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大手IT企業も実施している目標管理法「OKR」が一部の企業で失敗している理由とは?


目標管理のフレームワークであるObjectives and Key Results(OKR)はGoogleやFacebookなど大手IT企業を始めとして、多くの企業で取り入れられています。しかし、長年OKRを推進していた多くの企業が次々とOKRを撤廃し始めていると、シリコンバレーでコンサルティング活動を行うマーティ・ケイガン氏が語っています。

Team Objectives - Overview | Silicon Valley Product Group
https://svpg.com/team-objectives-overview/

OKRは「目標を定めて仕事に取り組むとパフォーマンスを改善できる」という研究結果に基づき、個人のビジネスにおける目標を高く設定し、成果を数値化して評価するという手法です。OKRはシンプルで取り入れやすい手法である一方で、「時間と労力の無駄」「結果がほとんど出てこない」という理由から多くの企業でOKRの撤廃が進んでいるとケイガン氏は述べています。

OKRの撤廃が進む理由として、ケイガン氏は「ほとんどの企業がOKRを効果的に運用するのに向いていない」と指摘し、企業がOKRを効果的に運用できていない3つの理由を語りました。

◆1:OKRは権限を持つ社員に適している
ケイガン氏によると「OKRはエンパワーメントな手法」であるとのこと。ビジネスにおいて階級に関わらず業務や組織に関わる決定権を持つ社員が多い組織であればOKRは機能しますが、個々の社員に決定権がなく意見も反映されにくいようなトップダウン方式の企業では目標設定が行いづらく「ほぼ確実に時間と労力の無駄になります」とケイガン氏は指摘しています。

OKRの運用方法として、リーダーがOKRの「ビジネスにおける目標を高く設定する」というテーマに基づく新たな問題をチームに与えることで、「問題をいかに解決して企業の成長に貢献させるか」といった目標を設定するなどが挙げられます。しかし、OKRに適していない企業では目標設定をはき違え、「プロジェクトのリリース日」などを目標として定めてしまい、タスク管理ツールのように用いられるケースが多くなっています。


◆2:リーダーの目標とチームの目標の食い違い
OKRでは、権限を与えられたチームが困難な問題を解決するという目標のために協力することが理想的です。しかし、OKRをうまく運用できていない企業ではリーダーが独自に組織目標を作成してチームに伝達しているケースが多くあるとケイガン氏は述べています。

リーダーが目標を決定することは合理的とも思える方法で、表向きには会社のためになる目標を作成しているように見えます。しかし、チームはリーダーの目標を引き継ぐだけでなく、リーダー自身の個人的な目標にも取り組まなければなりません。さらに、この方法では「与えられた目標を達成する」ためにチームメンバーは自分自身のために作業をする傾向が強くなり、OKRの本来の目的である「チームのために協力して作業する」という姿勢から遠のいてしまいます。


◆3:リーダーシップの欠如
ケイガン氏がOKRをうまく運用できない「問題の根源」と語るのは、「OKRの価値を引き出すのに苦労していて、リーダーシップの役割が行動の中に欠けている」ということです。ただ「リーダーがチームの目標を設定し、チームにその目標を追求させれば良い」と考えている企業ほど、OKRの価値を得ることはできないとケイガン氏は述べています。

OKRの価値を引き出すには「より良いマネジメントが必要です」とケイガン氏はコメント。リーダーはチームに目標を与えてほったらかしにするのではなく、チームが戦略を実行できるよう自分の役割を果たす必要があります。例えば、チーム各員が何に対して意欲的に取り組みたいかという意見の共有や、目標達成に伴うリスク管理など、チームの目標達成に向けて先導する役割を果たすのがリーダーの仕事です。


「大手IT企業の多くがOKRを使っていること」「OKRを使っている企業が成功を収めていること」が周知されたからこそOKRの普及が進みました。しかし、ケイガン氏は「多くの人々は因果関係と相関関係を混同している」と指摘。成功した企業は「OKRを使用していたから成功した」わけではなく、成功を収めた大手IT企業のように「個々の社員が業務に対して権限を持っている」という組織体制にOKRの運用が適しているのだとケイガン氏は述べています。

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in Posted by darkhorse_log

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