メモ

「子どもに自白を強要するシステム」が司法制度に組み込まれているという主張


日本で2012年に発生した遠隔操作ウイルス事件では、実際には罪を犯していない人物が警察に自白を強要された結果、事実とは異なる自白を基にした調書が作成されていました。また、このような「ウソの自白」が有力な証拠として扱われる事態は世界中で発生していることが知られています。新たに、エクセター大学で法律学を研究するレベッカ・ヘルム氏は「イングランドとウェールズには、子どもにウソの自白を促すシステムが存在している」と主張し、司法制度の改革を求めています。

Guilty pleas in children: legitimacy, vulnerability, and the need for increased protection - HELM - - Journal of Law and Society - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jols.12289


Articles | Research and Innovation | University of Exeter
https://www.exeter.ac.uk/research/news/articles/childrenlikelytobepleadin.html

日本では、2012年に遠隔操作ウイルス「iesys.exe」によって複数の被害者のPCから各所へ犯罪予告が送信される事件が発生。この事件の中で、「犯罪予告を送信した犯人」と疑われた被害者が、警察によって自白を強要されていたことが判明し、警察の取り調べ方法に多くの批判が寄せられました。

「自分でやっていないことを、証明してみろ。無罪を証明してみろ」、iesys.exeの遠隔操作ウイルス事件で警察が何を言って自白強要したか判明 - GIGAZINE


1990年代にイギリス当局が自白の強要につながりやすい尋問方法である「リード式尋問法」の採用を取りやめたり、2010年にアメリカ心理学会が当局に対して自白の強制を防ぐための改革を提言したりと、ウソの自白を防ぐための取り組みが行われています。

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ヘルム氏が新たに発表した論文によると、イギリスのイングランドとウェールズにおける青少年に対する司法制度には、取り調べの早い段階で罪を認めることで処分が軽くなる制度が存在するとのこと。ヘルム氏はこの制度が「子どもたちにウソの自白を促すような圧力を生み出す可能性がある」と指摘しています。

また、犯罪を犯した子どもの60%以上がコミュニケーションに問題を抱えているという研究結果や、犯罪を犯した子どもの57%のが平均的な11歳を下回る読解力しか持っていないという報告を基に、ヘルム氏は「子どもたちの発達上の脆弱(ぜいじゃく)性が現状の司法制度の時間的制約と相互作用し、ウソの自白を生み出す環境が作られている」と主張しています。

ヘルム氏は「子どもたちを有罪であると決めつけて取り調べを行うことは、適切ではありません。子どもたちの弱点を補うために、弁護士のサポートを受けられるような制度が必要です」と述べ、司法制度の改革を求めています。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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