中国のGPUメーカー「Moore Threads」がAIトレーニングやデータセンター向けGPU「MTT S4000」を発表
中国の新興GPUメーカー「Moore Threads」が、2023年12月19日にAIのトレーニングやデータセンター向けGPU「MTT S4000」を発表しました。公式発表によると、MTT S4000のMUSIFYツールはNVIDIAのCUDAとの完全な互換性があるとのことです。
摩尔线程首个千卡智算中心落地,从算力到生态全面加速大模型发展 | 摩尔线程
https://www.mthreads.com/news/146
Nvidia's biggest Chinese competitor unveils cutting-edge new AI GPUs — Moore Threads S4000 AI GPU and Intelligent Computing Center server clusters using 1,000 of the new AI GPUs | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/gpus/nvidias-biggest-chinese-competitor-unveils-cutting-edge-new-ai-gpus-moore-threads-s4000-ai-gpu-and-intelligent-computing-center-server-clusters-using-1000-of-the-new-ai-gpus
Moore Threads introduces MTT S4000 48GB AI GPU with MTLink and zero-cost NVIDIA CUDA framework translation - VideoCardz.com
https://videocardz.com/newz/moore-threads-introduces-mtt-s4000-48gb-ai-gpu-with-mtlink-and-zero-cost-nvidia-cuda-framework-translation
Moore Threads Unveils MTT S4000 GPU: Equipped With 48 GB Memory, 200 TOPS AI Compute, Gen5 Ready
https://wccftech.com/moore-threads-mtt-s4000-gpu-48-gb-memory-200-tops-ai-gen5-ready/
Moore ThreadsはNVIDIAの元グローバルバイスプレジデントであるZhang Jianzhong(张建中)氏が2020年10月に設立したGPU企業。これまでMoore ThreadsはLenovoを含む他の多くの中国企業との提携を行い、さまざまなハードウェアやソフトウェアをリリースしてきました。
今回発表された「MTT S4000」は、独自のアーキテクチャ「Moore Threads Unified System Architecture(MUSA)」の第3世代を採用したコアを搭載していることが大きな特徴です。
MTT S4000と2022年11月に発表された「MTT S3000」、2022年4月発表の「MTT S2000」を比較した表が以下。
MTT S4000 | MTT S3000 | MTT S2000 | |
アーキテクチャ | 第3世代MUSA | 第2世代MUSA | 第1世代MUSA |
演算性能 | 不明 | 15.2TFLOPS | 12TFLOPS |
メモリ | 48GB GDDR6 | 32GB GDDR6 | 32GB |
フォームファクタ | デュアルスロットパッシブ | デュアルスロットパッシブ | シングルスロットパッシブ |
インターフェイス | PCIe Gen5 x16 | PCIe Gen4 x16 | |
APIサポート | 不明 | DirectX, Vulkan, OpenGL, OpenGL ES | |
OSサポート | 不明 | X86/ARM/LoongArch | |
接続可能ディスプレイ | 最大4つのDisplayPort接続 | DisplayPort 1.4 (最大解像度8K) |
一方で、海外メディアのTom's Hardwareによると、MTT S4000はNVIDIAが2020年にリリースした「NVIDIA Ampereアーキテクチャ」や2022年の「NVIDIA Ada Lovelace アーキテクチャ」の性能には及ばないとのこと。それでも、Tom's Hardwareは「MTT S4000は48GBというメモリ容量と毎秒768GBというメモリ帯域幅を備えているため、ある程度のAIや大規模言語モデルのトレーニングには役立つでしょう」と述べています。
また、Moore ThreadsはMTT S4000について、「MTT S4000に搭載されている独自のMUSIFYツールは、NVIDIAのCUDAと完全な互換性があるため、CUDAプラットフォーム上で作成したコードをMUSAのプラットフォームに移行することが容易にできるため、移行のコストを抑えつつ、パフォーマンスの低下がなくなります」とアピールしています。
さらにMoore ThreadsはMTT S4000を約1000枚搭載したAIトレーニングクラスターの「KUAE Intelligent Computing Center」を発表。このKUAE Intelligent Computing Centerは、MTT S4000とRDMAネットワーキング、分散型のストレージ、統合クラスター管理ソフトウェアを組み合わせたものです。
Moore ThreadsはKUAE Intelligent Computing Centerの性能について、約700億のパラメーターを持つ大規模言語モデル「Aquila2」のトレーニングをKUAE Intelligent Computing Centerで行った場合、トレーニング完了までに要する日数は33日とのこと。
Moore Threadsによると、MTT S4000単体での販売を行う予定はなく、KUAE Intelligent Computing Centerに関心を持つ大口顧客に向けて販売する予定とのことです。
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