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最高裁判所が「行政府による外出禁止令の延長は無効」と命じる


アメリカでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が続いており、記事作成時点で130万人以上が感染し、8万人以上が亡くなる事態となっています。各地では外出禁止措置や社会的距離を保つことでウイルスの感染拡大を防ごうとする試みが行われていますが、ウィスコンシン州の最高裁判所は「トニー・エバーズ知事政権による『外出禁止令の延長指示』は越権行為であり、外出禁止令の延長は無効である」との判断を下しました。

Wisconsin Supreme Court rules to strike down Evers' stay-at-home order
https://www.jsonline.com/story/news/politics/2020/05/13/wisconsin-supreme-court-strikes-down-tony-evers-coronavirus-orders/5179205002/

Wisconsin supreme court strikes down governor's stay-at-home order | Wisconsin | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2020/may/13/wisconsin-supreme-court-stay-at-home-order

Wisconsin Supreme Court strikes down state's stay-at-home order - CNNPolitics
https://edition.cnn.com/2020/05/13/politics/wisconsin-supreme-court-strikes-down-stay-at-home-order/index.html


アメリカではCOVID-19のパンデミックを抑えようと行政がさまざまな措置を講じている一方で、外出禁止令による経済の停滞を危惧する声も多く、各地では外出禁止令に対する抗議デモも実施されています。ミシガン州では2020年5月に自動小銃などで武装した抗議者らが議事堂内に押し寄せ、仕事の再開を求めて抗議活動を行いました。

エバーズ知事によって厳しい外出禁止令が敷かれているウィスコンシン州でも同様の反発が起こっており、対立は議会内にまで広がっています。4月には大統領選の民主党候補を選ぶ予備選を延期する命令を出した民主党のエバーズ知事に対し、州議会で多数を占める共和党が反発。共和党指導部は知事令が出た直後にウィスコンシン州最高裁判所に異議申し立てを行い、最高裁判所が予備選延期の知事令は無効だと判断したため、予定通り選挙が実施されました。その結果、強行された予備選に関連して19人以上の感染者が発生しています。


ウィスコンシン州の外出禁止令は3月から実施されていますが、4月中旬にエバーズ知事は州保健当局に対して外出禁止令を5月26日まで延長するよう命じました。外出禁止令の延長に伴い、州政府はゴルフ場や図書館など一部のビジネスに対する制限を緩和しましたが、共和党議員らはこの決定にも反対し、エバーズ知事や州保健当局のアンドレア・パーム長官らを相手に最高裁判所に異議申し立てを行ったとのこと。

エバーズ知事は共和党が訴えを起こした際、「共和党員は国民の意思を弱体化させる取り組みに、世界的なパンデミックを利用しています。しかし、危機は政治的な権力をはるかに超えており、人々の命はボーダーラインにあります。これはゲームではなく、面白いことでもありません。ウイルスのせいで、毎日人々が痛みと孤独を伴って亡くなっています。私たちが行動を遅らせたり、政治ゲームをプレイしたりすればより多くの人が亡くなります」と述べました。

一方、共和党のスコット・フィッツジェラルド州上院院内総務とロビン・ボス州下院議長は最高裁判所への訴えの後に、「外出禁止令の延長に関する大きな不満があります。エバーズ知事の命令は、前例のない行政の働きかけによって人々の声を無視しています。残念ながら、議会はこの明白な権力の乱用を抑制するよう最高裁判所に要請するしかありません」と共同声明を発表しています。


そして5月13日(木)、ウィスコンシン州最高裁判所は「賛成4:反対3」で、エバーズ知事による外出禁止令の延長が無効だとする訴えを認めました。共和党の訴えを認めた首席判事のPatience Roggensack氏は、パーム長官には外出禁止令の延長を命じる権限がないと指摘して、立法府の承認を得ない行政府の越権行為は認められないとの見解を示しています。

一方、共和党の訴えに反対したRebecca Dallet氏は今回の判断について、「間違いなくこの裁判所の歴史における最も露骨な司法活動の1つとして名が残るでしょう。この代償を支払うのはウィスコンシン州の人々です」と述べて激しく非難しました。また、Michael Maistelman弁護士は、「この決定が病気と死を増やすことは避けられないでしょう。裁判所は自らの手を血に染めました。ウィスコンシン州の人々はそれを忘れません」とコメント。

早期にロックダウンを解除することについては、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所アンソニー・ファウチ所長らの専門家が慎重論を唱えています。ウィスコンシン州の外出禁止令は、議会が新型コロナウイルスに関する新たな計画を立案する時間を要するため、5月20日までは予定通り実施されるとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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