

・性行為(0~1)
フェラチオやマスターベーションを模倣する動作などがある場合は1ポイント加算。

・ロールプレイ(0~1)
猫耳やコスプレなど、Hentaiやソフトポルノの要素を通じて服従や被支配の役割をシミュレートしているコンテンツには1ポイント加算。


これらの基準で評価した合計点数が0~4ポイントのものは非性的、5~8ポイントのものは性的、9~14ポイントのものはより性的なコンテンツとして分類されました。例えば、水着を着てビーチで日光浴をしている配信者は7ポイントで中程度に性的とされますが、同じ水着でも体をくねらせながらアイスクリームやマイクをなめるなどのパフォーマンスをしていると12ポイントで、最も性的なコンテンツとなります。

分析の結果、自己性化の頻度と程度は男性より女性の配信者の方が高いことが判明し、配信プラットフォームにおける自己性化には明らかな性差があることが確認されました。

具体的には、最も性的とされた男性の配信者は全サンプル中たった2人だったのに対し、女性は289人でした。同様に、中程度に性的と分類された男性配信者は5人だったのに対し、女性は190人いました。


研究チームは論文に「大半の女性(71.4%)は着衣の性的さが2~4ポイントで、中程度の襟ぐりからビキニまでの性的な衣服を着用しており、中には最低限の着衣しか身につけていない人もいました。また、女性の76.2%は自分の体全体を見せることに重点を置いていました。さらに、半数以上の51.6%の女性が体で性行為を連想させ、3分の2(67.4%)が口で性行為をほのめかせていました」と記しています。

今回の研究ではまた、カテゴリごとの傾向の違いがあることもわかりました。つまり、ゲーム関連のカテゴリでは性的なコンテンツが流行していない一方で、ASMRやプールなどのカテゴリでは女性の割合も、自己性化の程度もはるかに高いことが判明しました。


アンシオネス・アングイタ氏は研究結果について、「配信者の性別によってコンテンツの性的表現のレベルに大きな違いがあることに驚きました。男性は会話やビデオゲームに集中していた一方で、性行為をシミュレートしたり、挑発的なポーズをしたりしている配信者の大多数は女性だったのです」とコメントしました。

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in ネットサービス,   サイエンス,   ゲーム, Posted by log1l_ks

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