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Intelが2兆円超を投じてファウンドリサービスの拡充を目指す「IDM 2.0」を発表、「Apple Siliconの製造を目論んでいる」との指摘も


現地時間の2021年3月23日、Intelの新CEOに就任したパトリック・ゲルシンガー氏が記者会見を行い、Intelのファウンドリサービスを拡充していくための新しい戦略「IDM 2.0」を発表しました。IDM 2.0でIntelはアメリカ・アリゾナ州にある2つの製造拠点に200億ドル(約2兆2000億円)規模の投資を行うこととなり、独自の半導体製造だけでなくパートナー企業のチップ製造にも注力していく方針です。

Intel CEO Pat Gelsinger Announces ‘IDM 2.0’ Strategy for Manufacturing, Innovation and Product Leadership | Intel Newsroom
https://newsroom.intel.com/news-releases/idm-manufacturing-innovation-product-leadership/

Intel invests $20 billion in two Arizona factories, 7nm chips coming in 2023 | Engadget
https://www.engadget.com/intel-7nm-2023-meteor-lake-213933055.html

Now Intel wants to manufacture Apple Silicon | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/03/23/now-intel-wants-to-manufacture-apple-silicon

Intelのファウンドリサービスを拡充していくための新しい戦略「IDM 2.0」が発表されました。この一環として、アリゾナ州にあるIntelの2つの製造工場が増築され、そのために200億ドルもの資金が投入されます。


IDM 2.0の柱となるのは以下の3つの取り組みです。

1:大規模製造のためのIntelのグローバルな社内工場ネットワークの構築
ゲルシンガーCEOはIntel製品の大部分を社内で製造し続ける方針であることを改めて強調し、そのためにグローバルな社内工場ネットワークの構築を目指すとしています。

また、Intelは開発の遅れがたびたび指摘されてきた7nmプロセスについて、開発の遅れを認めながらも「10nmプロセスへの移行の遅れが起因である」とゲルシンガーCEOは説明しています。

ムーアの法則に黄色信号点滅、Intelの10nmプロセス移行の遅れが確実に - GIGAZINE


ただし、Intelは開発そのものについては「順調」と答えており、再設計&簡素化されたプロセスフローで極端紫外線リソグラフィの使用が増加しているという変化を報告しています。このほか、Intelが7nmプロセスで製造する「Meteor Lake」について、2021年第2四半期に設計が完了する見通しであるとしています。なお、Meteor Lake世代のCPUは2023年に出荷予定となっていますが、設計完了は当初の計画からすでに約1年も遅れています。

2:サードパーティファウンドリ容量を拡大
Intelは自社ファウンドリに多額の投資を行う予定ですが、データセンター向けの7nmチップ、Meteor Lake世代のチップ、Granite Rapidsといった幅広い製品群を製造するには、引き続きサードパーティファウンドリの支援を必要としていくとのこと。さらに、2023年以降はクライアント製品とデータセンター製品の両方でIntel製品の中心となる製品を含む、高度なプロセス技術を必要としたモジュラータイルの製造を委託することを計画していると述べました。

Intelはサードパーティファウンドリの委託について、「コスト、パフォーマンス、スケジュールおよび供給に関するIntelのロードマップを最適化するために必要な柔軟性と規模の向上を提供し、Intelに独自の競争上の優位性をもたらしてくれます」と説明しています。

なお、2020年時点でIntelの7nmプロセス開発の遅れは報じられており、チップ製造の一部を外部に委託するのではともウワサされていました。

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by Morton Lin

3:世界クラスのファウンドリビジネスとして「Intel Foundry Services」を構築
Intelは半導体製造に対する信じられないほどの世界的な需要に応えるために、アメリカやヨーロッパを拠点とした主要なファウンドリ能力プロバイダーとなるための計画を発表しました。このビジョンを実現するため、Intelは半導体業界のベテランであるRandhir Thakur博士が率いる、新しいスタンドアロンビジネスユニットの「Intel Foundry Services(IFS)」を設立しています。IFSは最先端のプロセステクノロジーとパッケージングの組み合わせ、アメリカとヨーロッパにおける確固たるファウンドリ能力、x86コア、ARMおよびRISC-Vを含む顧客向け製品の世界クラスのポートフォリオにより、他のファウンドリ製品とは差別化されるとのこと。

Intelは記事作成時点でAmazon、Cisco、IBM、Microsoftといったパートナー企業と協力してチップの製造を行っていますが、このIFSについての質疑応答の中で、ゲルシンガーCEOは「Appleのビジネスを追及している」と語っており、一部のメディアは「IntelがApple Siliconの製造を目論んでいる」と報じています。

なお、ゲルシンガーCEOがIDM 2.0について説明するムービーも公開されています。

Intel Unleashed: Engineering the Future (Event Replay) - YouTube

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in ハードウェア,   動画, Posted by logu_ii

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