外交官が次々に謎の脳損傷を負った「ハバナ症候群」の多くは他国の攻撃ではないとの調査結果、一方で未解明の報告も
2017年、キューバの首都ハバナに駐在しているアメリカやカナダの複数の外交官から難聴や脳損傷といった症状が出ていることが報告されました。アメリカ政府が情報を集めたところ、この「ハバナ症候群」は1000件以上もの事例が確認されましたが、原因はわからず、極秘マイクロ波兵器によるステルス攻撃という見方まで出ていました。しかし、CIAはこのほとんどにおいて「諸外国からの攻撃を原因とする可能性は低い」と考えていることが新たに明らかになりました。
CIA says 'Havana Syndrome' not result of sustained global campaign by hostile power
https://www.nbcnews.com/politics/national-security/cia-says-havana-syndrome-not-result-sustained-global-campaign-hostile-rcna12838
Most ‘Havana Syndrome’ Cases Unlikely Caused by Foreign Power, C.I.A. Says - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/01/20/us/politics/havana-syndrome-cia-report.html
‘Havana syndrome’ unlikely caused by hostile foreign power, CIA says | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2022/jan/20/havana-syndrome-cia-report-foreign-power
ハバナ症候群については、アメリカの政府機関を狙った「極秘マイクロ波兵器によるステルス攻撃」の可能性が示されてきたほか、「蚊の殺虫剤やコオロギの鳴き声が原因」とする説や「集団ヒステリーではないか」とする説が登場したものの、原因は特定されていません。
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そんな中、2022年1月21日にNBC Newsは関係者筋から「CIAは『ロシアやその他の諸外国が情報を集めたりダメージを与えたりするために世界中に存在するアメリカ人に攻撃を加え、結果としてさまざまな脳損傷が引き起こされた』という考えを根拠のないものと見なした」という情報を得たと報じました。
CIAの調査結果は中間評価であり、国防総省を含む他の機関と連携されたものではないものの、そうであっても実際にハバナ症候群を経験した人々は失望を表明したと、NBC Newsは述べています。
これに対しCIAのウィリアム・バーンズ長官は「私たちはいくつかの重要な中間調査結果を出しましたが、調査が完了したわけではありません。これらの事件をさらに調査し、助けを必要とする人々に世界レベルの治療を提供し続けます」と声明を発表しています。
ハバナ症候群は最初の報告において、めまいや平衡感覚の喪失、吐き気、記憶喪失といった症状が伝えられました。その後、政府機関が情報提供を求めたところ、症例の報告が1000件以上集まりました。しかし、CIAの中間調査結果は、その大部分が他の病気や環境要因、ストレスによって引き起こされたものだとみなしています。一方で最初の報告を含む20件の報告については説明がつかず、攻撃の可能性を含めてさらなる調査が必要と考えられています。
またトニー・ブリンケン国務長官は「我々は事態の解明と責任の所在を明かすため、我々にできる全てのことを、できる限りのリソースをもって継続します。あらゆる手段を講じる予定です」とコメントしています。
なお、2020年の報告でハバナ症候群として報告された脳損傷が、ロシアが長い間研究してきたマイクロ波兵器攻撃による損傷と類似していることが示されましたが、ロシアは一貫して事件への関与を否定しています。
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