家族で45分間運動すると親子の認知機能が短期的に改善する可能性

親子で一緒に体を動かす45分間の運動によって親の食後インスリン濃度が低くなり、親子の一部の認知課題の成績も短期的に改善する可能性が示されました。ノッティンガム・トレント大学の研究者であるスカーレット・ファウンテン氏とカラ・ドリング氏が、家族で行う運動の効果と続けやすさについて解説しています。
Family-Based Tag Rugby: Acute Effects on Risk Factors for Cardiometabolic Disease and Cognition and Factors Affecting Family Enjoyment and Feasibility | Healthcare
https://www.mdpi.com/2227-9032/13/24/3186
How a 45-minute family exercise session could boost thinking skills | The Conversation
https://theconversation.com/how-a-45-minute-family-exercise-session-could-boost-thinking-skills-284400

親は家事や育児に時間を取られて自分のための運動時間を確保しにくく、子どもも親と過ごす夕方や週末には活動量が下がりやすいもの。そのため、子どもだけを対象にした運動プログラムでは親の運動不足に対応しにくいという問題があります。
そこでファウンテン氏らは親子が同時に体を動かせる「家族単位の運動」として、腰に付けたタグを相手に取られるとタックルされた扱いになる非接触型のラグビー「タグラグビー」に注目しました。ファウンテン氏らはタグラグビーを楽しく、年齢の違う参加者が一緒に取り組みやすく、家族向けに調整しやすい運動だと考えたとのことです。
ファウンテン氏らが行った実験には16家族が参加し、その内訳は子ども27人と親20人でした。実験参加者は45分間の家族タグラグビーを行う日と45分間座って休む日を経験し、2つの条件の間に約7日の間隔が設けられました。
45分間のタグラグビーは、5分間のウォームアップ・15分間の基本練習・20分間の小規模試合・5分間のクールダウンで構成されていました。ファウンテン氏らは運動・休息の後に、チキンまたはチーズのサンドイッチ・ベイクドクリスプ・リンゴからなる炭水化物量をそろえた昼食を各参加者に用意し、食後の血糖値・インスリン濃度・中性脂肪を測定。さらに、複数の課題を使用して認知機能を検査しました。

その結果、親では45分間座って休んだ場合と比べて、タグラグビーを行った後の食後インスリン濃度が低くなりました。昼食の30分後と120分後の血液中のインスリン濃度は休息の条件より運動の条件で低かった一方で、血糖値や中性脂肪に差は見られなかったとのことです。なお、インスリンは血液中の糖を細胞に取り込ませて血糖値を下げる働きを持つホルモンで、同じ食事を取った後に血糖値に大きな差がないままインスリン濃度が低くなる場合、体が少ないインスリンで血糖を処理できている可能性があります。
認知機能については親子ともに一部の課題で短期的な改善が見られました。子どもではワーキングメモリを調べるスターンバーグ課題の3項目で運動直後に成績が改善しましたが、運動45分後には休息条件と比べて悪化しており、改善が持続したとはいえませんでした。しかし親では、情報処理や不要な情報を抑える力を調べるストループ課題で運動直後に成績の改善が見られたとのことです。
ファウンテン氏らは、タグラグビーでは走る・パスする・相手の位置を見る・チームメイトに反応する・次の動きを判断するといった要素が連続するため、身体だけでなく頭も使う点が認知機能に関わった可能性があると説明しています。
ファウンテン氏らが参加した家族を集めて感想を聞き取り、さらに親と子どもに別々でインタビューを行ったところ、家族単位ではタグラグビーを「一緒に参加できる」「楽しい」「運動していることを忘れるくらい取り組みやすい」活動として受け止めていたとのこと。また、親はパスや移動などの基本練習を好み、子どもは小規模試合のように自由度が高く競争が強すぎない活動を好む傾向があったそうです。
「タグラグビーは家族が一緒に参加しやすい運動として受け止められており、今後の家族向け運動プログラムを考える手がかりになる」とファウンテン氏らは述べています。
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in サイエンス, Posted by log1b_ok
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