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Googleの広告テクノロジー事業は独占禁止法違反だとしてビジネスの一部売却をEUの規制当局が命じる可能性


「Google」と聞いて連想するのは検索エンジンやYouTubeだという人は多いかもしれませんが、Googleの大きな収益の柱となっているのはインターネットの至る所に表示されるオンライン広告です。以前からGoogleの広告事業は「独占禁止法に違反しているのではないか」と数多くの調査や訴訟に直面しており、新たにEUの反トラスト法(独占禁止法)規制当局がGoogleに対し、広告テクノロジー事業の売却を命じる可能性があると報じられました。

Google Faces New EU Antitrust Complaint for Ad Tech Abuses (GOOG) - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-06-12/google-faces-new-eu-antitrust-complaint-for-ad-tech-abuses-goog


EU regulators may demand Google to sell part of ad-tech business - source | Reuters
https://www.reuters.com/technology/eu-regulators-may-demand-google-sell-part-adtech-business-source-2023-06-12/

Breakup of Google Ad-Tech Business Now on Table in Europe, Too - WSJ
https://www.wsj.com/articles/breakup-of-google-ad-tech-business-now-on-table-in-europe-too-d74cc355

Google’s ad tech dominance spurs more antitrust charges, report says | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/06/googles-ad-tech-dominance-spurs-more-antitrust-charges-report-says/

検索エンジンや動画プラットフォーム、モバイルOSなど幅広い事業を手がけるGoogleは、各国の規制当局からさまざまな分野で独占禁止法違反についての調査を受けており、2017年以降だけで合計数十億ドル(数千億円)もの罰金に直面しているとのこと。


中でもGoogleの収益の柱となっているオンライン広告は厳しい視線を向けられており、2023年1月にはアメリカ司法省が「反競争的で排他的かつ違法な行為を通じて、デジタル広告技術における優位性を追求した」として、Googleに対する反トラスト訴訟を提起しました。

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Googleは2008年にオンライン広告配信インフラを手がけるDoubleClickを買収し、2009年にはモバイル広告オプションを提供するAdMobを買収するなどして、着実に広告主と広告を掲出するパブリッシャーをつなぐアドテクノロジー事業を成長させてきました。各国の規制当局によって問題視されているのが、「オンライン広告の購入プロセスにおける複数のポイントで、Googleが手がけるサービスが介入している」という点です。

アメリカ司法省によると、パブリッシャーによる広告枠の販売を手がけるGoogleの広告サーバー・DoubleClick for Publishersのシェア率は90%以上に達し、広告主が広告枠を購入するプラットフォームのシェア率も数十%を誇っているとのこと。また、広告枠と広告主のマッチングを行うAd Exchangeのシェア率も50%に達しているそうです。

規制当局は、Googleがオンライン広告の販売側と購入側の両方でサービスを展開することで優位性を維持し、支配的な地位を築いていると主張しています。これに対しGoogleは、「パブリッシャーや広告主がGoogleのツールを利用するのは、広告市場において競争力があり効果的だからだ」と反論しています。

デジタルマーケティング調査企業のInsider Intelligenceによると、Googleは世界で最も支配的なオンライン広告プラットフォームであり、世界の広告収入において約28%のシェアを占めているとのこと。Googleの親会社であるAlphabetは2023年度第1四半期の決算で、Google広告の収益が545億4800万ドル(約7兆3000億円)に達したことを報告しています。

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新たに、EUの反トラスト規制当局がGoogleに対して新たな独占禁止法違反の申し立てを計画しており、その一環として「Googleのアドテクノロジー事業の売却命令」が検討されていると報じられました。

この件について報じた日刊紙のウォール・ストリート・ジャーナルは、「訴訟の一環として、EU当局はGoogleにアドテクノロジー事業の一部を売却するように命じることを検討中だと関係者は述べました」「反トラスト法違反の案件において、欧州委員会(EC)が会社の分割を命じるのは異例であり、多くは罰金や行動規範の変更命令で解決されます」と述べています。

EUによる独占禁止法違反の申し立ては、早ければ2023年6月15日(水)に提出されるとみられています。テクノロジー系メディアのArs Technicaは、「Googleのアドテクノロジー事業は非常に価値があるため、EUの告発が発表された際には、おそらくGoogleは争う姿勢を見せるでしょう」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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