メモ

中世の人々は「異様に先のとがった靴」による外反母趾で苦しんでいた証拠が見つかる


足の形に合わない靴や先のとがった靴を履いていると、足の親指が内側に曲がってしまう「外反母趾(ぼし)」を発症してしまう可能性があります。この外反母趾は中世イギリスでも流行していたようで、研究者らは「先のとがった靴がファッションとして流行したことで、外反母趾に苦しむ人が劇的に増加した」との研究結果を発表しています。

Fancy shoes and painful feet: Hallux valgus and fracture risk in medieval Cambridge, England - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1879981721000280

Suffering for fashion: The pain of medieval pointy shoes - Medievalists.net
https://www.medievalists.net/2021/06/suffering-for-fashion-the-pain-of-medieval-pointy-shoes/

Medieval people suffered for fashion with their extremely pointy shoes | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/06/medieval-people-suffered-for-fashion-with-their-extremely-pointy-shoes/

14世紀頃のイギリスでは、さまざまな生地や色を使ったドレス・靴が流行の兆しを見せ、ファッションスタイルが大きく変化したものとみられています。そのなかでも特徴的なのは、つま先がニンジンのように細くとがった「プーライン」と呼ばれる靴。プーラインは、つま先にコケや羊毛を詰めることで独特の形が保たれました。その長さは時に10cmを超えることもあり、「ひもですねに縛り付けないとまともに歩けなかった」という逸話が残っているほど。実用性が度外視された特殊な靴ですが、男女問わず、大人から子どもまではいていたそうです。

by Etienne Mahler

ケンブリッジ大学の考古学者であるジェナ・ディットマー氏らがケンブリッジ周辺の墓地から発掘された177人分の骨を調べたところ、11世紀~13世紀の骨のうち外反母趾の痕跡がみられたのは6%だったのに対し、14世紀~15世紀の骨ではその割合が27%に増加していたとのこと。骨格の変化からも、「14世紀に靴のスタイルが大きく変化した」ことが示されたわけです。

また、外反母趾の痕跡が最も多く確認されたのは修道院から発掘された骨で、遺品から聖職者と特定された人物を含め、全体の43%にみられたとのこと。一方、地方の墓地から発掘された骨のうち、痕跡がみられたのは3%ほどだったとのことで、ディットマー氏らは「13世紀から14世紀にかけて、聖職者がスタイリッシュなファッションを選択することが多くなったのだとみられます」「また外反母趾の痕跡から、貧困とライフスタイルの関連性が明らかになりました」と述べています。

by Agnieszka Rysio

また、外反母趾の痕跡がある骨には転倒に伴う骨折の痕跡がみられることも多かったことから、ディットマー氏らは「現代と同じく中世の人たちも、外反母趾がある人は外反母趾がない人よりも転倒の結果骨折する可能性が高かったということを示しています」と述べています。

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in Posted by log1p_kr

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