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キャラクターに共感を持ってもらえる時と「共感できない」「興味ない」キャラクターとの違いとは?


クリエイターからの視点で見ると、物語においてキャラクターを「好き」あるいは「共感できる」と感じさせることは非常に重要です。逆に「キャラクターに共感できない」「キャラクターに興味が持てなかった」と感じさせてしまった場合、ストーリーをある程度楽しんだ場合でも、「面白くない作品」「好きな作品ではない」と判断されてしまうことがあります。物語の魅力に重要なキャラクターへの共感に関連する「4種類の読者の読み方」について、フランスのパリ政治学院でクリエイティブライティングの講師も務める作家のジェイク・ラマー氏が語っています。

The Four Corners of Subjectivity ‹ CrimeReads
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魅力的なキャラクターを作るためには、ただ「かっこいい」「かわいい」などの要素だけではなく、「共感できるか」「関心をもってもらえるか」というポイントが重要です。心理学者で小説家のR・J・ジェイコブス氏は、物語のキャラクターがときには悪人ではなくても不道徳的な行為を選択する場合があり、そのようなキャラクターを「許せない」と思わせない工夫が必要だと指摘しています。

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ラマー氏は、キャラクターを魅力的なものにする「読者の反応」の傾向について、経験則から「4種の読者の主観性」としてまとめています。

ラマー氏が「読者の主観性」としてまず挙げているのは、「好感度」の側面です。ある政治コンサルタントの格言に「有権者は、一緒にビールを飲みに行くのを楽しめる人を好みます」とあるように、磨き上げられて魅力が高まったキャラクターよりも、親しみのあるキャラクターの方が「共感できる」「そのキャラクターに関心がある」と思ってもらえる場合があります。


「読者の主観性」の2点目は、「社会的アイデンティティ」において、キャラクターが読み手である自分と似ているかどうかという点。社会的・文化的背景の側面をある程度共有したキャラクターには感情移入しやすいですが、社会的にも文化的にも離れたキャラクターの場合、読者は共感を覚えることが難しくなります。

3点目は、孤独な悲しみを抱いている心理状態や恋人にフラれたばかりという経験など、「その他の関連性」が読者とキャラクターにあるかという点です。親しみやすい好感度は感じない、自身の社会的・文化的背景と似ていないキャラクターであっても、同じ経験や感情を持っている場合には、強い共感を得ることがあります。


「読者の主観性」の4種類目のパターンは、「キャラクターを思いやる視点」です。言い換えれば、キャラクターに共感できるかどうかに関係なく、キャラクターが物語の中でどうなるのかを客観的に気にかける読み方をする読者もいます。ラマー氏は「読者が物語の主人公の行く末をたどって、主人公の運命を見届けることに熱中することで、主人公の欠点や悪徳を気にすることなく、物語に夢中になる状態が理想的です」と述べています。

ラマー氏は「読者の主観性」が影響しやすい例として、「アンチヒーロー」の物語を挙げています。いわゆる清廉潔白で悪を倒す「ヒーロー」ではなく、スパイやギャングといった、不法行為や不道徳な行為を選択する主人公の場合、「悪いことしているから好きになれない」と物語を楽しめない場合があります。その際に注目すべきなのが「読者の主観性」で、どこか人間味があって好感が持てたり、今の立場は特別でも生まれ育った社会や文化は読者にも共感できたり、切実な感情や経験が理解できたりすると、共感を得にくいキャラクターでも深い関心を持ってもらうことができます。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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