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ペンタブメーカーがLinux向けオープンソースドライバーに協力しない理由とは?


ペンタブレットについて、WindowsやmacOSではメーカー製ドライバーを入れるだけで済む場合でも、Linuxではメーカーが公式対応していなかったり、独自ドライバーしか選べなかったりすることがあります。イラストレーターのデビッド・ルボワ氏がペンタブレットメーカーにLinux向けの自由でオープンなドライバーへの協力を求めたところ、メーカー側から断られた経緯についてのブログを投稿しました。

Why Drawing Tablet Brands Won't Collaborate on Linux FLOSS Drivers - David Revoy
https://www.davidrevoy.com/article1154/why-drawing-tablet-brands-wont-collaborate-on-linux-floss-drivers


ルボワ氏は、ソースコードが公開され利用・改良・再配布の自由が認められている「自由でオープンなソフトウェア」を重視しており、以前からYouTubeでペンタブレットをレビューする際にもLinux上でテストし、ドライバーを含めて自由でオープンなソフトウェアだけを使うという条件を設けていました。さらに受け取ったペンタブレットの仕様情報をオープンソースソフトウェア&サービス・プロバイダーのRed Hatのピーター・ハッテラー氏やベンジャミン・ティソワール氏に伝え、udev-hid-bpfというプロジェクトを通じてLinux向けの自由でオープンな高品質ドライバーにつなげていたとのこと。

ただし、レビュー用の機材を調べて仕様情報を取り出し、ドライバーを試し、レビュー動画を作り、技術的な記事を書くという作業はかなりの負担になります。そこでルボワ氏は、メーカーに直接協力を求めてLinuxの入力デバイス開発チームへ仕様情報を共有してもらう方針へ切り替えました。Wacomが長年行ってきたように、メーカー側がLinux開発者と協力すれば、ユーザーやレビュアーが機種ごとに情報を集める必要が少なくなります。


ルボワ氏はXPPen、Gaomon、Huionなどのメーカーに連絡を取りました。多くの場合、連絡相手は技術部門ではなくマーケティング部門で、「社内で検討します」という返答の後に話が止まっていたとのこと。ところがGaomonとのやり取りでは技術担当者につながり、しかも相手はHuion関連企業の人物だったそうです。GaomonやXPPen、Huion、Ugeeの独自LinuxドライバーのDebianパッケージ構造や使用ツールが似ているため、ルボワ氏は今回の技術担当者が4ブランドのドライバー管理を担当している可能性もあると考えていました。

しかし最終的にGaomonのマーケティング部門から届いた返答は、Linux向けドライバープロジェクトを進めないという内容でした。理由として挙げられたのは、ルボワ氏が示したプロジェクトが主にWacom主導に見えること、Gaomon製品を追加しても全体の仕組みにWacomのブランド名が表示されること、さらにデバイス仕様をWacomに直接共有する形になる点を受け入れられないというものでした。

Linux向けペンタブレット環境では、歴史的な経緯から「linuxwacom」や「libwacom」といった名前が広く使われています。名前にはWacomと入っていても、libwacomにはDell、Gaomon、HP、Huion、XPPenなどの情報も含まれており、実態としては複数メーカーのペンタブレットを扱う基盤であるものの、外から見たときには最大手競合の名前が付いた場所に協力するように見えてしまうというわけ。


この点はメーカー側にとってかなり大きな心理的な壁になります。自社製品の仕様を共有する先が「競合企業の名前を冠したプロジェクト」に見えるなら、技術担当者や経営層が慎重になるのは不自然ではありません。ルボワ氏も、オープンソース基盤が業界最大の競合ブランド名を背負ったままでは、強固な協力体制を築くのは難しいと述べています。

一方でルボワ氏によると、デバイス仕様そのものはLinuxとhid-recorderというツールを使えば取得できるため、競合への情報共有を恐れる意味は限定的とのこと。実際にアーティストが仕様情報を取り出せるなら、競合メーカーにも同じことができるという考えです。ただし、メーカーが公式に協力するかどうかは技術的に可能かどうかだけで決まるわけではなく、社内説明のしやすさやブランド上の見え方にも左右されます。

ルボワ氏は今後、メーカーに直接協力してもらう方針をいったん諦め、従来通り1台ずつレビューしながら仕様情報を記録する方法に戻るとのことです。今後XPPenの27インチ上位モデルと12インチの新モデル、Gaomonの11インチモデルが到着予定で、udev-hid-bpfプロジェクトへペンタブレット仕様を報告する方法についても詳しいチュートリアルを書く予定だとしています。自由な制作環境を支える道のりは、結局のところペンタブレットを1台ずつ調べていくほかなさそうだとルボワ氏は述べています。

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