サイエンス

薬剤注入と注射痕の封鎖ができて眼球への注射が1度で済むマイクロニードルが開発される


目の病気の治療において、眼球内部にあるゼリー状の硝子体(しょうしたい)への注射「硝子体内注射(IVI)」が必要になるケースがあります。しかし、IVIの痕から細菌が入って感染症になったり、繰り返しIVIを行うことで眼球の細胞が傷つく恐れがあったりというリスクを伴います。この問題を解決するために、眼球に薬剤を注入するための注射を1回だけにできる、セルフプラギングマイクロニードル(SPM)が開発されました。

Self‐Plugging Microneedle (SPM) for Intravitreal Drug Delivery - Lee - - Advanced Healthcare Materials - Wiley Online Library
https://doi.org/10.1002/adhm.202102599


Scientists Created a 'Self-Plugging' Eye Microneedle, And It's as Creepy as It Sounds
https://www.sciencealert.com/scientists-have-created-a-self-plugging-microneedle-that-is-inserted-into-the-eye-and-it-s-as-creepy-as-it-sounds

韓国の全南大学や延世大学、ソウル大学医科大学、ソウル大学病院、テラサキ生物医学イノベーション研究所のメンバーは、IVIの最良のシナリオは「眼球システムをクローズドにした状態で、針の引き戻しがない1度の薬物注射」であると考えました。


そこで、10年以上前から眼球組織に対して利用されていて、重篤な副作用の報告がない「マイクロニードル」に注目し、眼球内への薬物の注入と、IVI時にできた眼球の穴の封鎖を同時に行うことができる「SPM」を開発しました。

IVIは加齢性黄斑変性症や糖尿病性眼疾患の治療に用いられていて、現行の方法は、坑VEGF薬を複数回注射するというもの。しかし、SPMを用いると注射は1回で済む上に針を抜く必要もなくなります。眼球に注射されたSPMは、注射時にできた強膜の穴をヒドロゲルによってふさぎます。一方で、薬剤を徐々に内部に放出します。針は生分解性なので、最終的には違和感なく分解されるとのこと。

研究チームは、切除した豚の目で実験を行い、穴の封鎖と薬剤が目全体に広がったことを確認。さらに、生きている豚でも実験を行い、7日後も眼球に炎症などが発生せず、SPMは問題なく固定されていたことを確認しました。

今後、安全性確保のための動物での研究がさらに長時間必要で、人間に使用できるようになるのは、相当先のことになりそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
注射を使わず冷蔵も不要なワクチンが開発される - GIGAZINE

「マジックマッシュルーム茶」を静脈注射した男性の血中でマジックマッシュルームが成長 - GIGAZINE

コカインを注射したペニスが「真っ黒になって腐る」事件が発生 - GIGAZINE

緑茶に含まれるカテキンは緑内障などの眼病予防にも効果的 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.