「RTX 4090」などの中国への輸出規制でNVIDIAやIntelなどに大打撃
ゲームだけでなくAI・機械学習分野でも広く用いられるGPUのうち、特に性能の高いNVIDIAのA100、H100、RTX 4090などのアメリカからの輸出に規制がかかっています。この影響により中国メーカーのシェアが拡大し、NVIDIAなど既存のメーカーの株価が下落するなどの混乱が見られています。
Commerce Strengthens Restrictions on Advanced Computing Semiconductors, Semiconductor Manufacturing Equipment, and Supercomputing Items to Countries of Concern.pdf
(PDFファイル)https://www.bis.doc.gov/index.php/documents/about-bis/newsroom/press-releases/3355-2023-10-17-bis-press-release-acs-and-sme-rules-final-js/file
U.S. Govt Restricts Shipments of GeForce RTX 4090 to China, Other Countries | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/us-govt-restricts-shipments-of-geforce-rtx-4090-to-china-other-countries
2023年10月17日、アメリカ商務省の産業安全保障局が中国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などに輸出規制を設け、RTX 4090やA100、H100など特定の製品を商務省の認可なしで輸出することを禁じました。これはアメリカが以前から中国に対して敷いていた規制を強化するもので、以前の規制を回避するようにNVIDIAが特別に設計した「A800」と「H800」も、今回の規制の影響を受けることになります。
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この規制はもともとチップの軍事利用拡大を防ぐためのものですが、AIや機械学習を用いてサービスを展開しようとする中国の民間企業にも大きな影響が及んでいます。TechChrunchによると、中国のメーカーの多くはA100やH100を買いだめしていて、アリババ、Baidu、ByteDance、テンセントはA800チップを総額50億ドル(約7500億円)分発注したとのこと。
中国はAI分野で欧米に匹敵するほどの実力を付けてきており、中国Baiduが発表したAIモデル「Ernie 4.0」は性能でOpenAIのGPT-4に追いついているとのこと。中国で高まり続けるAIへの関心、強化される輸出規制が重なり、中国では外国製の装置を国産の代替品に置き換えようという動きが見られています。
中国証券会社のHuatai Securitiesが行った182件の入札の分析によると、2023年1月から8月までに行われた中国のファウンドリーによる機械設備入札のほぼ半分、47.25%は地元メーカーが落札していて、7月から8月にかけてその割合が急激に増えていったとのこと。ロイターは「これは、アメリカの技術輸入規制が緩和される見込みがなく、さらに悪化する可能性があること、そして中国の習近平国家主席が促しているように、自国の技術に依存することが進むべき道であることを受け入れていることを反映したもので、業界にとっての転換点を示している」と指摘しました。
中国という大きな市場を失いつつあるNVIDIAですが、同社は広報担当者を通じて「同社の製品に対する世界的な需要を考慮すれば、当社の業績に短期的に意味のある影響が出るとは考えていません。我々は多くの業界にわたる何千ものアプリケーションをサポートする製品を提供しつつ、すべての規制を順守しています」との声明を出し、規制についての影響は少ないとの考えを示しました。
商務省の発表を受けて、NVIDIAの株価は4.7%下落し、Intelは1.4%、AMDは1.2%安で取引を終了したことが伝えられています。
半導体開発のArmは規制について「軍事利用が可能な半導体へのアクセスを遮断するというアメリカ政府の目標は、単なる輸出規制で達成するのは難しい」と指摘。こうしたシステムにはGPUだけでなく他のさまざまなコンポーネントが関わってくるため、商務省が特定の品目リストだけ規制しても効果は弱いとしています。
今回の規制は半導体製造に欠かせないリソグラフィー分野にも影響を与えていて、同分野に強いASMLの受注が世界的に急減した一方で、中国での売上高が収益の半分近くにまで達するなど、中国市場の手応えが感じられる結果が現れているそうです。
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