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ディスプレイが「どれほど動画がぼやけず鮮明に見えるのか」をわかりやすく示す新規格「ClearMR」をVESAが発表


PCやテレビなどのディスプレイを購入する際、スペック表や売り文句に入り交じったさまざまな指標について調べたものの、結局よくわからなかったという経験がある人もいるはず。新たにビデオ周辺機器の業界の標準化団体・Video Electronics Standards Association(VESA)が、「どれほど動画がぼやけず滑らかに見えるのか」をわかりやすく示す新規格「ClearMR」を発表しました

VESA ClearMR
https://www.clearmr.org/


VESA Brings Clarity to Motion Blur in Digital Displays with New Compliance Test Specification and Logo Program - VESA - Interface Standards for The Display Industry
https://vesa.org/featured-articles/vesa-brings-clarity-to-motion-blur-in-digital-displays-with-new-compliance-test-specification-and-logo-program/

VESA wants to replace monitor response time specs with ‘ClearMR’ stamps | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/08/vesas-latest-standard-grades-displays-on-motion-blur/

VESA's ClearMR is a new standard for display motion performance | Engadget
https://www.engadget.com/vesa-clearmr-specifcation-announced-190731478.html

ディスプレイの性能を表す指標としては、1インチ当たりのピクセル数を示す「ppi」、1秒間に画面を書き換える回数を示す「リフレッシュレート(Hz)」、応答時間を示す「MPRT」、中間色から別の中間色への移行速度を示す「GTG」など、さまざまなものが存在します。それぞれの指標はディスプレイにおける異なる項目について評価したものですが、多くの一般的な消費者が気にしている「動画がどれほどぼやけないで明瞭に見えるのか」という点をこれらの指標から推測するのは困難です。

そこでVESAは2022年8月22日、動画に生じるぶれである「モーションブラー」を定量的に比較するディスプレイの新規格「ClearMR」を発表しました。VESAはClearMRについて説明するページで、MPRTといった現在使われている時間ベースの指標だけでは、色調変化の際に一瞬だけ目標の色調を飛び越すオーバーシュートといった問題や、さまざまなモーションブラー軽減機能を評価できないと指摘。そこで、消費者がディスプレイのモーションブラー品質を公正に比較できるようにすることを目的にClearMRが策定されたとのこと。

ClearMRのスコアは新たに定義された「Clear Motion Ratio(CMR)」の測定結果に基づき、「ClearMR 3000」「ClearMR 4000」……「ClearMR 9000」と7段階に分けられます。それぞれのスコアは「鮮明なピクセル」と「ぼやけたピクセル」の比率をパーセンテージで表したものとなっており、「ClearMR 7000」ならぼやけたピクセルより鮮明なピクセルが6500%~7500%(65倍~75倍)多いということを意味しています。


以下の画像は、動画に写った「雨の中を走るバイクのタイヤ」(上)と「ナプキンとナイフ」(下)の見え方を、ディスプレイのClearMRクラスごとに示したもの。


ClearMR 7000以上になるとこんな感じ。ClearMRが向上するごとに画面がクリアになっていることがわかります。


VESAの参加企業リストにはApple・Intel・Samsung・LGエレクトロニクス・Facebook Technologies・Lenovo・I-Oデータ・任天堂・Sonyなどさまざまな大手企業が参加しており、テクノロジー系メディアのArs Technicaは「徹底的で複雑なテストが行われていることを期待できます」と述べています。Samsungディスプレイの上級主任研究員でありClearMRの策定に携わったDale Stolitzka氏は、ClearMR 3000は「90~120Hzのディスプレイを備えたノートPCを想定した最下層クラス」として設定されており、通常60HzのディスプレイはClearMR認定の対象にならないと説明しています。

ClearMRの認定テストは室温がカ氏72.5度~76度(セ氏22.5度~24.4度)の状態で、ディスプレイの最大フレームレートおよびデフォルト設定を用いて行われます。バックライトのストロボは公正を期すために無効とされ、オーバーシュートやアンダーシュートにも制限が課されているとのこと。

Stolitzka氏は、「VESAのClearMR規格をロゴで示すことで、購入者は最もクリアな映像描写を持つディスプレイを手に入れ、最高の視聴体験を得られるという自信を持つことができます」「広告で使われている時間だけを基準としたMARTのような指標を、ClearMRで置き換えることが私たちのゴールです」と述べました。

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in ハードウェア, Posted by log1h_ik

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