Intelの2022年度第4四半期の売上高はなんと前年同期比32%減、データセンターとAI分野が大幅に落ち込み株価は9%以上下落
大手半導体メーカーのIntelが、現地時間の2023年1月26日に2022年度第4四半期(10月~12月)の決算を発表し、四半期と通年の両方で売上高や利益が大幅に減少したことを明かしました。さらに2023年度第1四半期(1月~3月)も赤字になるとの見通しを示し、Intelの株価は時間外取引で9%以上下落しています。
Q4 22_EarningsRelease - Q4 22_EarningsRelease.pdf
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Intel 'stumbled,' CEO says; shares drop 9.5% as loss forecast | Reuters
https://www.reuters.com/technology/intel-forecasts-first-quarter-revenue-below-expectations-2023-01-26/
Intel sees $664M loss in Q4, forecasts further declines - Silicon Valley Business Journal
https://www.bizjournals.com/sanjose/news/2023/01/26/intel-reports-4th-quarter-earnings.html?page=all
Intel's horrible quarter: Inventory glut and underused factories
https://www.cnbc.com/2023/01/26/intels-horrible-quarter-inventory-glut-and-underused-factories.html
Intel misses analyst targets as it struggles with a slowdown | VentureBeat
https://venturebeat.com/games/intel-misses-analyst-targets-as-it-struggles-with-slowdown/
Intelの2022年度第4四半期の売上高は140億ドル(約1兆8150億円)で前年同期比32%減という結果になり、アナリストの平均的な予想であった144億6000万ドル(約1兆8750億円)を下回りました。純利益は6億6100万ドル(約860億円)の赤字となり、46億ドル(約5960億円)の黒字だった前年同期比から114%の下落となっています。さらに、Intelの利益率は2020年度第4四半期に58.4%を記録しましたが、2022年度第4四半期は39%にまで落ち込んでいます。
2022年度の年間売上高は631億ドル(約8兆1800億円)となり前年比20%減で、Intelが2022年2月に予想していた760億ドル(約9兆8550億円)に達することはできず、2022年のIntelがいかに苦しい状況だったかを物語っています。
PC事業を含むIntelのクライアントコンピューティング部門の売上高は66億ドル(約8550億円)で前年同期比36%減となり、営業利益は7億ドル(約910億円)で82%減少しました。
また、データセンター部門の売上高は43億ドル(4475億円)で前年同期比33%減となり、営業利益は3.7億ドル(約480億円)で84%の減少となったとのことです。
Intelは2023年度第1四半期も厳しい状況が続くと予想しており、売上高の予想は110億ドル(約1兆4270億円)と前年同期比40%減少し、利益率も34.1%にとどまるとの見通しを示しました。厳しい決算発表を受けて投資家の間には懸念が広がり、Intelの株価は時間外取引で9.7%下落しました。
2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより世界的にPC需要が増加し、物流の問題で半導体不足にも陥ったことで半導体メーカーの売上は増加しました。しかし、2022年には半導体不足が解消されただけでなく、不景気によるPCやスマートフォン売上の不振から、半導体メーカーは一転して苦しい状況に追い込まれています。
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Intelのパット・ゲルシンガーCEOは、ライバルのAMDにデータセンター市場で遅れを取ったと認めており、「私たちはつまづき、シェアと勢いを失いました。今年にはそれが安定すると考えています」とコメントしています。ゲルシンガーCEOはロイターに対し、不景気の中で顧客も半導体在庫をなるべく抱えないようにしていると指摘。「私たちは第1四半期の業績に影響を与えるような、文字通り業界がこれまで見た中で最大の在庫調整が行われると予想しています」と述べています。
市場調査企業・CCS InsightのアナリストであるWayne Lam氏は、「すべてはPC市場の回復に懸かっています。AMDもこの状況に対する免疫を持っていません」と述べ、PC市場の冷え込みはIntelだけでなくライバル企業のAMDにも悪影響を及ぼすと示唆しています。さらに、「Intelの業績が底を打ったとは思わないでください。Intelは持続可能なビジネスモデルを運営していません」と述べて、今後さらにIntelが苦しい状況に追い込まれる可能性もあると主張しました。
一方で海外メディアのCNBCは、Intelが依然として株式の配当を減らしていない点は明るい材料だと指摘。ゲルシンガーCEOは、「取締役会および経営陣は、資本配分戦略に対して非常に規律正しいアプローチをとっており、今後も株主への資本配分を慎重に行うと共に、競争力のある配当金を維持することに全力を尽くします」とコメント。
また、Intelの子会社である自動運転車開発企業・Mobileyeの2022年度決算報告が好調だった点も、Intelにとって明るい材料の1つだとCNBCは述べました。
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