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AppleがApp Storeに「開発者がアプリ外でユーザーにメールで連絡可能」などの大規模な仕様変更を実施


Appleはフォートナイトの開発元であるEpic Gamesから「Appleは独占禁止法に違反している」と訴えられていますが、これと同時にアメリカを拠点とするアプリ開発者たちによる集団訴訟にも直面していました。しかし、Appleはアプリ開発者と和解する方針を発表し、小規模なアプリ開発者がより有利になるような複数の変更をApp Storeに加えると発表しています。

Apple, US developers agree to App Store updates - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2021/08/apple-us-developers-agree-to-app-store-updates/


Apple agrees to settle potential class action suit by U.S. developers - Axios
https://www.axios.com/apple-settles-developer-class-action-c13bb308-daf3-4231-a399-ffd48b6b2c52.html

Apple will let developers email users about payments outside iOS - Protocol — The people, power and politics of tech
https://www.protocol.com/apple-apps-communication

Apple finally agrees to let app developers communicate with their customers - The Verge
https://www.theverge.com/2021/8/26/22643807/apple-developer-class-action-lawsuit-collect-information-ios-apps-anti-steering

集団訴訟を和解に持っていくためにAppleが用意したのが、以下の7つの案。

◆1:
小規模な開発者向けに、App Store上での手数料徴収を30%から15%に引き下げる「App Store Small Business Program」が成功しているか否かを検証するために、Appleと開発者は少なくとも今後3年間にわたり、同プログラムを既存のまま維持することに合意しました。年間売上が100万ドル(約1億1000万円)未満の企業は、引き続き手数料の削減を受けられますが、これを超える大規模な開発者は、所定の手数料(売上の30%)を支払う必要があります。

◆2:
開発者からの要望に応じ、AppleはApp Store上での検索結果を、「ダウンロード・レーティング・テキストの関連性・ユーザー行動などの客観的な特性に基づいて表示する」という従来の方法を引き続き採用します。今回の和解により、既存のApp Storeの検索システムは、今後3年間維持されることが保証されます。

◆3:
開発者が顧客と直接やり取りすることができるようにするため、Appleは開発者がメールなどを利用し、アプリ外で支払い方法に関する情報をユーザーに通知できるようにします。これによりアプリ開発者はApp Storeを経由しない課金オプションをユーザーに提案し、Appleに手数料を支払うことを回避することが可能に。ただし、ユーザーはアプリ開発者からのメールをオプトアウトする権利を持つこととなります。

◆4:
Appleはサブスクリプション、アプリ内課金、有料アプリなどにおいて開発者が利用できる価格設定の数を、100未満から500以上に拡大します。これにより、開発者はより自由かつ幅広い価格設定が可能に。

◆5:
開発者が不当な扱いによりアプリの公開を拒否された場合、これについてApple側に訴えるオプションを引き続き維持します。加えて、Appleは開発者によるアピールプロセスがどのように処理されているのかがわかるように、App Review上に専用コンテンツを追加するとしています。

◆6:
過去数年間にわたり、AppleはApp Storeに関する多くの新しい情報を発信してきました。Appleはこれらのデータに基づき、年次透明性レポートを作成することに合意しました。このレポートにはさまざまな理由でApp Storeでの公開を拒否されたアプリの数や非アクティブ化されたユーザーアカウントおよび開発者アカウントの数、検索クエリと結果に関する客観的なデータなど、アプリのレビュープロセスにかかわる有意義な統計データが含まれるとのこと。

◆7:
世界中が新型コロナウイルスのパンデミックに苦しむ中で、Appleはアメリカの小規模開発者を支援するための基金を設立すると発表。対象となる開発者は、2015年6月4日から2021年4月26日までの期間にApp Storeの開発者アカウントを持っており、同期間の売上が年間100万ドル以下であった必要があります。なお、この条件にはアメリカのアプリ開発者の99%が該当するとAppleは述べており、基金に1億ドル(約110億円)の資金を投じたとしています。なお、この基金の詳細については「後日改めてお知らせする」とのことです。

これに加え、AppleはニュースメディアがApple News Formatを用いてAppleのニュースアプリである「Apple News」にコンテンツを提供する「ニュースパートナープログラム」においても、手数料として徴収する金額を「売上の15%」に下げると発表しました。


原告側のスティーブ・バーマン弁護士は、「苦労して獲得した和解は、App Storeを通じてデジタルウェアを配布するアメリカの開発者、特に仕事に非常に多くの創造性とエネルギーを費やしてきた小規模な開発者にとって有意義な改善となることでしょう」とコメント。

Appleフェローのフィリップ・シラー氏は、「App Storeの目標をサポートし、すべてのユーザーの利益のために我々と和解することにしたすべての開発者に感謝します」と語りました。

なお、今回の和解は訴訟を担当したイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース裁判官の承認をもって合意となります。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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