児童性的虐待の加害者の半分以上は「子ども」だという衝撃の事実が発表される

イギリスの警察当局の実態調査により、イングランドとウェールズにおける児童性的虐待事件の加害者の過半数が未成年者だったことが判明しました。子どもによるわいせつ画像の作成やレイプ事件の増加の背景には、スマートフォンの普及や暴力的なポルノへのアクセスが容易になったことがあると指摘されています。
National Analysis of Police-Recorded Child Sexual Abuse and Exploitation Crimes Report 2022 | Vulnerability Knowledge and Practice Programme
https://www.vkpp.org.uk/vkpp-work/analytical-capability/national-analysis-of-police-recorded-child-sexual-abuse-and-exploitation-crimes-report-2022/
Children now ‘biggest perpetrators of sexual abuse against children’ | Child protection | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2024/jan/10/children-now-biggest-perpetrators-of-sexual-abuse-against-children
The Children's Society responds to NPCC Report - Politics.co.uk
https://www.politics.co.uk/opinion-former/press-release/2024/01/10/he-childrens-society-responds-to-npcc-report/
イギリスの警察機関の代表者が組織する全国警察署長評議会(NPCC)と、警察活動の調査と調整を行うプロジェクトであるVulnerability Knowledge and Practice Programme(VKPP)は共同で、2022年に発生した児童性的虐待および搾取(CSAE)事件をまとめた(PDFファイル)報告書を発表しました。
以下は、調査報告の中で特に重要な点を抜粋したムービーです。
Key findings from National Analysis of Police Recorded CSAE Crimes Report 2022 - YouTube

2022年1月から12月に発生したCSAE事件は10万6984件で、2021年から7.6%増加し、10年前に比べるとほぼ4倍となりました。

子どもに対する性犯罪の73%はレイプなどの直接的な性犯罪で、残りの27%はわいせつな画像に関するオンライン犯罪でした。

被害者となった子どもの79%が少女でしたが、少年の被害者も21%いました。

一方、加害者の82%は男性でした。

驚くべきことに、CSAE事件の加害者の52%は10~17歳の子どもで、最も多かったのは14歳でした。子どもが関与した犯罪で最も典型的だったのは「性的暴行」「レイプ」「子どものわいせつ画像の撮影および共有」の3つでした。

こうした犯罪の91%以上は加害者と被害者が顔見知りのケースで、加害者として最も多かったのは「知人(51%)」でした。また、「パートナーおよび配偶者」「元パートナーおよび配偶者」は合わせて22%、「友人」は10%でした。

顔見知りによる犯行の33%が家庭内でのCSAE事件と分類されました。例えば、ある事例ではスマートフォンを使用して兄弟のわいせつ画像を撮影してアップロードしたとして4歳の子どもが通報されたことがあります。

インターネットを通じた性犯罪は増加の一途をたどっており、CSAE事件の32%がオンラインで行われたものでした。

10歳未満の被害者に対する性犯罪のうち、33%は両親によるものであり、27%は兄弟姉妹が加害者でした。

NPCCの児童保護責任者のイアン・クリッチリー氏は、イギリスの大手一般紙・The Guardianに対し、「暴力的なポルノに簡単にアクセスできるようになり、それが普通だと認識されるようになってしまったことで犯罪が悪化しているのだと思います。10代の若者だけでなく、10歳未満の子どもにもスマートフォンが急激に普及しており、このようなアクセス性の悪化は私たちの社会全体で議論されるべき問題ではないでしょうか」とコメントしました。
また、イギリス児童協会の政策・影響マネージャーであるアズミナ・シディク氏は、「子ども同士での性的虐待が大幅に増加しており、報告されている全事件の半分以上を占めているというのは、憂慮すべき問題です。被害者、特に16歳未満の子どもの多くは必要な支援を受けられていません。何より、子どもはまず被害者として認識され、扱われる必要があります」と話しました。
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