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ムーアの法則に黄色信号点滅、Intelの10nmプロセス移行の遅れが確実に


Intelが2015年7月15日に第2四半期(4月から6月)の決算報告を発表しました。決算自体は市場予測を上回る好調なものでしたが、決算報告と並行して行われたアナリスト向け質疑で、10nmの製造プロセス(プロセスルール)への移行に大幅な障害が発生していることを明らかにしています。

Intel's (INTC) CEO Brian Krzanich on Q2 2015 Results - Earnings Call Transcript | Seeking Alpha
http://seekingalpha.com/article/3329035-intels-intc-ceo-brian-krzanich-on-q2-2015-results-earnings-call-transcript

CPUやメモリなど半導体の回路をウェハー上に製造する際の配線の幅をプロセスルールと呼び、最小加工寸法によって「14nm世代」や「22nm世代」のように呼ばれます。世代が進み最小加工寸法が小さくなれば、同じ面積により多くのトランジスタや配線を配置できるようになるので、さらに半導体の高速化が実現できると考えられており、14nm世代の製品(コードネーム「Broadwell」)がIntelの最新の製品となっています。


Intelのブライアン・クルザニッチCEOは、アナリスト向けに開催されたカンファレンスコールにおいて、次期プロセスルールである10nmへの移行に支障が生じており、10nmプロセス採用製品(コードネーム「Cannonlake」)は当初の予定より大幅に遅れる2017年後半になる見通しであることを明らかにしました。

Intelは2007年以降、プロセスルールを進化させた「チック」と、新設計で機能向上させた「タック」を1年ごとに繰り返す「チック・タック」戦略を採用してきましたが、クルザニッチCEOによると、14nm世代の回路設計は困難を極めており、14nm世代のチックにあたる製品(コードネーム「Broadwell」)のリリースは当初より約1年遅れて2015年に延期されましたが、10nm世代製品でも製造上の問題により遅れが生じているようです。

Intel創業者のゴードン・ムーア氏が1965年に提唱した「集積回路上のトランジスタ数は18カ月ごとに2倍になる」という有名な「ムーアの法則」に従うように、半導体集積回路は密度を高めて性能を向上させてきました。そして、ムーア氏は1975年に次の10年を見据えてムーアの法則を微修正して「集積回路上のトランジスタ数は24カ月ごとに2倍になる」と推測し、その通りに半導体の集積密度は向上し続けていました。


Intelは14nm世代のタックに当たる第6世代Intel Coreプロセッサー(コードネーム「Skylake」)は製造段階にあり、2015年後半にリリースするとのこと。しかし、今回明らかにされた10nm世代への移行の遅れ具合からすると、ムーアの法則は「集積回路上のトランジスタ数は30カ月ごとに2倍になる」というように再び修正が必要な時期にきているのかもしれません。

なお、Intelの2015年第2四半期決算は、売り上げが132億ドル(約1兆6000億円)、1株あたりの利益(EPS)は0.55ドル(約68円)と市場予測を上回る好内容で、決算発表後、Intelの株価は大幅に上昇しています。

(PDFファイル)Earnings Release Q2 2015 - Intel_Reports_Second-Quarter_Revenue_of_13.2_Billion_Consistent_with_Outlook.pdf

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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