「普通」だからこそ魅力的なキャラクターを作る方法とは?
パワフルな主人公や奇抜でインパクトのあるキャラクターは、作品に人気が出る要因になります。一方で、ごくありふれた主人公や、普通のキャラクターだからこそ、応援したくなることもあります。そういった「普通のキャラクター」の何が魅力なのか、そして普通なのにどうやって魅力を出すことができるのかについて、オクラホマの小説家で複数の賞も受賞しているルー・バーニー氏が語っています。
Lou Berney On The Immense Appeal of Ordinary Characters ‹ CrimeReads
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バーニー氏は子供のころから、「スーパーマン」のような無敵の能力でなんでも解決するヒーロー像は退屈に感じていて、「ジョーズ」に登場するブロディ署長のような、等身大で奮闘するキャラクターを魅力的なヒーローと感じていたそうです。2023年にバーニー氏が出版した「Dark Ride」も、遊園地でおばけ役をする低賃金のアクターが、子供たちを救うことを決意して巨悪に挑むという、「普通」の主人公が決して対等ではない相手に立ち向かうストーリーが描かれています。
バーニー氏は普通の主人公が魅力的であると考えていますが、「平凡でありながら魅力的な主人公を育てるのは難しい場合があります」と述べています。良いキャラクターとは驚きや意外性を与える複雑さを持っている必要があります。しかし、複雑さに人並外れた設定や展開を入れてしまうと、そのキャラクターは「普通」ではなくなります。
そのためバーニー氏は「キャラクターの複雑さは、可能な限り有機的であるべきだと思います」と指摘しています。バーニー氏が言う「有機的」とは、作者からキャラクターに押し付ける特徴ではなく、キャラクターの中から来る才能、埋もれていた感情、経験、現在の肉体的・精神的なダメージなどを指しています。バーニー氏は「読者として、作家の汚い指紋がついているのを見るのは好きではありません」と表現しています。
「有機的な」特徴でキャラクターを彩る方法として、バーニー氏はいつも自分のキャラクターと会話するようにしているとのこと。例えば主人公が海に行くシーンを考えた場合には、「あなたが海に対してずっと恐怖を抱いているのは理にかなっていると思いますか?」とキャラクターに問いかけ、もし「いや、それはちょっとおかしい」と回答されたら、そのシーンは変更することになります。回答が「たぶん」や「わからない」だった場合、バーニー氏は明確な肯定か否定を引き出せるまでシーンを書き直すそうです。
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