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「VisaはPornhubによる児童性的虐待コンテンツの収益化を支援したと推測可能」と連邦判事が裁定、Visaは訴訟に直面することに


2020年12月、ニューヨーク・タイムズが「Pornhubは投稿された児童ポルノやリベンジポルノから収入を得ている」という記事を掲載したことを受け、大手クレジットカードブランドのVisaとMastercardがPornhubにおける決済処理を停止する事態になりました。新たに2022年7月29日、アメリカ・カリフォルニア州の連邦判事がPornhubの運営企業・MindGeekと児童ポルノに関連する訴訟に関連し、「VisaはMindGeekによる児童ポルノの収益化を意図的に支援したと推測できる」という(PDFファイル)裁定を下しました。

Visa 'Intended to Help' Pornhub, MindGeek Monetize Child Porn: Ruling - Variety
https://variety.com/2022/digital/news/pornhub-visa-child-pornography-court-ruling-1235330052/

Visa knew about Pornhub’s child porn, judge says, and now must face trial | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/08/california-court-says-visa-may-be-partly-liable-for-child-porn-problem/

Judge Greenlights Suit Accusing Visa of Monetizing Child Porn
https://gizmodo.com/pornhub-lawsuit-visa-mindgeek-child-porn-monetize-1849355488

Visa could be liable in MindGeek Pornhub lawsuit, says court - The Verge
https://www.theverge.com/2022/8/1/23287036/visa-mindgeek-pornhub-child-sexual-abuse-videos-court-liability

Pornhubは2020年にニューヨーク・タイムズの記事が掲載されたことで、VisaやMastercardといったクレジットカード会社から決済処理を停止されるなどの強い圧力を受けました。その結果、Pornhubは未承認ユーザーによる動画のアップロードやダウンロードを禁止し、プラットフォームから違法コンテンツを排除するために1000万本以上のムービーを削除しました。

Pornhubが1000万本以上のムービーを削除、違法コンテンツ排除のため未承認ユーザーはアップロード禁止に - GIGAZINE

by Prachatai

2022年6月にカリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所で提起された民事訴訟では、30人を超える児童ポルノ・レイプ・人身売買の被害者らが、Pornhubの運営会社であるMindGeekは同意のない性的動画から収益を得たと訴えています。

原告の代表であるSerena Fleites氏は、13歳だった頃に当時のボーイフレンドから性的動画を撮影するように指示され、その動画が同意なしでPornhubにアップロードされてしまったとのこと。「13-Year Old Brunette Shows Off For the Camera(13歳のブルネットがカメラに見せびらかす)」というタイトルで投稿された動画は数百万回も再生され、精神的苦痛を被ったFleites氏は薬物中毒やうつ病などに苦しむことになったと主張しています。原告は被害に対する損害賠償を求めると共に、MindGeekがプラットフォーム上でより厳格なポリシーを採用し、さらなる搾取を防ぐことを要求しています。

また、原告はMindGeekに加えて決済業者であるVisaに対しても、児童ポルノの支払いを処理したことでカリフォルニア州の法律に違反したと非難しています。これに対してVisaは、自分たちにはMindGeekのコンテンツを管理することはできず正当な被告にはならないと主張し、訴訟の対象外とすることを求めていました。

しかし、7月29日にカリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所のコーマック・カーニー判事は、「Visaが意図的にMindGeekの犯罪行為を助けた」と主張することは、原告にとって合理的だという裁定を下しました。これにより、Visaを被告としたままで訴訟を進めることが認められました。


カーニー氏は文書の中で、「(Visaは)MindGeekがウェブサイト上で相当量の児童ポルノを収益化していることを知っていました」「Visaは単に犯罪の動機を作ったとされているのではなく、犯罪を完遂するためのツールを故意に提供したとされています」と述べています。つまり、「MindGeekが児童ポルノから収益を得るという犯罪を行った」という原告の主張において、決済処理を行ったVisaに対して「犯罪を完了するためのツールを意図的に提供した」と推論することは可能だと判断しているわけです。

一方、今回の裁定では、Visaの役割をその他の間接的にPornhubやMindGeekと関わった企業と区別しています。たとえば、Googleは検索結果にPornhubのリンクを表示していましたが、これは間接的にPornhubを支援する結果になったとしても、「犯罪を完了するためのツールを提供した」とは認められないため、必ずしも責任を負うわけではないとのこと。また、カーニー判事は原告の「Visaが性的人身売買事業に直接参加したという主張には根拠がない」と指摘するなど、部分的にVisaへ有利な裁定も下しています。


Visaは海外メディアのVarietyへの声名で、「Visaは性的人身売買・性的搾取・児童の性的虐待コンテンツを、企業としての価値観や目的に反したものとして非難しています。今回の公判前手続きにおける裁定は、Visaの役割・ポリシー・慣行を誤って捉えるもので、失望させられました。私たちは、Visaがこの訴訟のおいて不適切な被告であると引き続き考えています」とコメント。

MindGeekは、今回の裁定はあくまでVisaを訴訟の被告とする妥当性を整理する段階で下されたものであり、裁判所はまだ訴訟の内容について判決を下していないと指摘。「裁判所が実際に事実を検討すれば、原告の主張は実態がないとして却下されると確信しています。MindGeekはプラットフォームへの違法コンテンツの投稿を一切容認しておらず、ユーザーがコンテンツを生成するプラットフォームの歴史上、最も包括的なセーフガードを制定しています」と述べ、記事作成時点では身分証明書のチェックやモデレーションツールの強化を行っており、違法コンテンツの排除に努めていると主張しました。

なお、近年ではクレジットカード会社によるオンラインポルノプラットフォームへの規制が問題視されています。日本でも2022年7月、大手成人向けコンテンツプラットフォーム・FANZAを運営するDMMが、Mastercardとの決済契約を終了することを発表して話題を呼びました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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