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物語を複数の登場人物の視点で描く難しさを克服する方法とは?


1人の主人公の視点のみで描くのではなく、複数の登場人物が語り手を担当しつつ物語を進める手法はシーンを多面的に描写して深みを持たせたり、登場人物の心情を深掘りできたりと、面白い作品にするために有効です。しかし、1人の視点で描写し続けるのに比べて、複数の価値観や考えを切り替えると、視点の一貫性を保つことが難しくなります。そのような複数の視点の物語を作る難しさと、それを克服する方法について、ライター兼作家のローリン・チェンバレン氏が解説しています。

On the Exponential Difficulty of Juggling Many Narrative Voices ‹ Literary Hub
https://lithub.com/on-the-exponential-difficulty-of-juggling-many-narrative-voices/


チェンバレン氏はデビュー作となる「Friends from Home」を1人の女性による一人称で書きましたが、2作目「Who We Are Now」では、ではレイチェル、デヴ、クラリッサ、ネイトという4人の友人の物語として、三人称に近い多視点で執筆しました。チェンバレン氏によると、「Who We Are Now」で書き方を変えたのは、物語に複雑な層を作り、複数の視点により物語を広げる狙いがあったそうです。


執筆に際してチェンバレン氏は、構想した結末に向かって、4つの視点それぞれから重要なシーンを書いていきました。当初、チェンバレン氏は一人称ではなく4人の多視点で物語を作るため、4倍難しくなるのではないかと想定していました。しかし、実際には4人それぞれに他の3人との関係があり、たとえば「レイチェルがクラリッサをどう見ているか」と「クラリッサがレイチェルをどう見ているか」は同じではないため、4人の間で12通りの思いを想定する必要が出てきます。


物語の視点を増やすことの難しさを認識したことで、チェンバレン氏はその難しさを克服するために、細かくメモをとっていくことにしたそうです。物語のそれぞれのセクションや大きく時間・場面が変わる際に、各登場人物は他の人物に対してどう感じているか、今どのような感情でどのような懸念を抱いているのか、今後明かされたり影響したりする秘密や欠けている知識はあるか、などをページの上部に箇条書きしていく方式は、非常に役に立ったとチェンバレン氏は述べています。


各ポイントごとに各登場人物がどのような思考と視点を持っているのか理解することで、より深い洞察を得られて物語に深みを持たせ、執筆中の内容変更にもより簡単に着手できるようになります。「結果として、本はよりキレイに、より説得力があり、ほぼ全ての点で強力になったと私は確信しています」とチェンバレン氏は語っています。

各登場人物の視点をメモしていくという手法は、複数の視点を切り替える難しさを克服するのに優れた手法ですが、チェンバレン氏は「最終的にどの視点を選択するかに関係なく、全ての作家にこのライティングトリックをオススメします」と登場人物ごとの視点を明らかにしていく重要性を強調しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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