ハードウェア

まるでTシャツのロゴを印刷するように電子基板を印刷できる技術がエレクトロニクス業界に革命を起こそうとしている


Tシャツに柄を印刷するような手軽さで電子基板に銅や炭素などの多様な素材を印刷できる技術について、基板・通信関連のエンジニアのヤシュ・ゴリヤ氏が解説しています。

Manufacturing next-generation electronics like they are T-Shirts | by Yash Goliya | Jun, 2021 | Medium
https://ygoliya.medium.com/manufacturing-next-generation-electronics-like-they-are-t-shirts-526e8551748b

キーボードなどに用いられているメンブレンスイッチや、ICカードなどに使われるRFIDは基板に導電性の素材を印刷することで作られています。従来の技術では印刷に用いられる素材は銀が主流でしたが、ゴリヤ氏によると近年の技術革新によって銀以外にも銅や炭素、導電性ポリマーといった素材も印刷することが可能になったとのこと。以下のムービーでは、実際にCopprintが開発した導電性素材「LF-360」を基板に印刷している様子を確認できます。

How to Copprint LF360 - YouTube


LF-360の印刷は、「撹拌(かくはん)」「印刷」「乾燥」「焼結」「リラクゼーション」の5工程で行われます。


まずは、冷蔵保存しておいたLF-360を機械を用いて撹拌します。


撹拌したLF-360を手作業(左)・機械(右)のいずれかで基板に銅を薄く塗りつけると……


手作業側はこんな感じに、配線が印刷されました。


機械の方も、キレイに印刷できています。


次に、溶剤を蒸発させるために乾燥機に投入。


乾燥したLF-360(右)の見た目はこんな感じ。


乾燥が完了したら、加熱処理を施して分子を焼結させ、導電性を持たせます。加熱処理には160度に熱したプレス機を用いる方法や……


ラミネーターで加熱する方法があります。ラミネーターに通す前のLF-360は以下の画像の通りに電気を通しません。


しかし、170度のラミネーターで12秒かけて加熱すると……


こんな感じに、電気が通るようになりました。導電性を付与後、140度の環境に2~3分置くと導電性が高まるとのことです。


ゴリヤ氏によると、この印刷技術では複雑な電子機器を作り出すことも可能とのこと。例えば、以下のムービーでは文字や図形を表示できるディスプレイを印刷する様子を確認できます。

Ynvisible InkKit Video Tutorial - YouTube


さらに、以下のように発光する部品も印刷可能です。

Electroluminescent Screen Video Tutorial - YouTube


また、ゴリヤ氏は「この技術の美しい点は、拡張性の高さにあります。例えば、部品製造企業・mekoprintでは、ロール・ツー・ロール方式を用いてヘルスケア関連のセンサーを大量生産しています。この技術によるエレクトロニクス業界の革命は始まったばかりです」と述べ、回路印刷技術によって安価な部品を大量生産できる未来に期待を寄せています。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1o_hf

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