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ネタニヤフ政権が進める司法改革法が「イスラエル政権に無制限の権力を与えることになる」との指摘


イスラエルの政権の座についたベンヤミン・ネタニヤフ氏が進めている政策について、ビジネス紙Financial Timesが「最高裁を無力化し、無制限の権力を手に入れることになる」との論説を展開しています。

Israeli democracy is fighting for its life | Financial Times
https://www.ft.com/content/b027a525-05b1-45fc-a2c2-f131d341bc6b


イスラエルには「憲法」がなく、代わりとなる基本法が国の司法制度の根幹を築いています。議会の上院もなく、連邦制もなく、最高裁を除いては政府の権力をチェックするものがないという現状でネタニヤフ政権が進めているのが、「合理性」を基準に最高裁が政府の決定を無効化できるという既存の権限をなくす内容を含んだ司法改革法です。

ネタニヤフ連立政権の議員はすでにアラブ人や女性、LGBTQを差別する法律を成立させ、政策を追求する意向を明らかにしています。最高裁が邪魔にならなければ政権を止めるものは何もなくなり、政府は将来の選挙を不正に操作することも可能になるという懸念が浮上しており、イスラエルが今後行う選挙もただの形式的なものになるとも指摘されています。


イスラエルに独裁政権が樹立されれば、影響が及ぶのはイスラエル国民だけではありません。Financial Timesは「連立与党はユダヤ人至上主義のイデオロギーを信奉するメシアニックな宗教狂信者に率いられており、これはパレスチナ人に市民権を与えることなく、占領下のパレスチナ地域をイスラエルに併合することを求め、最終的にはイスラム教の聖地のひとつであるアル・アクサー・モスクの敷地を破壊し、その代わりに新しいユダヤ教寺院を建設することにつながる」と主張。この根拠としては、2人のユダヤ人入植者を殺害した報復としてパレスチナの町全体を消滅させるよう要求したベザレル・スモトリッチ財務相の存在も大きいとしています。

Financial Timesは「イスラエルの民主主義を救おうとする強力な抵抗運動が、ここ数カ月で台頭してきたことは朗報である。ユダヤ人至上主義のイデオロギーを拒否し、ユダヤ人寛容の古くからの伝統につながり、何十万人ものイスラエル人があらゆる非暴力的な方法でデモを行い、抗議し、抵抗している。数百人の空軍パイロットやサイバー戦争の専門家、精鋭部隊の指揮官を含む1万人以上の陸軍予備役も、独裁政権には仕えず、司法の改革が続けば軍務を停止すると公言した。ユダヤ人至上主義の独裁政権の台頭を阻止することは、国民に課せられた義務であり、ユダヤ人の伝統に対する義務であり、人類に対する義務なのだ」と締めました。

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in Posted by log1p_kr

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