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Intelがイスラエルに3兆5000億円をかけてウエハー工場を新設する契約に合意、2027年までに操業予定


大手半導体メーカーのIntelが、製造拠点をアジア以外に移すための取り組みの一環として、イスラエルのキルヤット・ガトに新しい製造工場を建設すると発表しました。Intelはイスラエル政府と提携し、250億ドル(約3兆5000億円)をかけて新工場を建設予定です。

Intel to invest $25B in Israeli chip manufacturing plants - SiliconANGLE
https://siliconangle.com/2023/06/18/intel-agrees-invest-25b-israeli-chip-manufacturing-plants/


Intel to Build in Israel as Chipmakers Move Beyond East Asia - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-06-18/intel-to-build-25-billion-plant-in-israel-s-largest-investment

Intel to invest $25 billion in Israel factory in record deal, Netanyahu says | Reuters
https://www.reuters.com/technology/intel-build-25-bln-factory-largest-foreign-investment-israel-netanyahu-2023-06-18/

現地時間の2023年6月18日、イスラエルの財務省および同国のベンヤミン・ネタニヤフ首相が、Intelと協同でキルヤット・ガトに半導体製造工場を建設するという予備契約を結んだことを発表しました。なお、Bloombergは「Intelはイスラエルで『製造能力を拡大する意向』を認めましたが、契約の条件や詳細を明らかにすることはありませんでした」と報じています。

情報筋によると、Intelがイスラエルに建設するのはウエハー製造用の工場であり、これはIntelのパット・ゲルシンガーCEOが進める「チップ生産の大部分を占めるアジア以外の地域に製造拠点を広げるための施策」のひとつだそうです。Bloombergは「ゲルシンガーCEOはNVIDIAやTSMCといった企業に奪われてしまった『チップメーカーのパイオニア』としての地位を奪還しようと努力しています」と報じました。

ネタニヤフ首相は今回の契約を、「イスラエル史上最大の海外からの投資」と表現しており、Intelによる出資額が250億ドルにもおよぶとアピールしています。ただし、Bloombergは「この金額はあくまでこれまでの総額であり、2021年に発表された100億ドル(約1兆4000億円)の投資も含まれる額」と報じました。


イスラエルの政府関係者によると、このプロジェクトは現在Intelがイスラエルで雇用している約1万2000人の従業員に、数千人の新規雇用を追加することになるそうです。新設予定の工場は、キルヤット・ガトにあるIntelの既存の工場と同じ土地に建設され、2027年までに操業予定となっており、少なくとも2035年までは稼働する計画であるとイスラエル財務省は説明しています。

また、今回の契約の一環として、Intelがイスラエルで支払う税率は現在の5%から7.5%に引き上げられることとなる予定です。一方で、Intelはイスラエル政府との契約の一環として、投資総額の12.8%相当の金額を政府からの補助金として受け取ることができます。


なお、Intelは2023年6月16日にポーランドのヴロツワフに工場を新設すると発表したばかり。Intelがポーランドに新設するのは半導体の組立・検査工場で、投資額は最大46億ドル(約6500億円)にもなると報じられています。

インテル、ポーランドに工場新設 最大46億ドル投資 | ロイター
https://jp.reuters.com/article/intel-europe-poland-idJPKBN2Y20ML


BloombergはIntelによる製造拠点の移行を、アメリカと中国の関係の悪化に端を発した製造拠点多様化の最新事例と紹介しています。

Intelはこの他、アイルランドでも120億ユーロ(約1兆9000億円)を投資して工場の製造スペースを2倍に拡張し、ファウンドリーサービスを拡充することを計画しています。これが完了すれば、Intelのアイルランドでの投資総額は300億ユーロ(約4兆7000億円)を超えることとなるそうです。

さらに、Intelは1年以上前に発表したTower Semiconductorの買収を完了させるべく動いています。Intelはこの買収契約を完了させ、TSMCが支配するチップファウンドリ業界での地位を強化することを狙っています。

Intelが約6200億円でイスラエルのファウンドリ「Tower Semiconductor」を買収すると発表 - GIGAZINE

by Morton Lin

なお、Intelは1974年からイスラエルで事業を展開しており、ハイファ、エルサレム、ヤクム、ペタティクバといった地域に研究開発センターを保有しています。そして、工場が新設されるキルヤット・ガトにはIntelの自動運転車事業であるMobileyeのグローバル開発センターが存在しており、同社はこの施設を「最も進んだ製造施設」と呼んでいます。

Intelは世界各地で製造拠点を拡張する意図を、「将来の製造ニーズに対応し、IntelのIDM 2.0戦略をサポートするためのコミットメントとして推進されており、イスラエル政府の継続的な支援に感謝しています」と説明しています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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