和歌山電鐵貴志駅を守るニタマ駅長に会ってきた&丹生都比売神社を訪問してみた
和歌山電鐵貴志川線沿線の「西国三社参り」をしたあと、「せっかくなら貴志駅にいるニタマ駅長に会いたい」「三社とは場所が離れている紀伊国一宮の残り1つ・丹生都比売(にうつひめ)神社に行ってみたい」という考えを実行に移してみました。
和歌山電鐵 貴志川線 猫のスーパー駅長「たま」とおもちゃ電車といちご電車
https://wakayama-dentetsu.co.jp/
和歌山電鐵貴志川線は、かつては南海電鉄が運行していましたが、廃止の話が持ち上がり、2006年4月からは和歌山電鐵が引き継いで運行しています。鉄道存続のための「客招き」役として2007年に着任したたま駅長が有名で、2015年にたま駅長が亡くなったあとも、ニタマ(たまⅡ世)が貴志駅に、よんたまが伊太祁曽駅に勤務しています。ニタマの公休日は水曜日・木曜日、よんたまの公休日は月曜日・金曜日なので、火曜日・土曜日・日曜日であれば同じ機会にニタマとよんたまに会うことができます。
西国三社参りの行程を終えてニタマのいる貴志駅に向かうことにしたのですが、単に日前宮駅から乗車するだけだとそれで終わってしまうので、一駅先の神崎駅まで歩いてみることにしました。
この区間は県道136号線秋月海南線が貴志川線の線路に並行しています。歩道はあったりなかったりで、通行量がそれなりにあるので、あまり歩くには適していません。
神崎駅に向かう途中にある津秦天満宮に寄り道していると、駅に着くより前に電車に追い抜かれてしまいました。
神崎駅に到着。
自動販売機が鉄道むすめのラッピング仕様に。
「ようこそ神崎駅へ」の看板。
神崎駅は、和歌山電鐵の鉄道むすめ・神崎みーこの名前の由来になった駅です。
駅でしばし待つと、12時7分発の貴志行きの列車がやってきました。今度は「たま電車ミュージアム」号。
豪華な飾り。
名前の通り、車内全体がたま駅長づくしです。
車内ではたま駅長ムービーが上映されています。
車内のあちこちにたま駅長。
12時32分、貴志駅に到着しました。
この日の駅長たちの勤務予定はこんな感じ。
貴志駅のニタマ駅長。
ちょうどお昼休みの時間だったのか、背を向けて丸まっていました。
じっと静かなニタマ駅長。
駅長室の向かいに、たまカフェがあります。注文して会計を済ませてから座席を案内される形式です。
たま駅長おすすめのいろいろなメニューがあります。
ホットドッグならぬ「ホットキャット」を注文してみました。
貴志駅は外観が猫の顔のようになっています。
駅の向かいには紀の川市観光交流拠点「紀楽里(きらり)」があり、その前にコミュニティバスのバス停があります。
ニタマ駅長の姿を見て1つ目的を達成し、次は丹生都比売神社に向かうことにします。しかし、丹生都比売神社があるのは和歌山市でも紀の川市でもなく、かつらぎ町。車で40分かかります。
丹生都比売神社まではJR和歌山線の笠田駅からかつらぎ町コミュニティバスの路線があるため、貴志川線で和歌山駅まで戻り、和歌山線で笠田駅まで移動するのがシンプル。
しかし、紀の川市には本数は少ないながらもバス路線が多数あり、貴志駅から和歌山線方面に1本で移動できるようだったので、バス移動することにしました。
紀の川市公共交通ガイドブック
(PDFファイル)https://www.city.kinokawa.lg.jp/sousei/pdf/kinokawasikoutsuguidebook.pdf
貴志駅周辺を通過するのは、1つは紀の川市地域巡回バス「打田貴志川コース」で、下井阪駅、打田駅を経由して紀の川市役所に向かいます。
そして紀ノ川コミュニティバスは紀の川市役所貴志川支所、紀の川市役所桃山支所、紀の川市役所、岩出市役所の4カ所をぐるっと周回します。西(左回り)コースはちょうど電車が到着した12時32分に貴志駅下を出ていて間に合わず、次は15時2分発。一方で、東(右回りコース)なら13時15分に貴志川支所を出ます。
貴志駅から紀の川市役所貴志川支所までは1.1km、徒歩で13分ということなので、たまカフェで一息ついたあと移動を開始。
ルート検討で時間を食ってしまい、乗ってきた列車の次の便が貴志駅にやってきました。
貴志駅に進入する和歌山電鐵貴志川線「いちご電車」 - YouTube
駅周辺図はこんな感じ。駅周辺には古墳が多く、徒歩で回るのにオススメのルートが記されていました。貴志川支所は地図上で「紀の川市立河南図書館」と書かれているところ。
県道10号線沿いに素早く移動。
紀の川市立河南図書館に到着。
建物の北側にバスターミナルがありました。
待てばすぐにバスが来る……はずだったのですが、ちょっと待ってもバスは来ませんでした。「まさか……」と思ってじっくりと時刻表を見返したところ、紀の川市コミュニティバスは「土曜日・日曜日・祝日・12月30日~1月3日」が運休で、まさに運休日に該当していました。コミュニティバスではよくある運行スケジュールですが、紀の川市の地域巡回バスはいずれも毎日運行(1月1日~3日除く)なので、情報を取り違えてしまったようです。
予定していた移動スケジュールは、紀の川市コミュニティバス東(右回り)コースで紀の川市役所貴志川支所を13時15分出発、岩出駅に13時53分到着。和歌山線に乗り継ぎ、岩出駅を14時14分に出発、14時37分に笠田駅に到着することで、15時30分に笠田駅前を出るかつらぎ町コミュニティバスの丹生都比売神社行きに乗れるというものでした。笠田駅での待ち時間が53分もあって無駄が多く見えますが、和歌山線は笠田駅の3駅手前の粉河駅で列車数が半減するため、1本後ろに乗った場合は笠田駅到着が15時36分となり、神社行きのバスに間に合わなくなります。
まずい!と慌てて貴志駅に戻って貴志川線に乗車したものの、それでも和歌山線の目指す列車には乗れないことに気づきました。むしろ、タクシーで移動を短縮した方がまだマシかもしれないと思い、1駅だけ乗って甘露寺駅で下車。タクシー会社に電話して相談したところ、迎車時間を考えると当該列車には間に合わないとの回答。この時点で、和歌山線で笠田駅に到着することは不可能になりました。
切り替えて、和歌山駅を14時25分に出る粉河行きに乗り、14時57分に粉河駅に到着したあとタクシー移動する方針にしましたが、貴志川線の次の列車だとこの粉河行きにも間に合わいません。結局タクシーを呼ぶしかないのかと思ったところで思い出したのが、毎日運行の地域巡回バス。14時10分に貴志駅を出て、14時45分に下井阪駅東に着くので、前述の粉河行きが下井阪駅を14時48分に出るのにギリギリ間に合う計算です。あまりにもギリギリですが、もし間に合わなければどうせタクシー移動なので、やる価値はあるはず。
14時14分、紀の川市役所貴志川支所にバスがやってきました。
バスは途中で1人乗客を乗せ、ほぼ時間通りに運行。下井阪駅東には予定より少し早い14時43分に到着。
下井阪駅東のバス停は下井阪駅からわずかに120mほどしか離れていません。
無事、和歌山線粉河行きへの乗車に成功。
粉河駅前からはタクシーで移動しました。駅前にタクシー乗り場があるので、よほどのことがない限り乗車待ちの車がいないという事態にはならないはずです。
15分ほどで笠田駅に到着。料金は2500円ほどでした。
笠田駅。
駅前にコミュニティバスのバス停があります。
15分ほど待つと丹生都比売神社行きのバスがやってきました。
バスは笠田の町を抜けて紀ノ川を渡ると、あっというまに山道を登り始めます。
国道480号を左折し、県道4号富野口野上線へ入っていきます。国道480号をこのまま進んでいくと高野山に至ります。
山の中の集落を抜けていくバス。
昔はもっと山を登っていったところを天野トンネルでショートカット。
この日は他の乗客がなく、少し早く丹生都比売神社に到着しました。予定通りだとこのバスは15時59分に神社に到着後、16時には折り返して山を下るダイヤになっており、その後、17時40分に再び笠田駅前を出て神社に上がってきますが、下り便にはなりません。このため、先人のレポートなどを参考に徒歩下山の予定だったのですが、運転手さんから途中で日が暮れることになるから危ないと注意を受け、急いで参拝を済ませて下りの出発に間に合うよう移動することにしました。
外鳥居と輪橋。
冬の期間は凍結して危ないため、橋は通行止めでした。
境内、右奥に見えているのが楼門。参拝は楼門前で行います。
本殿は第一殿から第四殿があり、楼門の横からのぞき見られるようになっていました。
詳細な説明はQRコードに任せる形に。
なんとか下りのバスに間に合い、日が暮れる前に笠田駅に戻ることができました。境内はそれほど広くないので短時間でお参りが可能ですが、さすがに1分ではどうにもならないので、通常は下りの便がある時間に来るか、そもそも自家用車で来るかしたほうが無難です。
なお、かつらぎ町の東隣・九度山町には弘法大師(空海)の母・玉依御前が滞在したという慈尊院があり、丹生都比売神社の裏手を通って高野山に至る高野山町石道が通っています。慈尊院から高野山までは徒歩6~7時間、丹生都比売神社から高野山までは徒歩4~5時間ほどだとのことです。
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