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「2025年までに国内のコンピューターの演算能力を合計300エクサフロップスにまで向上させる」計画を中国が発表


中国の工業情報化部は2023年10月9日に、2025年までに中国が達成すべきデジタルインフラストラクチャについての目標を発表し、「中国国内のデジタルストレージ容量を1800エクサバイトにまで引き上げつつ、合計300エクサフロップスの演算能力を目指す」ことを明かしています。

China Plans Big AI and Computing Buildup in Boon for Local Firms - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-09/china-plans-big-ai-and-computing-buildup-in-boon-for-local-firms


工业和信息化部等六部门关于印发《算力基础设施高质量发展行动计划》的通知
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_fcb3aa793e674960b1c00d7e3b6ad448.html

China targets boost in computing power as AI race with U.S. ramps up
https://www.cnbc.com/2023/10/09/china-targets-boost-in-computing-power-as-ai-race-with-us-ramps-up.html

China Wants 300 ExaFLOPS of Compute Power by 2025 | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/china-wants-300-exaflops-of-compute-power-by-2025

2023年10月9日に行われた会見で、中国の工業情報化部を含む6つの政府機関は共同で、「2025年までに中国国内で合計300エクサフロップスもの演算能力を達成することを目標としています」と発表。また、記事作成時点での中国の演算能力は合計197エクサフロップスであることを明かしました。


演算能力の単位であるFLOPS(フロップス)は、1秒間に何回の浮動小数点演算ができるかを示す指標値です。また「エクサ」は1018を示すSI接頭語です。つまりエクサフロップスとは、1秒間に1018回以上の浮動小数点演算を行うことができる能力というわけです。調査会社のCounterpoint Researchによると、1エクサフロップスは一般的なノートPC200万台分の演算能力に相当するとのこと。

また、中国政府は「金融や教育などの業界においてさらなるアプリケーションのサポートを行うために、演算能力の向上が必要になります」と述べ、その重要性を強調しました。

演算能力向上を達成するために、中国では2025年までに20の高性能コンピューティングセンターを建設する予定です。会見の中で政府機関の広報担当者は「我々は教育部門や金融部門、医療部門などさまざまなニーズに対応できるデータセンターを建設する予定です。中国政府は、制御可能なソリューションを開発し、国産の信頼できるソフトウェアの使用を奨励することで、業界の相乗効果を強化しつつサプライチェーンを保護することを計画しています」と述べています。


また、演算能力の向上にはストレージ容量の増大が必要不可欠です。工業情報化部などは、演算能力の向上に伴って中国国内では約1800エクサバイトものストレージ容量が必要であることを明かしています。また、中国政府によると、1800エクサバイトのストレージ容量のうち、約30%は「高度なストレージ」であるべきとのこと。

そこで中国では、「フラッシュメモリやBlu-rayストレージなどのストレージ技術において革新的な開発を促進し、フラッシュストレージのアップグレードの機会を捉え、コンピューティングセンターにおけるメモリとストレージ業界の共通の発展を達成する」ことを目標に掲げています。また中国では、定期的に「中国ストレージ容量開発レポート」を発行する予定とのこと。


一方で海外メディアのTom's Hardwareは「中国と国内の企業が2025年までの1年ちょっとで演算能力を100エクサフロップス以上伸ばすのは容易ではありません」と述べて、アメリカの半導体輸出規制を念頭に、自力での目標達成は困難ではないかとの見方を示しました。さらに、中国の製造技術については「SMICなどの企業がスマートフォン用の高性能プロセッサを製造することは確かに可能ですが、NVIDIAのH100やIntelのPonte Vecchioのような高性能プロセッサを構築することは困難です」と指摘しています。

また、Counterpoint Researchのアクシャラ・バッシ氏は「アメリカによる輸出規制によって中国国内で高性能なAI用チップやGPUが入手できないことは、データセンターを新たに建設する上で大きな障害となります」と述べています。

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in ソフトウェア, Posted by log1r_ut

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