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「Googleのせいで生活費が高くなっている」として総額1兆3000億円超の補償を求める集団訴訟が提起される


検索や広告、クラウドサービス、ハードウェアなどさまざまな事業を世界中で手がけるGoogleは、日々さまざまな訴訟に巻き込まれています。新たにイギリスでは、「Googleの広告ビジネスのせいで人々の生活費が高くなっている」として集団訴訟が提起されました。

Google faces multibillion-pound lawsuit from UK consumers | Google | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2023/sep/07/google-faces-multibillion-pound-lawsuit-uk-consumers


今回イギリスの競争控訴審判所に提出された訴訟は、Googleが競争法(独占禁止法)に違反して検索エンジン市場での競争を抑制し、それによってイギリス経済全体の価格上昇を引き起こしたとするものです。

訴状によると、Googleはモバイル検索において競合他社を閉め出し、その市場支配力を利用してGoogle検索結果の画面に広告を表示する費用を引き上げたとのこと。広告主がGoogleに対して支払う広告費が高くなれば、そのコスト上昇分は商品やサービスの価格に転嫁され、結果として消費者が価格引き上げの悪影響を受けていると原告側は主張しています。


消費者権利団体・Consumer Voiceの共同創設者であり集団訴訟の代表を務めるニッキー・ストップフォード氏は、「この訴訟は人々が支払ったものを取り戻すだけでなく、Googleの行動に対する責任を追及することで、市場の均衡を取り戻すことを目的としています」と述べました。

今回の集団訴訟では16歳以上のイギリス国民約6500万人に対し、推定73億ポンド(約1兆3400億円)の補償を求めています。これは対象の国民1人あたり約100ポンド(約1万8000円)の補償に相当します。


Googleはモバイル検索における地位を守るためにあらゆる努力を払っており、2021年には「iOSのモバイルブラウザ・Safariにおけるデフォルト検索エンジンであり続けるため、Appleに150億ドル(当時のレートで約1兆6500億円)を支払う可能性がある」と報じられました

原告は、GoogleがiOSのデフォルト検索エンジンであり続けるための契約で、モバイル検索における支配的な地位を維持したと指摘。訴状では、Googleは検索結果画面を有料広告で混雑させており、消費者が自分でウェブサイトを見つけるのを待つのではなく、広告表示のためにより多くの広告費を支払うよう企業に圧力をかけていると主張しています。

ストップフォード氏は、「Googleは時に違法な方法で物事を修正し、イギリスでは実質的にすべてのスマートフォンでデフォルトの検索エンジンとなっています。Googleはその市場支配力を悪用し、市場が競争的であった場合よりも多くの広告費を、たとえばGoogleを使って何かを検索した時に表示されるスポンサーリンクなどで広告主に請求しました。広告主は必然的に、こうした高いコストを買い物客に転嫁してきました」と述べました。

なお、Google広告は2022年だけで2240億ドル(約33兆円)以上の収益を生み出しており、Googleの親会社であるAlphabetの収益の約80%を占めているとのことです。


訴訟を主導している法律事務所・Hausfeldのパートナーであるルーク・ストリートフィールド氏は、「Googleは素晴らしいサービスを提供していますが、それは無料ではありません。この訴訟は、Googleが長年にわたって検索エンジンの競争を阻害し、そのサービスを利用する企業ひいては消費者に不利益を与えてきたと主張しています。競争の欠如は価格上昇と質の低下を招き、その影響はイギリス経済全体に及んでいます」とコメントしています。

Googleの広報担当者は大手日刊紙のThe Guardianに対し、「この訴訟は投機的かつ日和見的であり、私たちは強く反対します。人々はそれが便利だからGoogleを使っているのです。人々が広告をクリックしていることで示されているように、私たちは広告が有用で関連性がある場合にのみ、リアルタイムオークションで設定された価格で収益を得ます。広告は人々が新しいビジネス、新しい主張、新しい製品を発見するのを助ける重要な役割を果たします」と述べました。

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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