ハードウェア

ヨーロッパ初のエクサスケール・スーパーコンピューター「Jupiter」はx86ではなくArmコアで動作することが明らかに


ドイツのユーリッヒ研究センターで稼働する予定のスーパーコンピューター「Jupiter」が、エクサスケール・コンピューターとしては初めて、x86ではなくArmアーキテクチャを採用していることが判明しました。

Europe's First Exascale Supercomputer Will Run on ARM Instead of x86 | Extremetech
https://www.extremetech.com/computing/europes-first-exascale-supercomputer-will-run-on-arm-instead-of-x86


EU Grabs ARM for First ExaFLOP Supercomputer, x86 Misses Out
https://www.hpcwire.com/2023/10/04/eu-grabs-arm-for-first-exaflop-supercomputer-x86-misses-out/

エクサスケール・コンピューターとは、1秒間に1018回以上の浮動小数点演算、つまり1EFLOPS(エクサフロップス)の計算を行うことができるスーパーコンピューターです。エクサスケール・コンピューターによって天気予報や個別化医療などの計算機工学の分野で、さらなる応用や予測の改善が可能になるとされていますが、世界トップ500のスーパーコンピューターでも1エクサフロップス以上で動作するシステムはごくわずかです。

欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC JU)が主導で進めるプロジェクトの一つであるJupiterは、ヨーロッパでは初のエクサスケール・コンピューターになるとされており、ドイツ・ミュンヘンのユーリッヒ研究センターで2024年初頭から組み立てが開始される予定です。

EuroHPC JUはJupiterに対して、ArmアーキテクチャをベースとするSiPearlのRheaプロセッサを導入することを選択。一方で世界トップ10のスーパーコンピューターのうち、Armアーキテクチャを搭載しているコンピューターはわずか1台で、ほとんどはx86チップを搭載しています。


Armベースのチップは当初スマートフォンなどのモバイル端末に多く搭載されてきました。一方、Rheaプロセッサはハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)用アプリケーション向けに開発された、ArmのNeoverse V1 CPU設計に基づき、72コアを搭載しています。また、RheaプロセッサはHPC向け広帯域幅メモリのHBM2EDDR5をサポートしており、キャッシュは最大160MBに達するとのこと。

さらに、JupiterにはNVIDIAのGPUとMellanoxの超広帯域インターコネクトを統合したブースターモジュールが搭載される予定です。なお、NVIDIAはJupiterにどのGPUが搭載されるのかを明らかにしていません。


海外メディアのExtreme Techは「スーパーコンピューターの性能における2023年現在のトップは、アメリカのオークリッジ国立研究所に設置されているFrontierで、その最高性能は1.5エクサフロップス以上に上ります。最高1.1エクサフロップスもの性能を発揮できるJupiterが完成すると、Frontierに匹敵するスーパーコンピューターが誕生する予定です」と述べています。

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in ハードウェア, Posted by log1r_ut

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